総務省の研究会を傍聴して抱く「時代遅れ感」――5GやIoT時代を見据えた議論は期待できないのか:石川温のスマホ業界新聞

» 2019年02月01日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 総務省の研究会を傍聴していると「これから5G時代になろうとしているのに、なんて時代遅れの議論をしているのか」とつくづく呆れてしまう。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年1月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 ただ、有識者の中には「5GやIoT時代に向けて、こんな議論でいいのか」という意見を投げかけて人もいる。だが、そうした視点の発言が深掘りして議論されることなく、スルーされてしまうのが、この検討会の厄介なところなのだ。

 例えば、ある有識者は「接続料はこのまま10Mbps単位でいいのかわからない。5Gは接続形態自体が変わっていく。そうした視点を持つべき」と発言していた。

 高速大容量になることで、接続料の単位などの見直しが必要なるのは間違いない。また、5G時代にはMEC(モバイルエッジコンピューティング)により、キャリアのネットワークに直接、接続したりしなかったりという接続形態が出てくる可能性もある。

 来年から5Gが始まるというのに、5G時代を懸念する発言は出ても、議論が展開することはない。

 また、総務省ではセルラーLPWAでも接続料をきっちりと決めようという議論をしようとしているが、キャリアからは「そんなの意味がない」という反発の声が出ている。

 確かに、IoT向け通信において、そもそも通信料金で稼ぐというビジネスは存在しないに等しい。IoT通信は、格安スマホと同じように「MVNOはMNOより、安い通信料金」というビジネスモデルはありえないのではないか。そもそも、IoT向け通信料金は安いのだから、MVNOが安価な料金でMNOに戦いを挑むのは無理がある。

 いかにソリューションを考え、システム全体で稼いでいくかが、IoTビジネスの肝であるにも関わらず、総務省では環境を整備しようと「接続料」という視点でしか、業界を捉えていないのがあまりにナンセンスだ。

 有識者からは「端末の数で契約シェアを考えるのは無理がある。iPhoneのようにカードを差し替えれば様々な電波に対応する端末がある。また、eSIMによって、ひとつの端末で複数の契約を書き込めるものもある。4Gと5Gが両方使える端末はどうカウントすべきか。様々な問題を包含している」と指摘する声もあった。

 総務省は契約者数などでシェアを算出し、二種指定などをしようとしていたりする。しかし、5GやIoT時代においては、もはや端末の台数や契約数なども意味をなさない数字になるだろう。

 スピードの速い通信業界に、総務省の議論は全く追いつけていない。先の読めない総務省に、通信業界の未来を委ねてしまっていいのだろうか。本当に心配でならない。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年10月08日 更新
  1. KDDIのローミング縮小でも「やめる理由にはならない」 楽天モバイルユーザー4人が語る本音と“経済圏”の囲い込み (2026年10月05日)
  2. 新コード決済「teppay」はどこで使える?  エキナカ施設からコンビニ、ファミレス、ECまで一挙案内 (2026年10月07日)
  3. 楽天モバイルの「ローミング継続」条件は本当に「エリア外」だけ? 2社のマップから見えた“食い違い” (2026年10月08日)
  4. 楽天ドライブに不正アクセス 1万5382件の保存データ閲覧、313件のパスワードも (2026年10月06日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. Xperia純正充電器がソニーストアから消える 今後は「出力30W以上のUSB Power Deliveryに対応した充電器の使用を」 (2026年10月07日)
  7. モバイルSuicaのコード決済「teppay」10月20日開始 2万円を超えたチャージが可能に (2026年10月06日)
  8. 【ワークマン】2900円の「撥水8ポケットショルダーバッグ」 13型ノートPCも入る収納力 (2026年10月07日)
  9. 注目点は“可変絞り”だけじゃない! 「iPhone 18 Pro」のカメラは思った以上に変わっている (2026年10月05日)
  10. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー