先週注目を集めた新製品は、コードネーム「Trinity」で知られるAMDの新APU「A10/A8/A6/A4」だ。対応するSocket FM2搭載マザーとともに、各ショップが大々的なポスターやPOPを張り出して売り出していた。
Trinityは、同社CPU「FXシリーズ」(Bulldozer)をベースとしたアーキテクチャを採用し、内蔵GPUも前世代「Llano」のRadeon HD 6000シリーズからHD 7000に強化しているのが特徴。店頭に並んだのは計6モデルで、それぞれの仕様と価格の詳細は以下の通り。クロック倍率可変なBlack Editionとなるモデルは、末尾に「K」がつく。在庫は潤沢だ。
モデル名 | コア数 | クロック | L2キャッシュ | 内蔵GPU | TDP | 初回価格 |
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A10-5800K | 4 | 3.8〜4.2GHz | 4Mバイト | Radeon HD 7660D(800MHz) | 100ワット | 1万3000円弱 |
A10-5700 | 4 | 3.4〜4.0GHz | 4Mバイト | Radeon HD 7660D(760MHz) | 65ワット | 1万2500円弱 |
A8-5600K | 4 | 3.6〜3.9GHz | 4Mバイト | Radeon HD 7560D(760MHz) | 100ワット | 1万円弱 |
A8-5500 | 4 | 3.2〜3.7GHz | 4Mバイト | Radeon HD 7560D(760MHz) | 65ワット | 9500円弱 |
A6-5400K | 2 | 3.6〜3.8GHz | 1Mバイト | Radeon HD 7540D(760MHz) | 65ワット | 6500円弱 |
A4-5300 | 2 | 3.4〜3.6GHz | 1Mバイト | Radeon HD 7480D(723MHz) | 65ワット | 5000円弱 |
入荷したショップの感想はさまざまだったが、「AMDのプロセッサとしては悪くない」という意見はほぼ共通していた。ドスパラ パーツ館は「前世代から大きく性能が上がりましたし、初回から低消費電力タイプの上位モデルが選べるようになっているのも好印象です」と語る。
TSUKUMO eX.も「最上位でも1万2000円台で買えるなど、価格的でもかなりがんばった印象ですね。内蔵GPUが優秀で、ちょっとしたゲームなら余裕で遊べますし、コストパフォーマンスはかなり高いでしょう。これは売れますよ」と高評価だ。
その一方で「対インテルでどこまでインパクトを出せるか微妙です。CPUとしての性能は戦っているラインがCore i5というよりもCore i3なので、内蔵GPUの能力をどこまでアピールできるかでしょうね」(某ショップ)と、厳しめの声も聞かれた。
初回の売れ行きも街全体でみるとまずまず好調に売れている様子だ。特に好調なのは、最上位の「A10-5800K」と低消費電力上位の「A10-5700」だ。「A10の2モデルが全体の9割です。圧倒的に売れています。今は若干5800Kのほうが好調ですが、今後mini-ITXタイプのFM2マザーが登場したら、省スペースマシンに強い5700がより伸びるんじゃないかと思います」(TSUKUMO eX.)と話す。ただし、「まだ引きは強くないです。これから評価が上がって盛り上がってくれることを期待したいです」(ツートップ秋葉原本店)といった声もいくつかあり、まだショップによって反響に開きがあるようだ。
なお、初回入荷モデルのうち、末尾Kの3モデルはパッケージのシールに表記の揺らぎがあり、上面のモデルナンバーが「A10-580K」のように、1ケタ少ない省略形になっている場合がある。2年前にもAMDは「Phenom II X6 1075T」のパッケージにスペックの記載ミスがあり、出荷後に発売延期した過去があるが、今回は誤表記ではないこともあり、そのまま流通している。パソコンショップ・アークは「まあいいんですけど、このへんは相変わらずですよね。AMDっぽさはばっちりです」と笑っていた。
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