Haswellのココが大事です──「SOixステート」「選べるグラフィックスコア」:IDF 2012(1/2 ページ)

» 2012年09月13日 19時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

アイドル時の低消費電力を司る「S0ix」ステート

 Intelが開発計画で採用する「Tick-Tock」モデルでは、Tickでプロセスルールを変更し、Tockでアーキテクチャを変更する。Haswellは、Tockのアーキテクチャの変更が行われる世代に相当する。Intel Coreアーキテクチャとしては第4世代にあたるもので、第2世代のNehalemがメモリコントローラの統合やTurbo Boost Technologyを導入したアーキテクチャだとすれば、第3世代のSandy BridgeではグラフィックスコアとCPUコアを同じダイに統合し、リングバスを採用したアーキテクチャとなる。Haswellは、NehalemとSandy Bridgeの基本部分を受け継ぎ、「低消費電力」「高パフォーマンス」といった相反する2つの特性を強化すべく、アーテクチャの大幅に改良した。

IntelのTick-Tockモデルにおいて、Haswellはアーキテクチャを刷新する「Tock」にあたり、大幅なシステム更新を行う(写真=左)。Haswellでは、アイドル時における消費電力を従来のCoreアーキテクチャから20分の1に抑える仕組みをいかに実装するかが重要な目標の1つとなった(写真=右)

 IntelがHaswellについて言及するとき、これまでも「IntelのPC向けCPUとして初のSoC採用」「アイドル状態における消費電力を現行の20分の1以下」といった目標を掲げてきた。Haswellは、こうした目標の実現に向けてアーキテクチャを改良してきている。Haswellの開発方針では、処理能力や電力管理に加えて「モジュラー化」について言及している。

 これは、CPUコアの数を2基や4基といったバリエーションから選択するだけでなく、グラフィックスコアも処理要求に応じてGT1、GT2、GT3といった形で選ぶことが可能で、そのコンビネーションから複数のバリエーションが派生する。また、グラフィックスコアの選択と合わせて処理性能の上限を設定できるため、PCシステムのデザインにおける柔軟性が向上する。PCメーカーが作りたいデザインに合わせて最適なCPUを選べることが、SoC(System on Chip)のカスタマイズ的なメリットといえる。

処理性能の強化と低消費電力化、そして、モジュラー化など、Haswellでは新機軸が盛り込まれている(写真=左)。ブロックごとにモジュラー化できるのがHaswellの特徴だ。従来のようにコアの数の変化だけでなく、統合するグラフィックスコアも選べるなど、システム設計に合わせて柔軟な構成が採用できる(写真=右)

新しい電源管理を可能にする「SOix」ステート

 Haswellの低消費電力を象徴するのが「S0ix」ステートの存在だ。ACPIで定義するステートには、アクティブ(スタンバイ)のS0、そして、複数のスリープ状態を示すS1〜S4と計5種類がある。S0はほぼ活動状態で、アクション要求から反応までの時間が短い一方、アクティブとほぼ同じ状態で待機しているため消費電力が大きい。スリープ(S3)やハイバネーション(S4)は、システムの動作がほぼ止まっているため消費電力は極めて少ないが、アクティブ状態への復帰に時間がかかるのが難点となる。

 Windows 8では、システムがアイドル状態でもバックグラウンドでネットワーク通信を行い、Notificationsの警告を発したり、メール送受信やSNSアップデートで手元の動作を常に最新状態にしておいたりできる「Connected Stand-by」と呼ぶ機能を実装するが、S0では消費電力が大きく、S3とS4では復帰までの時間がかかりすぎる。これでは、スマートフォンやタブレットデバイスと比べてPCは使いにくいということになってしまう。

 そこで登場するのが「S0ix」と呼ぶステートだ。消費電力はS3とS4と同じながら、アクション要求がシステムからあるとすぐにアイドル状態から復帰して活動を再開するなど、S0に近い挙動が可能だ。PCでは待機時間のほうが多い傾向にあるので、S0ixステータスにおける動作はバッテリー駆動時間に大きく影響する。このほか、パワーゲーティングや細かい電圧制御を組み合わせることで、これがアイドル時において従来の20分の1という低消費電力へと結びついているのだろう。

アクティブスタンバイの「S0」においても、スリープ状態(S3とS4)と同等の消費電力となる「S0ix」ステートを採用することで、Haswellではアイドル状態における低消費電力と高速レスポンスを両立する(写真=左)。Haswell登場前後におけるモバイルPCの消費電力を比較する。第4世代がHaswellにあたり、特にUltrabookやタブレットPCをターゲットとしたTDP 10ワット以下で大幅な省電力化が可能になる(写真=右)

S0ixステートにおけるアイドル時の低消費電力を実現するため、各デバイス制御がHaswellにおいて重要な位置を占める(写真=左)。実際のアイドル時の低消費電力実現のため、デバイス制御に加え、S0ixステートの効果を高めるための挙動がOSにも要求するようになる。Tickと呼ぶ不定期なアクション要求を制御し、アイドル状態を維持することでSOixステートの効果が高まる。Windows 7とWindows 8でもその挙動には違いがある(写真=中央、右)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー