スマートフォンの普及とともに注目を高めているのが、パケット通信を利用して音声通話ができる無料アプリの数々だ。通話だけでなくテキストメッセージやスタンプと呼ばれるイラストをやり取りもできるアプリが多数登場している。単に無料で通話ができるだけでなく、利便性と楽しさを備え、災害時の連絡手段としても役立つことから、注目を集めている。
では実際、こうした無料通話系アプリにはどのようなものがあり、どのような違いがあるのだろうか。国内で代表的なアプリをいくつかピックアップし、それぞれの機能的特徴や人気の度合いなどについて確認していこう。
現在の日本で無料通話アプリの市場をリードしているのが「LINE」である。2011年に提供開始して以降、急速に人気を高め、現在では日本で4600万会員を獲得。台湾、タイ、スペインなどでも会員数が1000万を超えるなど人気を高めており、4月3日時点では全世界で1億3000万の利用者を抱えた世界的なサービスとなっている。
LINEが備える特徴的な要素は、手軽さと簡単さだ(ちなみにこれは、同種の無料通話・メッセージアプリに共通している点でもある)。1つは、音声通話またはSMSによる認証ができ、登録時にIDやパスワードを入力する必要がないこと。そしてもう1つは、スマートフォンのアドレス帳をアップロードすることで、LINE登録者の中から自動的に友達をマッチングする仕組みを備える点だ。このことに懸念を示すユーザーもいるが、一方で手軽に登録したり、身近な友達の登録ができる点が人気でもあり、多くのスマートフォンユーザーに受け入れられたと言えるだろう。
LINEは当初、無料の音声通話ができることをCMで訴求して大きな注目を集めた。だがLINEの通話機能は会員同士の通話が無料ということにとどまり、固定電話や携帯電話にかけることはできない。またグループ通話にも対応しておらず、通話は1対1でのみ可能であるなど、非常にシンプルなものだ。
むしろLINEが重視しており、ユーザーも多く利用しているのは、テキストでメッセージのやり取りができる“トーク”機能だ。LINEのトーク機能は、テキストや絵文字を使ったチャットがリアルタイムにできるのに加え、さまざまな表情のキャラクター画像を相手に送信して感情を表現する“スタンプ”機能を備え、楽しく会話ができることから絶大な支持を得ている。また、音声通話ではできない複数人数での会話(グループトーク)がトーク機能では可能で、仲間内での会話がしやすい点も人気を集める要素となっている。
日本を中心として1億以上の会員を集めたLINEは、そのユーザー数の多さを生かし、サービスプラットフォームとしての存在感も高めつつある。「LINE POP」「LINE バブル」などカジュアルゲームを提供する「LINEゲーム」が人気を集めているほか、最近では電子書籍の「LINEブック」を開始したり、店舗や商品の集客やPRにLINEを活用する「公式アカウント」「LINE@」などのO2O施策にも取り組んだりするなどして、業界での存在感を高めてきている。
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