ニュース
» 2010年11月10日 22時03分 UPDATE

スクリーン競争が再び激化か? カラー電子ペーパー採用の電子書籍端末が多数登場

幕張メッセで開催中の「FPD International 2010」で、E Inkが発表したカラー電子ペーパーを採用した中国製の電子書籍端末が展示されている。従来のグレースケールと比べて表現力を大幅に増したカラー電子ペーパーを採用した製品は2011年春ごろから市場に登場するだろう。

[西尾泰三,ITmedia]

カラー電子ペーパーを採用した電子書籍端末が登場

tnfig3.jpg 幕張メッセで開催中の「FPD International 2010」、E Inkのブースでは、カラー電子ペーパーを採用した電子書籍端末が参考展示されていた

 国内外で電子書籍市場が急速に盛り上がっている中、高い視認性や低消費電力、(液晶ディスプレイと比べた場合の)目の疲れにくさなどから、AmazonのKindleやSonyのSony Readerなどで採用されている電子ペーパー技術に大きな動きがあった。

 ディスプレイの総合技術展として11月10日から千葉・幕張メッセで開催中の「FPD International 2010」。電子ペーパーの分野でトップシェアを誇るE Inkのブースでは、同社が発表したばかりのカラー表示が可能な電子ペーパー「Triton Imaging Film」を採用した電子書籍端末が展示されていた。


tnfig1.jpgtnfig2.jpg カラーで表示されるコンテンツ。スライタスが用意されており、タッチでの操作も可能。「指でのタッチも今後可能になる」という

 Triton Imaging Filmは、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ上に、透過性のあるRGBW(赤緑青白)カラーフィルタアレイを重ねることで、各サブピクセルで16階調のグレースケール表示を可能にしたもの。端的に言えば、電子ペーパーで4096色のカラー表示が行えるようになった。

 Triton Imaging Filmに関しては「E Inkがカラー対応の電子ペーパーを発表、簡単なアニメ表示も可能に」で説明されているが、白のカラーフィルタを使うことで、RGBの反射光合成で白色を作る場合に起きる反射率の低下を防ぎ、カラー化しつつも可読性を落とさないような作り込みがされている。レスポンスも従来のものと比べて20%程度向上したとしており、これまで電子ペーパーが液晶ディスプレイと比べて劣っていたレスポンスや表現力が向上したといえる。

 FPD International 2010の会場で展示されていた、Triton Imaging Film搭載の電子書籍端末は、中国のHanvon Technologyが開発したもので、9.68インチのカラー電子ペーパーディスプレイを採用。CPUはARMの「Cortex-A8」(800MHz)で、メモリは128Mバイト/256Mバイトを選択可能。内部メモリ容量は2Gバイトだが、microSDカードスロットも用意されている。製品に添えられていたスペックシートでは、プレーンなテキストファイルはもちろん、PDFやEPUB、さらにMicrosoft Officeのファイル(DOC、XLS、PPT)などもサポートすると書かれていた。

tnfig4.jpgtnfig5.jpg レスポンスは悪くなかったが、PDFファイルを開こうとするとフリーズするなど、全体的な完成度では課題を残しているようにも感じた

 サイズ的にはAmazonのKindle DXが競合製品となるが、実際、両製品のスペックは色数を除けば以下のように似通っている。

製品 Kindle DX Hanvonの展示機
サイズ 264.2×182.9×9.65ミリ 270×188×11.2ミリ
重さ 525グラム 554グラム
解像度 1200×824ドット 800×600ドット
16階調グレイスケール 4096色

2011年春ごろから電子ペーパーは大きく動き始める?

FLEPia Lite 富士通フロンテックはE Inkの電子ペーパー技術とは別の技術でカラー化した「FLEPia Lite」を展示していた。8インチで280グラムとかなり軽量だ

 Hanvon Technologyで国際業務部海外品牌主管を務める華佳氏によると、「早ければ2011年の第1四半期、遅くとも第2四半期までに500ドル以下で発売したい。中国だけでなくグローバルで販売する」としている。Amazonのジェフ・ベゾスCEOは中国側の規制などを理由にKindleを中国で発売する予定はないと話しており、アジア圏でのKindleの普及は不透明な状況にある中、今後が注目される。

 なお、E Inkのカラー電子ペーパーが話題だが、ほかの電子ペーパー技術を開発している企業もFPD International 2010でカラー化を披露していた。例えば、液晶方式を採用している富士通フロンテックは、8インチのカラー電子ペーパー搭載携帯情報端末「FLEPia Lite」を展示していた。こちらは8インチながら280グラムと軽量で、2011年以降、5万円以下で製品化していく予定であるという。


 Hanvon Technologyの展示機のように、Triton Imaging Filmを採用した電子書籍端末が2011年の春ごろから市場に登場してくることになる。恐らく、既存の電子ペーパー技術を用いて製品化されているものの多くが時期を合わせてカラー電子ペーパーで刷新されるだろう。もちろんAmazonのKindleも例外ではない。

 Amazonは先日、新聞や雑誌、ニューズレターなどの定期刊行物を発刊している出版社や団体向けの電子出版サービス「Kindle Publishing for Periodicals」を発表している。グレースケールのままでは表現力に欠けるのは明白であり、パブリッシャーの視点で見てもKindleのカラー化が期待される。

 Associated Pressは、「(カラーKindleを)扱わない理由はないが、まだ技術的には十分にこなれていない」というAmazonのコメントを掲載していることから、どこかのタイミングでAmazonはカラー版Kindleを投入するのだろう。恐らくその際、従来のグレースケールモデルは低価格なモデルという新たな位置づけを与えられることになると考えられる。

 電子ペーパーは、高い視認性や低消費電力、目の疲れにくさなどで液晶ディスプレイと比較されることが多い。上述したように、KindleやSony Readerのように電子ペーパーを採用したものもあれば、iPadのように液晶ディスプレイが採用されているものもある。今回、電子ペーパー業界のリーダーであるE InkがTriton Imaging Filmを発表したことで、今後の電子書籍市場に与えるインパクトは大きい。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.