ASUSの「Eco-PC」が環境問題を解決する

» 2008年10月07日 00時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

“モナリザ”が迎えてくれるASUS本社ビル

 ASUSは台北市中心部から北に離れた、MRTの駅でいうと淡水線の「關渡」駅から歩いて数分のエリアに、大規模な本社ビルを構えている。ここから、MRT淡水線で北に数駅いくと、観光名所の港町「淡水」が、南に数駅いくと有名な夜市(ナイトマーケット)の1つとして知られる「士林夜市」に隣接する「劍山」、そして、故宮博物院に近い「士林」という、なぜか観光的に恵まれたロケーションにASUS本社はある。

 このASUS本社ビルに世界各国から関係者を集めて、同社の環境に対する取り組み「Green ASUS」の具体的な内容が紹介された。

台北市中心部から北に30分ほど車で移動したところにASUS本社ビルが高くそびえている。近くには關渡宮や淡水河がある、風光明美な場所だ

ASUS台湾本社で最初に出迎えてくれるのが、マザーボードで描いた“モナリザ”だ。さすがに黒い輪郭は着色されているが、それ以外は、もともとの基板の色を組み合わせて構成されている

 しかし、さすが世界に名だたるASUSだけあって、本社ビルに用意された“福利厚生施設”はとても充実している。広々としたカフェテリアは当然として、ビルの中に社員専用のスターバックスがあるかと思えば、本格的な設備をもつ体育館、多彩なフィットネスギアを用意したスポーツジム、そして、その脇にはビリヤード台までおいてある。

カフェテリアとスターバックスには「打ち合わせ中」のASUSスタッフで混雑していたので撮影は遠慮した。ここでは、カフェテリアの「メニュー」でご了承のほど(写真=左)。学校の体育館に匹敵する規模を持った体育館が本社ビルに併設されているんだからすごいね(写真=右)

「健身房」と呼ぶジムには、たくさんのフィットネスギアが並んでいる。その脇のスペースには2つのビリヤード台が用意されていた。あらら、いきなり突きはじめたのは香港からやってきた関係者

その近くにあったマガジンラックには各種雑誌が取りそろえられている。おやおや、経済誌にビジネス誌、ファッション雑誌にゲーム雑誌はいろいろあるが、PC雑誌はほんのちょっとしかないね。うーん

環境負荷の低い素材に省電力、そして、社会全体で取り組む回収システムがASUSの環境対策

 Green ASUSの説明は、ASUS台湾本社品質長のフランク・リン氏とASUS台湾本社環境技術部責任者のペイリン・ウー氏が行った。日本のマザーボードユーザーにも知られているように、「EPU」の実装によって動作時の消費電力を削減し、製品素材にスズ、鉛といった有害物質を使わないなど、すでに、製品レベルでいろいろな環境対策を行っているASUSだが、本当の意味で環境問題に取り組むためには、社会全体を含めた活動が必要で、そのために立ち上げたのが、Green ASUSプロジェクトだ。

環境対策プロジェクト「Green ASUS」の詳細を説明してくれたASUS台湾本社品質長のフランク・リン氏(写真=左)とASUS台湾本社環境技術部責任者のペイリン・ウー氏(写真=右)

 ASUSは、台湾、米国、欧州でPCのリサイクルを行うプロジェクトを推進しているが、ウー氏は、その中でも特に台湾で行っている“チャリティーリサイクル”活動の「Eco-PC Project Taiwan」について紹介した。Eco-PC Projectでは、不要になったPCをユーザーがリサイクル拠点に持ち込むことで、バックフィーをユーザーに支払うという手法を導入したほか、回収して再生したPCを教育機関などに提供する「チャリティー」的な活動も含まれている。Eco-PC Projectで回収されるデスクトップPC、ノートPC、そしてディスプレイ(CRTも液晶も)は、ASUSの製品に限らない。

 それだけに、製品を幅広く社会全体から容易に回収する仕組み、回収した機材がどのような状態になっているのかを把握する管理システム、再生したPCを必要としている団体やユーザーがどこにどれだけいて、どのようなスペックを持つPCを求めているのかを把握するシステムなどを用意する必要がある。ASUSがEco-PC Projectを立ち上げた目的も、広範囲にわたるPCの回収と再生フローを社会全体で確立させることにある。

 Eco-PC Projectでは、回収拠点やロジスティックを多数構築するために、社会全体に活動をアピールするとともに、ASUSも自社のWebサイトに、ユーザーが不要になったPCやディスプレイを回収業者へ簡単に手渡せる窓口をWebページとして用意している。

ASUSが台湾で推進する不要PCの回収再生活動の「Eco-PC Project」は、ユーザーや回収業者、再生業者も取り込んだ社会全体の活動として盛り上げようとしている

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