……と、ご託を並べた所で実際にどのくらい通信速度が改善するのか確かめてみないことにはハッキリとしたことはいえません。そこで、WiMAX 2+の電波状況が微妙な環境下でWX04とWX05を並べてスピードテストをしてみました。
測定場所は東京都新宿区の某所、通信モードは「ハイスピードモード(WiMAX 2+単独モード)」です。測定は3回ずつ実施し、WX05は別売のクレードルの「あり」「なし」でそれぞれ計測しています。
結果をまとめた表が以下のものになります。
見ると一目瞭然ですが、上りの通信速度については確実に改善しています。両機種の「電波インジケータ」で表示される電波が半分未満の環境で行ったテストでは、WX04の上り通信速度は平均1.5Mbps以下にとどまるのに対して、WX05では平均を取るまでもなく安定して2Mbpsを超え、最も速い測定では3Mbpsに迫る速度となりました。
一方で、今回の測定の限りでは、下り通信速度に関しては両機種で有意な差があるとは言いがたいです。
ともあれ、WX05は通信速度の「ギガ越え」は実現できなかったものの、WiMAX 2+の電波が到達しづらい「家の壁」において上り速度を改善する効果はありそうです。
前回の連載でもお伝えしたように、ネットの実効速度を改善するためには、下り通信速度だけでなく上り通信速度の改善も重要なポイントです。
「下りの速度が速ければ良いのでは?」という人もいるかもしれませんが、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した大量の画像・動画をクラウド(オンライン)ストレージにアップロードしたり、YouTubeなどで動画のライブ配信をしたりするなど、上り通信をする機会は確実に増えているので、その改善も重要になってきているのです。
筆者の場合、WiMAX 2+を含めたモバイル回線で大量のデータアップロードをする場合は「夜寝る前に処理を始めて朝目覚める頃に終わらせる」か、「より高速なホテルなどのWi-Fiを使ってアップロードする」かのどちらかの方法をとっています。
国内のビジネスホテルでは、利用が集中する時間帯には下り通信速度が低下することがあっても、上り通信速度まで低下することはそれほど多くありません。なので「アップロードはホテルの回線、ダウンロードは速度の速いモバイル回線」という使い分けをすることもあります。
ただ、ホテルのWi-Fiは部屋まで電波がよく届かないこともあり、もっというと1台のルーターに多すぎる機器が接続されて不安定になることもあります。
こんな時に備えて、筆者は小型のWi-Fiルーターを持ち歩くことがあります。ホテルの部屋に有線LANケーブルがあれば、「ひとりじめのWi-Fi」によってより良い通信環境を得られることがあるからです。
WX05も、オプションのクレードルを用意すれば小型Wi-Fiルーター代わりに使えます。クレードルの有線LANポートとホテルの有線LANポートをつなげば良いのです。
このクレードルには外部アンテナが付いており、WiMAX 2+とWi-Fiのパフォーマンスが改善します。WiMAX 2+だけではなく、Wi-Fiの到達距離も本体単体と比べて広がるため、ホテルでWX05を使用する際に大いに役立ちます。
もちろん、自宅で固定回線用のルーター代わりに使うのもアリです。
この他、WX05にはWi-Fiの空いている周波数帯に接続する機能が新規搭載されています。本体ディスプレイ上でWi-Fiの混雑状況をチェックし「チャネル1」「チャネル6」「チャネル11」のいずれかを選ん接続……するのですが、チャネル数で分かった人もいるかとは思いますがこの機能は2.4GHz帯のみ対応しています。
筆者はホテルの客室内やカフェなどの、屋内でWiMAX 2+対応ルーターを使う機会が多いため、できれば5GHz帯もサポートしてくれるとありがたいのですが……。
スペック上の通信速度が上がっていないことは寂しいところですが、WX05(とHOME 01)は、ある意味で現状のWiMAX 2+の通信速度の中で「できることはやり尽くした」機種なのかもしれません。
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