ドコモの料金値下げ、MVNOへの影響は? IIJ島上氏「正々堂々と戦える環境を作ってほしい」

» 2019年01月07日 15時04分 公開
[田中聡ITmedia]

 2019年は携帯キャリアの料金プランが大きく変わる1年になりそうだ。そのきっかけとなったといえるのが、菅義偉官房長官の「携帯料金は4割値下げする余地がある」という発言。NTTドコモの吉澤和弘社長は、2019年度第1四半期(4月〜6月)に、料金を2〜4割値下げすることを予告している。

ドコモ 2019年4月以降に料金プランを改定予定のドコモ
ドコモ 「おトクでシンプルな料金プラン」を目指す

 この影響を受けそうなのがMVNOだ。通信キャリアの料金が「十分安い」と思えるレベルにまで下げれば、“格安SIM”として安さに定評のあるMVNOに移るメリットがなくなるからだ。MVNOは、この動きについてどう見ているのか。MVNOの老舗ともいえるIIJ(インターネットイニシアティブ)の取締役、CTOの島上純一氏が、2018年12月26日にMMD研究所が開催した勉強会でコメントした。

ドコモ IIJの島上純一氏

 島上氏は「いち消費者としては歓迎する」としながらも、「ビジネスで売価を4割下げられる余地があるというのは、よほどおいしい商売。普通はこういうことはあり得ないという感想」「自由主義経済の中で、政府から値段を下げろという圧力がかかることに対しては不思議に思う」「値下げの余地があるというのは、競争が活性化していないのでは」との疑問点も明かした。

 「消費者にとって値段が下がることは悪いことではないので、異を唱えることは毛頭ない」と述べつつも、MVNO視点では手放しで喜ぶわけにはいかない。島上氏は「MNO(キャリア)の力は強く、競争環境を作っていかないと(MVNOとMNOの)競争が成り立たない。MNOが料金を下げるとともに、(政府には)MVNOも競争ができる環境を作っていただければ、よりよい移動通信事業が形成されると思う」とコメント。

 競争環境の整備に関わってくるのが、MVNOがMNOからネットワークを借りる際に支払う「接続料」だ。「われわれも、今MVNOをやっている中で、MNOに支払っている部分が大きいので、接続料の研究会を総務省で議論している。きちんとした議論で、MNOと正々堂々と戦える環境を作っていただきたい」と島上氏。ユーザーの料金を下げる余地があるということは、裏を返せば接続料も下げる余地があるということ。MNOの接続料は年々値下がる傾向にあるが、ドコモの値下げによって接続料にどれだけ影響が出るかも注目点といえる。

eSIMサービスは「ぜひやりたい」

 島上氏は2019年以降の展望について、スマートフォン向けだけでなく、IoT向けの通信サービスや、2019年〜2020年に開始予定の「5G」通信サービスでも「しっかりと地位を築いていきたい」と語る。また、IIJは加入者管理機能を持ち、自らSIMを発行できる「フルMVNO」のサービスも2018年に開始したことから、端末に埋め込み遠隔で書き込みの操作ができる「eSIM」のサービス提供についても島上氏は意欲を見せる。eSIMは法人IoT向けのイメージが強いが、2018年に登場した「iPhone XS/XS Max/XR」がeSIMに対応したことから、一般ユーザーを対象としたビジネスのチャンスも到来しつつある。

 「MNOが手を付けていない、消費者にメリットのあるサービスを提供できることもMVNOの存在価値。eSIMはぜひやりたいと思っている。現に、実験で幾つかのデバイスへの書き込みが成功しているので、ビジネス化していろいろな方に使っていただきたい」(島上氏)

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