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» 2011年05月25日 11時00分 UPDATE

これから“じわり”とくる:日本の震災が海外企業に与えた影響 (1/2)

日本でビジネスを展開している海外企業も、東日本震災の影響を受けている。この状況にいかに対応しているのか。米国からのリポート。

[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]

Microsoftは災害対策を最優先で

 米Microsoftに勤務するシアトル在住の日本人エンジニアは、震災直後から日本支社のサポートに追われていた。米Microsoftは震災発生後、速やかに災害対策センターを設置して日本にある10の支社と2300人の従業員の状況を確認し、業務支援を含めた対策を講じている。

 日本国内の業務に関しては、日本赤十字社や政府向けとなる災害対策関連の業務が最優先とされ、米国本社勤務の日本人エンジニアなど、普段から日本と業務上のかかわりの深い従業員の多くがそのサポートに当たった。

 日本人エンジニアには、米国内はもちろん、中国やインドのエンジニアからも「日本が大変なことになっているようだが、何か手伝えることはないか」というメールが続々と寄せられた。Microsoftでは「One Microsoft」という社内スローガンの下、普段から国境を越えたエンジニア同士のつながりを大切にしている。彼らが交流する機会を多く設けることで、震災のような非常時に自然とお互いを助け合うことができるという。

 しかし、こうした横のつながりをもってしても、サポートできない状況があったようだ。

震災で露見した言葉の壁

 Microsoftの日本支社機能は東京に集中しているため、社員は他地域のオフィスに移動するか在宅勤務で対応していたが、慣れない環境による仕事の遅延は避けられない。特に、計画停電の影響は大きかった。サーバが使えなくなると一切の業務が停止してしまい、顧客サポートにも対応できなくなる。

 このような場合、日本と時差の少ないインドや中国などにサポート業務を回すなどの対策が取られたが、これらの国には日本人の従業員はほとんどいないため、英語での対応となる。しかし、多くの日本人顧客は日本語での対応を希望したため、タイムリーなサポートが受けられない状況になってしまった。米国本社には日本人のエンジニアも多く在籍しているが、インドや中国の同社拠点に日本人がいないため、グローバル企業のMicrosoftといえど、時差の問題でリアルタイムに日本顧客と話すことは難しい。

 Windows Azureには顧客が世界のどこにいようとも、地球上で同質のサービスを提供できるというコンセプトがあるが、日本は言葉の問題でその輪に入っていけていないという。これまでも指摘されてきた日本が抱える大きな問題が、今回の震災により浮き彫りになったといえる。

kn_tomaru05_01.jpgkn_tomaru05_02.jpg ワシントン州シアトル郊外、レドモンドにあるMicrosoft本社。一帯が“Microsoft城下町”のようになっており、約4万人の従業員が勤務している(写真=左)。本社内のメインビル。数ある本社ビルの中でも新しく、吹き抜けのモダンな作りになっている(写真=右)

3日間で5万ドル強の募金を集めた!

 ワシントン州シアトル郊外のベルビューに拠点を置くウェブホスティング企業のPacific Software Publishing(PSP)Inc.(http://www.pspinc.com/jpn/page/home)は、シアトルに本社を置く日系企業の中でも特に活発な震災支援活動を行っている企業として、地元媒体にも取り上げられた。PSPは日本市場でパートナー企業経由、米国内では再販、直販で合わせて約3万8000社のサービスを取り扱っている。売上げ比率は日本のパートナー企業経由が90%以上を占めており、50人弱の従業員の半数弱が日本人だ。

 PSPは、震災直後に1万ドルのマッチング募金(集まった募金と同等の金額を企業が上乗せして募金するシステム)の実施を決めて3月14日に従業員と顧客、パートナー企業にアナウンスするとともに、自社のFacebookやTwitterアカウントでも告知した。募金は各自で行い、そのレシートをPSP宛に送ってもらうという方法を取ったが、翌15日の午後には多数のメールが寄せられ、その日だけで予定していた1万ドルを超える勢いだったという。PSPは、すぐに1万ドルを追加し、合計2万ドルのマッチング募金をすることを決定した。このアナウンスメールも各地に転送され、米国西海岸はもちろん、東海岸、カナダからも応援のメールが届いたという。

 PSP代表取締役社長 兼 CEOの中村真弓氏は、「日本とのかかわり合いが私しかない米国の顧客が500ドル、1000ドルと寄付をしてくれることに感動した。小学生から手紙と5ドル札の入った封筒が届いたときには涙が出た」と語っている。

 結局、募金開始から3日後の木曜日には2万ドルも大幅に超え、5万ドルを超える金額のレシートが集まった。PSPは約束通り、2万ドルのマッチング募金を米国赤十字社に寄付した。

kn_tomaru05_03.jpgkn_tomaru05_04.jpg ワシントン州シアトル郊外、ベルビューにあるPSPのオフィス。ベルビューはシアトル近郊でも特に日本人が多く住む地域だ(写真=左)。PSP代表取締役社長 兼 CEOの中村真弓氏(写真=右)

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