「5G元年」「楽天参入」の2019年 携帯キャリアが年頭所感で決意表明

» 2019年01月07日 13時32分 公開
[田中聡ITmedia]

 2019年が明け、通信キャリア各社のトップが年頭所感を発表。今回はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、UQコミュニケーションズに加え、2019年10月にMNOとして携帯サービスを開始する予定の楽天のコメントも紹介する。

 2019年はモバイル業界が大きく動く年になりそうだ。菅義偉官房長官の「携帯料金は4割値下げする余地がある」発言をきっかけに、料金が大きく見直される動きが進みつつある。総務省も「シンプルで分かりやすい携帯電話に係る料金プランの実現」に向け、端末代金と通信料を分けた「分離プラン」の導入を各社に要請している。こうした動きの中、ドコモは2019年春に料金プランを改定することを予告している。

 また、ドコモは2019年9月に開催されるラグビーワールドカップに向けて「5G」のプレサービスの提供も予定している。2020年の本サービス開始に向け、どんな内容になるのか注目が集まる。10月には先述の通り楽天がMNOとして参入する。KDDIは2018年4月に高橋誠氏が社長に就任。11月には、楽天と決済・物流・通信分野での資産を相互活用することを発表した。ソフトバンク(ソフトバンクグループの通信子会社)は2018年12月に東証1部に上場し、大きな節目を迎えた。こうした中、各社はどのような戦略でモバイル事業を展開していくのか。

NTTドコモ:高速・大容量を生かした5Gプレサービスを提供する

 ドコモの吉澤和弘社長は、2018年は中期戦略の「beyond宣言」を着実に実行して事業基盤の変革に取り組んできたと振り返る。会員基盤の強化に向けて、コード決済サービス「d払い」や、「ポイント投資」などの新サービスも始めた。2018年度の業績は、年間業績予想に対して順調に推移していると評価する。

ドコモ NTTドコモの吉澤和弘社長

 2019年は「2020年代のさらなる成長に向けた変革の年」だと吉澤氏は考える。2018年10月に発表した中期経営戦略の中で、ドコモは2020年代の持続的成長に向け、「(1)お客さま還元の実施とお客さま接点の進化」「(2)顧客基盤をベースとした収益機会創出」「(3)5Gによる成長」を目標に掲げる。

 (1)については、「おトクでシンプルな料金プランによる還元を実行すること」を改めて予告。3Gケータイからスマートフォンへの移行も積極的に進めていくとしている。

 (2)については、一人一人に寄り添ったデジタルマーケティングをさらに進めることで、「会員」を軸とした顧客基盤を強化するとともに、加盟店や法人企業などのパートナーの拡大も狙う。

 (3)の5Gについては、2019年9月のラグビーワールドカップを皮切りにプレサービスを開始する。まずは「高速・大容量」という特徴を生かし、スポーツ観戦やeスポーツイベントなどで新たな体感ができるサービスになるという。さらに、2000を超えるパートナーとの協創を通じて、産業、医療、防災といった社会課題の解決や地方創生に貢献できるサービスの創出を目指す。

KDDI:2019年は非常に厳しい環境になる

 KDDIの高橋誠社長は、2018年4月の社長就任以降「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」と「ワクワクを提案し続ける会社」を「目指す姿」として掲げ、「通信とライフデザインの融合」を事業戦略の核とすることを強調してきた。

KDDI KDDIの高橋誠社長

 高橋氏が社長就任後、KDDIは通信とライフデザインの融合の一環として、Netflixとのセットプラン、クルマや産業機械などIoTの海外通信接続からサービス提供までをサポートする「IoT世界基盤」、5GやIoTに関連するビジネスの開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」などを発表した。

 新中期経営計画がスタートする2019年4月以降は、通信とライフデザインの融合の本格始動を基本方針とする一方で高橋氏は「これを実現するためには、非常に厳しい環境下にあることを十分に認識していただきたい」と提言。

 2018年秋から始まった「社会的要請ともいえる料金プラン見直しの他、モバイルサービス全般の競争ルールについて総務省における包括的検証」、2019年秋の「新たなMNO事業者(楽天)の参入」により、「われわれの事業運営に大きな影響を及ぼしかねない非常に厳しい状況に変化してきている」と危機感を募らせる。

 そうした中で持続的成長を継続していくためには、事業基盤を強化する必要があることを強調。そのためには、「全ての社員がイキイキと生産性高く働ける環境を整備すること」「売上最大、経費最小を基本とする『筋肉質の経営』に徹すること」が必要だとした。

ソフトバンク:通信事業の基盤を強化し、新規事業も展開

 東証1部に上場したばかりのソフトバンク。宮内謙社長は2018年を「当社がより大きく羽ばたくための大きな一歩を踏み出した年だった」と振り返る。

ソフトバンク ソフトバンクの宮内謙社長

 宮内氏は2019年を「5G元年」と表現する。より大容量データのやりとりが可能となる5Gの世界では、AIやIoTなどの事業領域との連携が増え、新しいビジネスモデルが生まれるだろう。5Gが生むチャンスを先取りして、多種多様なビジネスニーズに迅速に対応することが、生き残るために必要不可欠とする。

 その中でもソフトバンクは「AI、IoTなどの新しいテクノロジー事業領域において先手を打っている」と宮内氏。既存の通信事業の基盤を強化しつつ、最先端のテクノロジーとネットワークを組み合わせた新規事業を展開するとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用したコスト削減と効率化を目指す。

UQコミュニケーションズ:「ウルトラギガMAX」を訴求する

 2019年で、WiMAXサービス開始から10年を迎えるUQコミュニケーションズ。野坂章雄社長は、同社の「つなぐで、感動を。」という基本理念のもと、MVNOとして提供する「UQ mobile」と、MNOとして提供するデータ通信サービス「WiMAX」を合わせた「ウルトラギガMAX」をさまざまなシーンで紹介するとともに、家族全員がUQのサービスをりようすることの新たな勝ちを提案していくとしている。

UQ UQコミュニケーションズの野坂章雄社長

楽天:楽天エコシステムとのシナジーを最大限発揮する

 2019年10月に携帯キャリア事業に参入予定の楽天。同社は「最初から世界最先端の技術をフル活用して開始する拡張性の高いサービスとなり、楽天としてもこれまでにないチャレンジ。楽天グループの総力を結集して携帯キャリア事業に取り組んでいく」と決意表明。その中で「楽天エコシステム」とのシナジーを最大限に発揮することも掲げている。

楽天 楽天の三木谷浩史社長

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