「LINEはインフラ」「東南アジアに高クオリティな日本製ゲームを」――LINEのアプリ企業向けセミナー(1/2 ページ)

» 2014年06月10日 10時06分 公開
[村上万純,ITmedia]

 「テレビだからマスなのではない。圧倒的リーチを可能にするのがマスメディアだ」と、話すのはLINE上級執行役員の田端信太郎氏。同社は6月9日、アプリデベロッパー向けにLINEを活用したマーケティングセミナーを開催し、各登壇者がLINEユーザーの特徴やスマホゲームのプロモーション実績などについて説明した。

「生活インフラ」となったLINEでテレビCMを補完する

photo LINE上級執行役員の田端信太郎氏

 田端氏によると、「今やスマートフォンでゲームを提供するグリーやディー・エヌ・エーなどの会社のテレビCM年間出稿量は、日産自動車や本田技研などと肩を並べるほど」になっており、「スマホゲームを提供する企業は、テレビ広告主として超大手の存在になっている」という。


photo スマホゲームを提供する会社のテレビ出稿は拡大してきている

 しかし、圧倒的なリーチ力を誇るテレビは、「大規模な予算がかかったり、Web広告のように想定した結果が得られなかった場合のテコ入れができなかったり、長期契約している老舗企業が優遇されたりする」(田端氏)といった弱点もある。

 2014年6月9日時点で全世界4億5000万人、国内でも5000万人以上のユーザーを獲得していることを受け、「圧倒的なリーチ力という意味ではLINEもマスメディア」だと田端氏は話す。全ユーザーのうち85%は海外ユーザーで、特にタイや台湾を筆頭に東南アジア地域で強さを発揮している。

 「毎日LINEを利用するアクティブ率は59.2%を超え、あまりインターネットを活発に使うわけではない『非ネットユーザー』にもリーチできているのが強み」だと田端氏は説明する。

photo LINEユーザーのアクティブ率は59.2%

 また、LINEの強みは「ユーザー属性に偏りがなく、老若男女全てに受け入れられていることだ」と田端氏は強調する。2014年1月時点で男女比は半々。30代以上のユーザーが55%を超えており、年代別に見るとスマートフォンを所有するユーザーの分布とほぼ同じで、各世代に満遍なく浸透している。会社員(38.3%)に次ぎ、主婦や学生のユーザー(29.9%)が多いのも特徴だ。地域別に見ても、大都市圏に集中することはなく、全国にくまなく分布する「真のインフラ」(田端氏)になりつつある。「ほかのソーシャルメディアはIT企業で働くビジネスマンやホワイトカラー層に偏る傾向があるが、LINEはそういった偏りがない」と田端氏は話す。

photophoto 性別や年齢、地域分布に偏りがないのがLINEユーザーの特徴

 こういった特性を踏まえた上で、田端氏は動画広告の「LINE FreeCoins Video」と新しいスポンサードスタンプ広告「ダイレクトスタンプ」をアプリベンダー向けに提案した。

 LINE FreeCoins Videoは、企業が用意した動画の視聴を完了すると、LINE内のボーナスコインに合算され、有料商品が購入できる「フリーコイン」が得られる動画サービス。田端氏によると「スマホユーザーの約6割が動画視聴をしており、テレビやPCとスマホを併せて“トリプルスクリーン”視聴している人も多い。スマホはテレビが見られないオフィスや電車内などで利用する補完ツール」だという。

photophoto スマホユーザーの約6割が動画を視聴している(写真=左)。テレビやPCの動画と併せてスマホの動画を見ているユーザーが多い(写真=右)
photo テレビCMを補完するツールとしてスマホの動画サービスを利用できる

 ダイレクトスタンプは、LINEのスタンプショップを介さずに企業がユーザーを直接自社サイトやアプリなどからスタンプ購入ページへ誘導できるというもの。「これまでイベント会場で配布したチラシに、スタンプがダウンロードできるQRコードを表示するだけでもチラシの受け取り率上昇などの効果がある」と田端氏は話す。また、これまでは毎週火曜日に3枠だけリリースが可能だったが、そういった制限を取り払うことで、「企業が記念キャンペーンやアプリリリース時など、任意のタイミングで配信できるようになり、より使いやすくなった」(田端氏)という。

photophoto 企業のオウンドメディアからスタンプを配信できる(写真=左)。毎週火曜に3枠だけ提供できるという制限がなくなり、自由度が高まった(写真=右)

 「テレビCMを補完するツール」(田端氏)としてLINEを活用する余地は十分ありそうだ。

テレビCM単体では効果がない? 重要なのは「多角的アプローチ」

photo ガンホー・オンライン・エンターテイメント セールス&マーケティング本部 課長横内皇太氏

 続いて登壇したのは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント セールス&マーケティング本部で同社が提供する全てのスマホゲームの広報・宣伝活動に従事する横内皇太氏。同社のヒット作「ケリ姫スイーツ」を事例に、スマホゲームの効果的な宣伝方法について実績を交えて発表した。

 横内氏が強調するのは「多角的アプローチ」の重要性。「ゲームの新規ダウンロード獲得のことだけを考えると、テレビCMを実施するだけではあまり効果がない」ということだ。

photophoto 新規ダウンロード数増加を図るためには、テレビCM単体のプロモーションではなく「多角的アプローチ」(横内氏)が必要だという

 ケリ姫スイーツはリリース直後こそ右肩上がりでダウンロード数が急増したが、さらなる新規ユーザー獲得や、ゲームの認知率上昇を図るため、2013年8月中旬と2014年9月中旬にマスプロモーションを実施した。目標達成のために横内氏が重視したのは「クリエイティブのインパクト」と「露出面の拡大」だ。

photophoto マスプロモーションの実施を図り、「クリエイティブのインパクト」と「露出面の拡大」を重視した

 クリエイティブ面ででは、夏休みに缶蹴りをしていると、突然「姫」が乱入するというテレビCMを打ち出し、インパクトを醸成した。露出面の拡大という面では、「App Store」や「Google Play」などのマーケットやWeb広告、Webメディア、紙媒体など、あらゆる場所で露出する機会を増やしていった。結果、「CMのみを実施したときはダウンロード数がCM未実施期間より1.67倍に増えたのに対し、露出面の拡大を図った際は14.72倍に増えた」(横内氏)という。「複数の施策を掛け合わせることで効果を最大化できる」と横内氏は説明した。

photophoto テレビCM単体よりも、ほかのプロモーション施策と掛け合わせた方が効果は大きかった(写真=左)。「多角的アプローチ施策」の流れ(写真=右)
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