インタビュー
» 2018年10月29日 13時00分 公開

「捕まえる」存在から「寄ってくる」存在に――JapanTaxiが目指すタクシーの未来(前編) (1/3)

最近「JapanTaxi」というタクシー配車アプリが注目を集めている。このアプリを開発したJapanTaxiとは、どのような会社なのか。アプリによってタクシーの利用動向に変化はあったのか。同社のCMO(最高マーケティング責任者)に話を伺った。

[井上翔,ITmedia]

 皆さんは「JapanTaxi(ジャパンタクシー)」というスマートフォンアプリをご存じだろうか。名前から察せる通り、タクシーを呼び出せるアプリだ。

 このアプリには一部の対応タクシー事業者で使える「JapanTaxi Wallet」というコード決済機能も備えている。支払い方法(クレジットカード、Google Pay、Apple Payに対応)を事前登録し、車内のタブレット端末でQRコードを読み込めば、降車前に運賃の支払いが完了してしまう。

 Walletを使えるタクシー事業者なら、呼び出し・乗車から降車までスマホ1台でスムーズにできてしまう。この利便性の良さに引かれ、筆者も今ではJapanTaxiアプリとJapanTaxi Walletのヘビーユーザーである。

JapanTaxiアプリ(Android版)JapanTaxi Wallet(Android版) JapanTaxiアプリでは、現在地周辺にいるタクシーの状況を調べて配車予約できる(写真=左)。対応事業者ではJapanTaxi Walletを使って運賃の決済を降車前に完了することもできる(写真=右)

 このアプリを開発し、付帯するサービスを運営しているのはJapanTaxiという会社。実はこのアプリ、元々は「全国タクシー」という名前だったが、9月に社名に合わせる形で改名したのだ(参考リンク)。

 今回、同社でCMO(最高マーケティング責任者)を務める金高恩氏にインタビューする機会を得たので、2回に分けてその模様をお伝えする。

 この記事では、企業としてのJapanTaxiのあらましや、タクシー配車アプリを開発するに至ったいきさつ、配車アプリによるユーザー動向の変化についてまとめる。

金高恩CMO インタビューに応じてくださったJapanTaxiの金高恩CMO

元々は「給与計算の会社」だったJapanTaxi

―― 本題に入る前に、会社としてのJapanTaxiについて教えてください。

金氏 弊社のルーツは、1977年に創業した「日交計算センター」という会社です。

 タクシー乗務員の給与は一般的に歩合制ですが、ひとりひとりの歩合計算を都度行うことは大変な作業です。そこで、(グループ企業である)日本交通の乗務員の歩合計算をシステム化、今でいえばIT化するために生まれた会社が弊社です。

 ある意味で、日本交通グループの中で唯一(IT)エンジニアを抱えていた集団でもあります。

―― 会社概要を拝見すると、前の社名は「日交データサービス」だったようですが……。

金氏 JapanTaxiは2015年8月から使い始めた3代目の社名です。

タクシー配車アプリのパイオニア きっかけは「ピザ宅配」

金氏 現在、弊社社長を務めている川鍋一朗は、日本交通の3代目社長として同社の経営立て直しに尽力してきました(筆者注:川鍋社長は現在も日本交通の会長を兼務している)。その結果、日本交通は黒字化できました。

 経営的に余裕が出てきたところで、2011年に“攻めの一手”として取り組んだのが(JapanTaxiアプリのルーツである)「日本交通タクシー配車」アプリです。

―― 日本交通は早くからタクシー配車アプリに取り組んでいた印象があります。

金氏 川鍋は「Uberよりちょっと早く(タクシー配車を)始めた」とよく言っています(筆者注:Uberが日本でタクシー配車サービスを始めたのは2014年8月のこと)。

広報担当者 とあるピザ宅配チェーン店が配信していた、GPSを使った宅配アプリに着想を得たようです。「同じことがタクシーでもできる良いのではないか」と。

金氏 「(指定した場所に)呼ぶ」という観点では、ピザの宅配もタクシーの迎車も発想は一緒です。日本交通タクシー配車は、そういう意味で攻めの一手となりました。

日本交通タクシー配車 JapanTaxiアプリのご先祖様である「日本交通タクシー配車」
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