トーンモバイルが12月19日、iPhone向けの通信サービス「TONE SIM(for iPhone)」をメジャーアップデートした。
TONE SIM(for iPhone)は、トーンモバイルのAndroid端末で提供している見守りサービス「TONEファミリー」を、iPhoneでも使用可能にするもの。月額料金は1500円(税別、以下同)で、インターネットの使い放題やIP電話の基本料金が含まれる。iPhone 5s以降のSIMロックフリー版かドコモ版、SIMロックを解除したau版とソフトバンク版で利用できる。
従来のバージョン(1.0)では、以下の機能が利用できる。
新バージョンの2.0では、従来のプリインストールアプリだけでなく、サードパーティーのアプリも制限可能にする。ただしアプリごとに通信を解析する必要があるため、当初は「YouTube」「LINE」「Facebook(Instagram)」「Twitter」に限り、モニターテストに申し込んだユーザーのみ制限可能にする。モニターテストに参加した人は月額料金から500円を割り引く。テスト期限は現時点では定めていない。このモニターテストでは、アプリやWebの使用を「時間ごとに」制限できるようにもなる。
例えばYouTubeを使用禁止にすると、アプリを立ち上げても何も表示されなくなる。LINEを使用禁止にすると、相手がスタンプを送っても自分の画面には何も表示されなくなる。
トーンモバイルのAndroid端末は、端末側でアプリの制限ができるが、iPhoneでアプリを制限するには、ネットワークに手を入れる必要がある。そこで、親会社のフリービットが開発した「AIファイアウォール」というシステムを活用。AIファイアウォールは、ソフトウェアで定義されたネットワーク構成の「SDN」、通信を暗号化する「VPN」と、「AIフィルター」で構成されている。
AIファイアウォールについて同社は「キャリアグレードファイアウォール」とも呼ぶ。トーンモバイルの石田宏樹社長は、今回のネットワーク制御は「キャリアがガラケーにやっていたことに近い」と言う。スマートフォンでは、端末の細かな制御ができるのは「OSを作っている2社(AppleとGoogle)」だとし、「ガラケー時代にあったような、どんな端末がつながってもフィルタリングが機能する、そういうものを作っていきたい」と同氏。TONE SIM(for iPhone)ではネットワーク側を制御することで、サードパーティーのアプリやブラウザを時間ごとに制御できるようになったというわけだ。
なお、TONE SIM(for iPhone)のSIMが挿した状態では常にVPNに接続されており、これはWi-Fi接続時も同様。そのため、通信が暗号化されていないフリーWi-Fiを安全に利用できるというメリットもある。
この他、あんしん電話が音声オプションの着信にも対応し、標準電話アプリでも迷惑電話を検知可能になった。このあんしん電話に用いている「TONEあんしんゲートウェイ」を拡張。インターネットと現実世界の行動データを相互学習し、個人向けに最適化するという。
このAIを活用した機能として、TONEファミリーに異常検知機能を提供する。TONE SIM(for iPhone)を入れたiPhoneを持った子どもの移動を検知し、通常の行動とは違う「異常」な行動を検知すると危険な状況だと判断し、保護者に緊急アラートが入る。これはトーンモバイルのAndroid端末にも提供される。
石田氏は、異常検知機能について「当初は教師データを使うが、データが集まることで、個人ごとにカスタマイズされ、例えばこの場所でこのアプリを使うはずがない、この時間に電話をかけるはずがない、といった動きを検知する」と説明する。
緊急アラートは単なる通知ではなく、親が気付きやすくなるよう電話の着信と同じ挙動で通知が来る。そこからアプリに切り替わり、子どもの移動状況を確認したり、電話をかけたりできる。トーンモバイルはこれを「スマート通知」と呼んでいる。
今回のアップデートの狙いは、子どもの「ネット生活」と「日常生活」の両方を守ること。同社は「AIでスマホが守るサービス」を実現していくとしている。
石田氏は、12月19日の発表会で、トーンモバイルの直近の状況も説明。2018年9月単月で、トーンモバイルが黒字化を達成したことも紹介した。
トーンモバイルのユーザー属性は、2018年11月末時点で、19歳以下が42%、50代以上が31%で、子どもとシニアだけで73%を占める。2018年11月30日からは、自治体や学校を対象に、トーンモバイルを紹介しつつ、スマートフォンの安全利用について啓発をする「スマホあんしんラボ」を開始した。
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