初代「R」の不満も解消 「AQUOS R2」で目指した“快適さ”開発陣に聞く「AQUOS R2」(後編)(1/2 ページ)

» 2018年07月10日 10時58分 公開
[田中聡ITmedia]

 シャープの新たなフラグシップスマートフォン「AQUOS R2」の開発者インタビュー。前編ではカメラ機能に焦点を当てたが、後編ではディスプレイやパフォーマンスについて話を聞いていく。

AQUOS R2 シャープの「AQUOS R2」
AQUOS R2 AQUOS R2の開発メンバー

さらに額縁を狭くできた理由

 AQUOS R2は約6型のWQHD(1440×3040ピクセル)のIGZO液晶ディスプレイを搭載。「AQUOS R compact」と同様に、液晶の形を自由に変えられる「フリーフォームディスプレイ」を採用することで、額縁をギリギリまで狭めながら、角を削ることに成功。本体全体も丸みを帯びている。

AQUOS R2 通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部 佐藤雄一氏

 インカメラは液晶をくりぬく形で上部に搭載しており、違和感なく自分撮りができる。同じ形状のAQUOS R compactのインカメラは800万画素だったが、AQUOS R2では1600万画素にアップしており、カメラモジュールも大きくなっている。通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部の佐藤雄一氏は「カメラの存在感をなるべく消し、いかに詰めるかにこだわりました」と苦労を話す。

 下部は指紋センサーを搭載する関係で、額縁を比較的広く取っているが、佐藤氏によると、よりギリギリまで狭額縁化できるよう、下部のガラスは角をわずかにカットしているという。液晶自体は角が削られているが、ガラスはその下まで伸びている。AQUOS R compactのガラス(下部)は角がとがっているが、R2は角を削っているため、より額縁を狭めることができた。

AQUOS R2 左が上部コーナーやインカメラの部分をカットする前、右がカットした後のガラス
AQUOS R2 下部のガラスは微妙に角を落としている

 このガラスを削った部分にアンテナを置くことで、より効率よく部品を配置できるようになった。さらに、指紋センサーはR Compactでは液晶ドライバと並列で置いていたが、R2では液晶ドライバの上に搭載することで、その分スペースに余裕が生まれ、ここでも部品の配置効率が上がっているという。

ディスプレイの駆動を120Hzから100Hzに下げても問題なし?

 AQUOS R2のディスプレイは、残像感のない滑らかな表示が可能な「ハイスピードIGZO」に対応しながら、AQUOS Rから応答速度を25%向上させた。一方で、1秒あたりの画面の更新回数は、AQUOS Rの120(120Hz)から100(100Hz)に減っている。なぜスペックを下げながら、応答速度が向上したのだろうか。

 佐藤氏は「120を追うべきだという議論もありましたが、結局のところパフォーマンスが良くないと意味がありません。AQUOS Rを深いところまで解析した結果、まだチューニングできる点がありました」と振り返る。

 通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部の田邊弘樹氏によると、AQUOS Rでは確かにカクツキがない一方で、120Hzに間に合わないとフレームが欠けることがあるという。AQUOS R2ではコマ落ちしないよう、あえて100Hzに下げたというわけだ。

AQUOS R2 100Hzにしてもコマ落ちがしないよう調整した

 「シャープ純正のアプリは120Hzでも回せると思いますが、解像度が大きいものを無理やり120Hzで動かそうとすると、コマ落ちすることがあります。100Hzだと、10分の1〜30分の1ぐらいコマ落ちが減ったアプリがあるので、全体の滑らかさは100Hzの方が高いと判断しました」(通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏)

 応答速度が上がっているので、「違いが分からないほど滑らかに動いている」(小林氏)という。応答速度の向上は「(液晶の)材料を変えることで、制御する電圧を上げやすくなった」(佐藤氏)結果とのこと。

AQUOS R2AQUOS R2 通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部 田邊弘樹氏(写真=左)。通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長 小林繁氏(写真=右)

放熱対策のさらなる工夫

 放熱対策も、「普通だとやらないことをしている」と佐藤氏が言うほど工夫している。AQUOS R2はAQUOS Rから液晶が18%大きくなっており、Rよりもバックライトを強くしないと同じ輝度が得られない。輝度が上がるほど発熱しやすくなり、かつ熱源に近いところに指紋センサーがあるため、ここが熱くなりやすい。そこで、グラファイトシートをバックライトの裏側に広げることで、本体全体に熱を広げるよう工夫した。表側で発生した熱を裏に逃がしているというわけだ。

 表面温度は、AQUOS Rから取り入れているノウハウを生かし、外側に近い場所に温度センサーを配置し、より正確に温度を測ってパフォーマンスを落とさないようにした。

 また、内部の金属板とアルミフレームを一体成形することで、中に熱がこもらないようにした。これはAQUOS R compactでも取り入れている手法だ。AQUOS Rでは金属板とアルミフレームを溶接でつないでいた。「早く放熱をさせるので、最初の温度は高く感じるかもしれない」(小林氏)が、すぐに熱が分散されるので、常に熱いと感じることは少ないはずだ。

AQUOS R2 熱源が近いため、指紋センサーが熱くなりやすいが、すぐに熱が分散するようにした
AQUOS R2 放熱シート(グラファイトシート)をバックライトの裏側に広げ、金属板とアルミフレームを一体成形にすることで、熱がこもらないよう工夫した
AQUOS R2 ディスプレイの裏側に貼ったグラファイトシート

 AQUOS Rでは標準カメラと動画用カメラを使い、動画を撮りながら、もう1つのカメラで静止画を撮るという「AIライブシャッター」を搭載している。これは端末に相当の負荷がかかる動作であるため、「今まで以上にデリケートに放熱設計をしました」と小林氏。その結果、AQUOS R2では長時間の動画撮影もこなせるようになり、「数十分は撮影を続けられる」(小林氏)そうだ。

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