2017年からフラグシップスマートフォンのブランドを「AQUOS R」に一新したシャープ。Rシリーズは「AQUOS R」と「AQUOS R compact」の2機種を投入した他、ミッドレンジモデルとして「AQUOS sense」や、SIMロックフリー版の「AQUOS sense lite」を投入した。
2018年3月時点で、AQUOS RシリーズとAQUOS senseシリーズを合わせた出荷台数は100万台を突破した。またBCNランキングでは、2017年のAndroidスマートフォンの販売数1位を達成した。シャープ 通信事業本部 本部長代行 中野吉朗氏によると、2017年度のスマートフォンAQUOSの出荷台数は、2016年度比で140%だったという。
好調の要因について中野氏は「(Rに)ブランドを統一したことで認知度が上がったこと、商品力が強化され、安心して買える国内メーカーであることを理解していただけたこと」だと話す。「2018年も、2年連続(国内Androidスマホで)ナンバー1になれることを目標に取り組んでいく」と意気込みを語った。
AQUOS RとAQUOS senseの台数比率は非公表だが、AQUOS senseも台数増にかなり貢献しているとみられる。ITmedia Mobileでも掲載しているGfKの販売ランキングでは、ドコモの「AQUOS sense SH-01K」が総合トップ10の常連となっている。SH-01Kは(永年月額1500円を割り引く)「docomo with」の対象機種ということも、人気に拍車を掛けた。
ハイエンドはAQUOS Rで攻め、コスパを重視するユーザーに対してはAQUOS senseで攻めることで、幅広いユーザーを取り込めたといえる。
そんなシャープが次世代のハイエンド機として投入するのが「AQUOS R2」だ。AQUOS R2では、動画専用の超広角カメラを搭載したことで、新しいカメラ体験や動画コミュニケーションの在り方を提案していく。
もちろん進化したのはカメラだけではない。AQUOS R compactと同様に、自由な形のディスプレイを開発できる「フリーフォームディスプレイ」を用いたことで、ラウンド形状でも端まで伸ばせるディスプレイが出来上がり、AQUOS Rと同じ74mmの幅をキープしつつ、5.3型から6型に大型化。IGZOディスプレイの応答速度は25%向上し、スクロール時の文字のにじみをより低減できるという。細かいところでは、AQUOS Rでは省かれたのぞき見防止ブロックが復活した。
握りやすくなるようアルミフレームをやや斜めにカットした「エモーショナルエッジ」を継承した他、強度が40%アップした。背面は3Dガラスを採用して高級感も増した(AQUOS Rの背面は樹脂だった)。
放熱設計も強化し、AQUOS Rと比べて約2倍の放熱性、約7倍のパフォーマンス持続力を実現。シャープのテストによると、充電しながらYouTubeを2時間再生しても、AQUOS Rより5度程度低い温度だったという。
約1年ぶりの新製品ということもあり、AQUOS R2はRから全方位で進化を遂げた。動画専用カメラに魅力を覚えた人はもちろん、ハイスペックで使いやすいスマホが欲しい人にもAQUOS R2は向いている。
そして同時に発表した「AQUOS sense plus」は、スマートフォンAQUOSとして初めて投入する、SIMロックフリー専用のモデルだ。本機は、シャープが2017年に発売したSIMロックフリースマホ「AQUOS sense lite SH-M05」からディスプレイ、プロセッサ、カメラなどのスペックを一段上げた“ミッドハイ”といえるモデル。
今のところキャリアに納入する予定はなく、シャープまたはMVNOが扱うことになりそうだ。国内ではHuaweiやASUSがSIMフリー市場で大きなシェアを持つが、シャープの強みとして、通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏は「慣れ親しんだブランドであり、FeliCaや防水にもいち早く対応して、適切な価格で提供できること」だと話す。
シャープがSIMロックフリー専用とあえてうたったことから、SIMフリー市場でさらにシェアを取っていくという意気込みが感じられる。恐らくIIJや楽天など大手MVNOからも発売されるだろう。2万〜4万円台のミッドレンジには、Huaweiが「P10 lite」「nova lite 2」「Mate 10 lite」など多くのモデルを投入している。AQUOS sense plusの価格は未定だが、これらのモデルがライバルになりそう。そのうえで、(Huaweiのミッドレンジが対応していない)防水やFeliCaへの対応は、大きな強みになりそうだ。
今回、キャリア向けのミッドレンジスマホは発表されなかったが、2018年後半にはAQUOS senseの後継機が登場するはず。AQUOS sense SH-01Kのように、コスパの良さが受けてヒットする可能性は十分にある。
キャリア市場のハイエンドはAQUOS R2、ミッドレンジ〜ローエンドはAQUOS sense、そしてSIMフリー市場はAQUOS sense lite/plusで攻めることで、より幅広いユーザーへ訴求できる。ソニーモバイル、サムスン電子、Huaweiなど強力なライバルは多いが、R2の動画カメラ、正統進化したsense plusが多くのユーザーに受け入れられれば、「2年連続Androidナンバー1」達成を大きく後押ししそうだ。
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