スマートフォンやタブレットデバイスの注目が高まりつつあるトレンドにおいて、Intelが進める「Ultrabook」のコンセプトを推し進め、いかにしてユーザーに浸透していくかが、Intelが抱える課題となる。キルロイ氏は、モバイル市場におけるスマートフォン、タブレットデバイス、ノートPCの今後の成長率を示し、依然としてノートPCに高い需要があることを強調する。ユーザーの多様な利用シーンにおけるノートPCの需要がほかのデバイスに比べて高く、その上でユーザーの幅広いニーズに応えることが重要とした。
Ultrabookのコンセプトが提唱したのは1年前のCOMPUTEX TAIPEI 2011だ。製品の公開は2011年9月にドイツのベルリンで開催されたIFAだが、その原型となるモデルはASUSとの共同発表で紹介している。それから1年が経過し、2012年の現在では、110以上のデザインが登場し、ようやくジャンルとして確立できるまでになった。当初は「価格が高い」「差別化が難しい」という意見もあったUltrabookだが、PCメーカー各社の努力もあって価格も安くなり、個性的な製品も登場しつつある。この現状についてIntelは、OEMやODM、流通関係者の協力なしには成し得なかったと感謝した。
COMPUTEX TAIPEI 2012のタイミングでは、“Ivy Bridge”世代のCPUを搭載するUltrabookも発表されて、第2ステージへと進もうとしている。「Ivy Bridge for Ultrabook」の特徴は、システムデザインに合わせてデュアルコアのバリエーションを追加しただけでなく、消費電力が前世代の同等モデルと比較しても大きく下がっている点だ。同時に強化した統合グラフィックスによってメディア処理のパフォーマンスが向上しており、高解像度ディスプレイや3Dゲームへのさらなる対応など、携帯利用に影響する仕様と性能を両立させる点も注目したい。また、vProへの対応など、企業ユーザー向けの機能も多数サポートし、ユーザー層の拡大を目指している点も、企業向けユーザーへの普及において大きいだろう。Intelでは、「Raising the Bar」(ハードルを上げる)をキーワードに、Ultrabookのさらなる高機能化やスリム化を目指しており、製品バリエーションの拡大と合わせ、これも第2世代Ultrabookにおける目標ともなっている。
Microsoftが2012年秋にリリースを予定している「Windows 8」は、タッチ操作を主眼にしたユーザーインタフェースを採用し、システムデザインを大幅に変更している。Windows 8を搭載したタブレットデバイスは、その製品デザインの詳細をMicrosoftが厳しく指定していることも知られている。Windows 8の商戦期に投入される第2世代Ultrabookについても、当然ながらこうしたトレンドの取り込みは必須となる。
Acer社長のジム・ワン氏と、ASUS会長のジェニー。シュウ氏は、薄型デザインのUltrabookをアピールするとともに、タッチ操作やコンバーチブル機構など、Windows 8時代に対応した点を強調する。実際、Intelもよりよいタッチ操作の実現に向けた投資や取り組みをアピールしており、第2世代以降のUltrabookでは、これまでのくらむシャルタイプではなく、タッチ操作への対応やタブレットデバイスへの変形、各種センサー技術の取り込みなど、薄さや省電力性とともに、さまざまな利用場面を模索する方向にシフトしつつある。
基調講演で紹介されたユニークなデモとしては、顔認識と音声入力を挙げるだろう。Windows 8ではロック画面からのログイン操作が必須だが、ここで顔認証が利用できる。Nuance TechnologyのDragon Dictationを使った音声入力操作のデモでは、ボイスコマンドで動画や写真をFacebook上にアップロードしたり、Google検索を行ったりと、タッチだけに留まらないUIの可能性も紹介した。さらに、COMPUTEX TAIPEI 2013では、各種センサーを使った新しいサービスを提案できるかもしれないと述べて、さらに進化した第3世代Ultrabookの登場を示唆している。
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