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» 2018年01月27日 06時00分 公開

石野純也のMobile Eye:“サブブランド規制”を巡る議論の行方は? 総務省の検討会で見えたもの (1/3)

総務省で「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」が開催され、注目を集めている。検討会ではMVNOとMNOの双方が、見解を主張し終えたところだ。テーマは「サブブランドつぶし」ともささやかれるが、果たしてどのような決着を迎えるのか。

[石野純也,ITmedia]

 総務省で「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」が開催され、注目を集めている。現在、検討会は第3回が終わったところで、MVNOとMNOの双方が、見解を主張し終えたところだ。テーマは「サブブランドつぶし」ともささやかれるが、果たしてどのような決着を迎えることになるのか。第2回、第3回の事業者ヒアリングを振り返りながら、今後の展開を予想していきたい。

MVNO MVNOとMNOが一堂に介し、議論を戦わせている。写真は第3回の様子

通信速度面での不利を訴えるMVNO、音声定額やテザリングの開放も

 検討会第3回までのヒアリングに応じたMVNOは、IIJ、ケイ・オプティコム、楽天、トーンモバイル、UQコミュニケーションズの5社。ネットワークを貸す側のMNOとしては、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が出席し、それぞれの意見を述べている。1月15日に開催された第2回の検討会では、IIJ、ケイ・オプティコム、楽天の3社が、サブブランドとの“格差”を主張。公平な競争環境を実現するため、何らかの対策が必要なことを訴えた。

 それぞれの主張は、細部にやや異なるところはあるが、大枠は共通している。1つ目のポイントが、通信速度だ。MVNOはMNOから帯域単位でネットワークを借りているため、ユーザーの通信が集中すると、相互接続点(POI)が混雑してしまい、十分な速度が出なくなる。特にビジネスマンや学生がお昼休みに入る12時台は、速度低下が顕著に表れるMVNOが多い。対するUQ mobileやY!mobileといったMNOのサブブランドの通信は、一般のMVNOよりもはるかに速く、安定した速度が出ている。ここに何かカラクリがあり、不公平になっているのではないかというのが、MVNO側の主張だ。

MVNO MVNOとサブブランドでは、通信速度の違いも大きい

 例えば、楽天で楽天モバイルを率いる、執行役員の大尾嘉宏人氏は、「サブブランドのネットワーク速度は、他のMVNOを大きく上回っている。コスト面で、MVNOでは提供不可能な水準」と語っている。ケイ・オプティコムの取締役常務執行役員、久保忠敏氏も自社でサブブランドと同程度のスピードが出るよう帯域を確保した場合のシミュレーション結果を提出。結果として、「1加入者あたりのデータ利用料が極めて高額になる」としながら、「言い方は悪いかもしれないが、膨大な利益が、一般のMVNOつぶしに使われているのではないか」(同)と疑問を投げかけている。

MVNO
MVNO 楽天とケイ・オプティコムは、サブブランドと同等の速度を実現するためのコストが高すぎると主張した

 ネットワークの速度以外でも、MNOに対する要求が挙がった。楽天の大尾嘉氏は、音声通話の卸料金が従量制であることを指摘しながら、「MNOの言い値で高止まりしている。準定額や、定額料金が適用されない」と語る。同様の問題意識は、トーンモバイルも挙げており、音声定額の卸プラン化を提案している。データ通信とは異なり、音声通話は卸プランで一律に提供されているが、この料金が従量制のため、サブブランドと比べたとき、不公平になっているというのがMVNO側の理屈だ。

 また、サブブランドの宣伝手法や、番号ポータビリティを利用する際に、電話口でサブブランドへの引き留めを行う行為も問題視された。宣伝の仕方について、トーンモバイルの取締役 中村礼博氏は、「同程度のテレビCMを展開するのは困難」と言いつつ、「1480円、1980円という言葉が躍っているが、実際に見てみると、光回線を契約したときだったり、2年目は料金が上ったりしている。端末代が含まれているのも一部のみ」と語る。固定回線とのセット契約時の料金や、キャンペーンで1年目だけ下がった料金を大々的にアピールするのは問題があるというわけだ。

MVNO
MVNO 広告手法や番号ポータビリティの予約番号取得時に行われる引き留めを問題視するトーンモバイル

 サブブランドへの誘導については、IIJの取締役 島上純一氏が、「プライムブランドからサブブランドへの移行を、差別的に扱うプロモーションがなされている」と指摘。番号ポータビリティ利用時に、auがUQ mobileを、ソフトバンクがY!mobileを案内する宣伝が、MVNOへの移行を妨げているのではないかと疑問を呈した。この他、「MNOによる端末販売では、代理店による高額キャッシュバックあり、一括0円が横行している」(大尾嘉氏)、「SIMロック解除の見直しで利便性は向上したが、中古市場では課題が残る」(久保氏)といった、端末販売やSIMロック解除についての問題提起も行われた。

MVNO 楽天は一括0円販売の事例を挙げ、MVNOへの移行の支障になっていることを語った
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