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2018年度中にQRコード決済市場に参入 KDDIが「au WALLET」で“次”を目指す理由モバイル決済の裏側を聞く(1/3 ページ)

» 2018年07月06日 12時25分 公開

 「au」ブランドで携帯電話サービスを提供するKDDIが、いわゆる「決済」という枠組みで本格的にビジネスを立ち上げたのは、2014年2月に、当時の社長だった田中孝司氏(現会長)が発表した「au WALLET構想」にさかのぼる。

 従来までデジタルコンテンツの世界にフォーカスしていた「au ID」を「O2O(Online to Offline)」、つまりリアル店舗の世界へと拡張することを目標としており、オンライン決済のWebMoneyに加え、Mastercardとの提携で世界210以上の地域で3600万以上の加盟店を持つ同社の決済ネットワークを利用可能にするというものだった。

 その第1弾として発表されたのが「au WALLETカード(プリペイド)」で、「グッバイ!おサイフ!」を掛け声に物理的なプラスチックカードを使った“キャッシュレス”での店舗決済が可能になった。au WALLETは申し込みに対してカード発行が追い付かないレベルで急成長を遂げた。後にはクレジットカードの発行も開始し、同社のビジネスの軸の1つとなりつつある。

au WALLET 2014年から発行している「au WALLETカード(プリペイド)」
au WALLET au WALLETのプリペイドカードは発行枚数1970万、クレジットカードの発行枚数は340万を突破した

 2016年末には日本国内でサービスを開始したApple Payとの連携も開始し、本当の意味での「グッバイ!おサイフ!」の世界が近づきつつある。au WALLETの拡張として、2018年度中に「QRコード決済」「資産運用/ローン」のサービスを提供予定であることを、2018年4月5日の社長就任会見で高橋誠氏が発表した。

 今回、au WALLETを軸としたKDDIの決済戦略について、KDDI ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 パートナービジネス推進部長の中井武志氏に話を聞いた。

「バーチャル口座」を中心に「出口」を増やす

 「おサイフケータイもやっていた会社が、なぜ(NFCなどの)スマートフォンを使ったサービスではなくて“板”の形でau WALLETを出したのか」というのは、サービスの開始当初に聞かれた意見だ。

 筆者も同様の感想を抱いたと同時に、「非接触方式よりも(磁気ストライプを使った)カード型の方が使える場所が多い」ということで「現実的な選択」と思っていた。「なぜ“板”で出したのかといえば、皆に持ってもらえる形を検討したからです」と中井氏は答える。

 「現在プリペイドとクレジットで、それぞれ1970万と340万の発行枚数があり、流通額は(発行枚数の少ない)クレジットの方が多い。『(au WALLETプリペイド)カードが約2000万枚ある』という言い方もできますが、『サーバに“バーチャル口座”がある』という言い方もできます。このバーチャルにたまっているお金をどういう出口で使っていくのかを考え、その形の1つが“板”というわけです。

 口座という考えからいけば、金額を増やすための資産運用という話もありますし、“出口”という意味では“板”という形だけでなく『Apple Pay』などへの対応もあります。au WALLETプリペイドカードに、残高不足分がじぶん銀行との連携でリアルタイムチャージされるサービスを発表しましたが、これもチャージに手間取るという利用者の声を反映したものです。

 銀行口座直結により、店頭でチャージ不足によるもたつきをなくし、デビットカードに近い使い勝手が実現できるようになります。お客さまが望まれる出口と入口を提供し、バーチャル口座をより便利に日常生活で使ってもらえる機会を増やしていくのがau WALLETの基本戦略です」(中井氏)

au WALLET KDDI中井武志氏

 つまり、au WALLETは中心にバーチャル口座が存在し、この口座の残高に対して利殖を行う「資産運用」や一時的に残高を増やす「ローン」のようなサービスが考えられる。さらに、入口となる「じぶん銀行」、出口にあたる「プリペイドカード/クレジットカード」「Apple Pay」といった外部サービスとも連携している。

 「QRコード決済」も出口という名の「インタフェースの1つ」でしかなく、「たまたま今はQRみたいなインタフェースが話題になっていますが、これもまた今後変化していくでしょう。そこはお客さまに選んでいただければいいと考えています」(中井氏)というスタンスだ。

 また中井氏によれば、2014年のサービス開始当初は「Mastercardプリペイドカード」という「ブランドプリペイド」自体が日本国内ではなじみのある製品ではなく、多くの利用者に分かりやすく使ってもらえることを目標に、なるべくシンプルな形でサービスを提供することを目指したという。

 できることもアプリ経由での入金などに限定し、まずは認知向上と利用促進を優先した。当初は手探りだったサービスも、ある程度規模が拡大することで次のステップが見えてくる。KDDIは対外的な中期経営計画で2018年度の事業規模を2兆円程度と見積もって報告しており、当面はこの目標数値を目指していたが、流通額に関していえば2.4兆円が見えてきており、現在はこれに向かって少しずつ数値を積み上げている段階だ。先の新サービスの話題も、これをブーストさせるための効果が期待される。

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