とはいえ、全体を見渡すと、新たなコンセプトを提案するというより、マイナーチェンジで完成度を高めた端末が多かった印象を受ける。誤解を恐れずにいえば、数の割に、端末の印象は薄いMWCだったともいえる。スマートフォンの進化が頭打ちになりつつあることに加え、インフラの世代が変わる直前というタイミングもあり、新機軸を打ち出すより、既存のモデルをブラッシュアップした方がいいという判断があったのかもしれない。
5Gやハイエンドスマートフォンとは対照的に、新興国向けの取り組みも目立った。Googleは、MWCに合わせてAndroid Oreo(Go Edition)を採用した端末を紹介。MWCでは、HMD Globalの「Nokia 1」や、TCLの「Alcatel 1X」、Huaweiの「Y5 Lite」など、複数の端末が発表され、Googleのブースには、複数の端末が並べられていた。Android Oreo(Go Edition)は、もともと「Android Go」と名付けられていたOSで、メモリが512MBから1GB程度の低スペック端末でも快適に動くよう、OS自体が軽量化されている。
内蔵されるマップやYouTubeなどのGoogle純正アプリも、端末のスペックに合わせてあり、新興国向けに、通信量を削減する機能を搭載しているものもある。かつてこうした端末は、2Gや3Gが一般的だったが、Android Oreo(Go Edition)はLTEもサポート。5G導入を前に、いよいよLTEがローエンド端末にまで浸透しつつある状況だ。その意味で、Android Oreo(Go Edition)の端末は、インフラの転換期らしいラインアップといえるだろう。
2018年のMWCは「Creating a Better Future」と題していたが、この「よりよい未来」とは、まさに5Gのことだ。商用化が始まる2019年には、この「未来」が「今」になる。基地局ベンダーが2018年内に出荷を完了するスケジュールを考えると、2019年のMWCでは、既に5Gを開始しているキャリアが出てくるかもしれない。どちらかというと、基地局やコアネットワーク、チップセットなど、キャリアやメーカー向けの5G関連製品が多く、熱気を帯びていた今回のMWCだが、2019年は、それがコンシューマー向けに落とし込まれた形で披露される可能性も高そうだ。
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