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» 2018年03月30日 06時00分 公開

スマホ売っても利益は「数千円」? 本体価格を決める仕組みとは

なぜ、同じキャリアの携帯電話でもショップごとに価格が異なってくるのか、皆さんご存じでしょうか。携帯電話の本体価格がどのように決まっているかを今回ご紹介します。

[迎悟,ITmedia]

 携帯電話を買いに行ったら、別のお店で聞いた値段と違う価格を案内された――新たな携帯電話の購入を検討している中で、こんな経験をしたことがある人もいるでしょう。あるいは、キャリアのオンラインショップで価格を見てからキャリアショップに買いに行ったのに、オンラインショップより高い価格を提示されたということもあるかもしれません。

 オンラインショップとキャリアショップですら価格が異なる携帯電話。なぜこのようなことが起きているのか、今回は携帯電話の価格設定とお店の関係をご紹介します。

なぜ携帯電話はお店ごとに価格が違うのか

「本体価格」どうやって決まる?

 大手キャリアから販売されている携帯電話の本体価格ですが、販売店に対して「いくらで売りなさい」といった決まりはなく、実はお店ごとに価格を設定できるようになっています。

 キャリアが新機種を発表すると、同社のオンラインショップに新機種が載り、価格や割引額などが分かりますが、これはあくまで「オンラインショップの価格」。街中のキャリアショップや家電量販店の価格を保証するものではありません。

 極端な話、お店ごとに値段を決められるため、最新機種を発売日から「0円で販売」してもいいということです(現実には総務省の目がありますが)。

街中のケータイショップ 多くは「代理店」

 携帯電話販売の仕組みとして、もう1つ覚えておきたいのが「代理店」です。街中のキャリアショップや家電量販店内の携帯電話販売コーナーの多くは、キャリアが直営しているのではなく、携帯電話販売代理店が運営しています。

 彼らはキャリアから携帯電話という商材を仕入れて販売をしており、元値を割れば当然利益を出せません。

 そのため、キャリアショップも家電量販店も、店頭に掲げたプライスカードに記載する価格は、大手キャリアのオンラインショップ価格と同じ価格か、それよりも高い価格になっているということです。

携帯電話1台売って利益は「数千円」

 携帯電話が売れた際の利益ですが、正直なところ、かなりの薄利です。

 1台売って数千円程度。例えば10万円近い高級な機種を売っても、実際に得られる利益はかなり少ないのが現状です。

 それ以外にも販売した携帯電話が「新規契約で売れたのか」「のりかえで売れたのか」「機種変更で売れたのか」といったボーナスの区分があり、それによってキャリアから支払われる金額が変わったり、月間に一定台数以上販売することでインセンティブ(販売奨励金)が発生したりしますが、それでも純粋に一台販売したときに得られる利益はあまりないと考えていいでしょう。

 そこで登場するのが、お店ごとの価格設定です。

 呼び方はさまざまですが、一番目にするのは「頭金」という呼び方で、本体価格に3000円〜1万円ほど上乗せして販売しているお店が多く存在しています。

A店B店 店舗による価格の違い。A店では8640円だが、B店では3240円となっている

 上の写真は、互いに近いドコモショップと家電量販店のiPhone Xの価格です。

 枠内の「実質負担金」「月々サポート」の金額は同じですが、枠外の「頭金」や「支払総額」の金額が異なっていることが分かります。

オプションに入ると本体代が安くなる?

 お店ごとに設定している本体価格ですが、このように「他店よりも高くなるかもしれない」というのは、他店へ契約を取られる機会損失にもなりえます。そこで、「値引き」と「ショップの利益」を両立するために代理店が取っている戦略が「オプションサービスや外部コンテンツへの加入」です。

オプション加入の有無で頭金が変わる案内が小さく書かれている

 オプションサービスとは、キャリアが提供している月額制のサービスで、NTTドコモの「dヒッツ」や、auの「au スマートパス」などのことです。外部コンテンツも、キャリア以外の会社が提供する月額制サービスを指します。

 オプションサービスなどの契約が取れると、店舗には成約報酬が発生します。そしてそのうちの一部を携帯電話価格に当てることで、値引きをしながらお店の利益も上げることができるということです。

 お客さまにとっては月額制サービスへの加入となるので負担増にもなりますが、オプションの多くは「加入から1カ月は無料」など無料期間を設けているため、購入するお客さま側にとっても「損をしないように見える」仕組みになっているのです。

 今回のように「お店によって価格の案内が違った」と気付ければいいのですが、行ったお店でその場で決めてしまうことで損をするケースも考えられます。

 「頭金なし」や「地域最安値」をうたっていても、実際には購入時に加入を求められるオプションサービスが有料・無料期間なしのものである可能性もあり、絶対に安いとは限りません。

 ここまで書いてきた通り、代理店から購入、契約を行う仕組みである以上、同じ看板を掲げていても店舗を運営する代理店により値付けはさまざまです。

 携帯電話を少しでも安く買いたい場合、少々面倒でも「契約時、この場で払う金額がいくらか(頭金として払う金額)」「契約、購入時に加入するサービスはどんなものか」「本体代金の支払い総額はいくらになるか」を確認するべきでしょう。

ライター:迎悟

キャリアショップも家電量販店も併売店も経験した元ケータイショップ店員。携帯電話が好き過ぎた結果、10年近く売り続けていましたが、今はライター業とWeb製作をやっています。

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