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» 2013年02月06日 15時30分 UPDATE

こんなプリンタが欲しかった!?:もはやA4複合機だってモバイルの時代――「HP Officejet 150 Mobile AiO」を攻略する (1/5)

ありそうでなかったモバイル仕様のA4複合機が日本HPから登場。業務の効率改善はもちろん、個人で導入してもこれまでの据え置き型A4複合機にないメリットを生かせそうだ。今回はバッテリーでの利用も含め、その実力をガッツリ検証する。

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

いつでもどこでもプリント、スキャン、コピーが可能に

tm_1302aio_01.jpg モバイルできるA4インクジェット複合機「HP Officejet 150 Mobile AiO」。2012年6月に発表され、同年11月より販売中だ

 Ultrabookをはじめ、PCの携帯性は着実に向上し続けているが、プリンタなどの周辺機器は“モバイル化”の流れに取り残されていると感じないだろうか。

 時と場所を選ばず、PCが自由に使えるようになったのだから、周辺機器も職場や自宅と同じように使いたい。そんな願望をかなえてくれる(かもしれない)のが、日本ヒューレット・パッカードの「HP Officejet 150 Mobile AiO」(以下、Officejet 150)だ。

 Officejet 150は、A4対応のインクジェット複合機ながら、モバイルユースを追求した実に珍しい製品となっている。それもそのはず、持ち運べるプリンタとしては、プリント、スキャン、コピーが行える世界で初めてのオールインワンモデルとのことだ(2012年6月20日現在で世界初/同社調べ)。

 これまで、同社はビジネス向けインクジェットプリンタ「HP Officejet」シリーズのモバイル向けモデルとして「HP Officejet 100 Mobile」(以下、Officejet 100)を展開してきた。今回加わった上位機のOfficejet 150で大きく異なるのは、スキャナユニットを組み込んだ複合機であることだ。もちろん、Officejet 100の特徴であるバッテリー駆動やBluetooth接続などの機能は継承しており、完全にワイヤレスで運用できる。

 過去には、モバイルプリンタにオプションとして簡易なスキャナユニットを用意した製品も存在し、最近ではスマートフォンやタブレットから利用することを想定したモバイルスキャナも増えつつある。しかし、プリンタ、スキャナ、コピーの機能をすべて使用できるオールインワンとして仕上げたものは他に類を見ない。現状では、可搬性を備えた唯一のA4複合機といえる。

 複合機を持ち運べるようになることで、外回りの営業をはじめ、さまざまな業種での効率アップが期待できるのはもちろん、コンパクトボディを生かして狭い場所に設置して非使用時にしまえるため、かさばるプリンタの置き場所に困っているユーザーにも受け入れられそうだ。

片手で抱えて持ち運べるコンパクトボディ

tm_1302aio_02.jpg 屋内の移動ならば、小脇に抱えて気軽に移動できる。A4複合機としては突出した可搬性だ。明るいシルバーの天面には、ヘアライン加工が施されており、外観にもこだわっている

 まずはモバイル向けの製品として重要なボディサイズを見ていこう。本体サイズは350(幅)×171(奥行き)×90(高さ)ミリだ。フットプリントはA4用紙と同じくらい(正確には、Officejet 150のほうが横幅が長く、奥行きが短い)で、A4対応の複合機とは思えないほど小さい。片手で抱えて無理なく持ち運べる。

 ちなみにこのサイズは、モバイルプリンタであるOfficejet 100(幅348×奥行き175.3×高さ84.4ミリ)とほぼ同じサイズだ。しかも奥行きに至っては、従来よりも短縮している。さすがにスキャンユニットを搭載しただけあって、高さは増したが、わずか5.6ミリの増加で済ませているのは驚きだ。

 通常、A4インクジェット複合機は用紙を寝かせて読み取るフラットベッド型スキャナを採用しているが、Officejet 150では実装面積が小さくて済むシートフィード型スキャナを用いることで、ここまでの小型化を果たしている。

 重量は本体のみで約2.9キロ、付属のバッテリー装着時で約3.1キロだ。スキャンとコピーの機能を加えたことで、Officejet 100より約600グラムの重量増となったが、モバイル向けのプリンタとスキャナを別々に持ち運ぶよりはるかにスマートだろう。

 基本的にノートPCと一緒に持ち運ぶことを想定すると、楽に携帯できるとはいい難いサイズだが、これまでの据え置き型複合機とは比べものにならないほどの小型軽量ボディであることは間違いない。

 自動車やタクシーでの移動はもちろん、必要に応じて大きめのバッグや、車輪が付いたキャリーバッグなどに入れ、電車やバスで持ち運ぶのも十分可能だろう。直方体の平たい形状をベースにしているが、エッジの部分は緩いカーブを描いているため、バッグへの出し入れもスムーズに行える。

tm_1302aio_03.jpgtm_1302aio_04.jpgtm_1302aio_05.jpg カバーを閉じた非使用時の前面(写真=左)、背面(写真=中央)、側面(写真=右)。高さ90ミリのスリムボディが目を引く。ボディはブラックとシルバーのツートーンカラーを採用する

省スペースのまま利用可能

tm_1302aio_06.jpg 使用するときは、天面のカバーを開いて給紙トレイとし、前面の排紙口カバーも開く。排紙口カバーは印刷時に自動で開くため、必ずしも手で開く必要はない

 それでは、使用時のサイズはどのくらいだろうか。設置面積に影響を与えるのは主に給紙と排紙のトレイだが、どちらもコンパクトにまとまっている。給紙トレイは開いた上面のカバーがそのままトレイになる構造だ。給紙容量はA4普通紙で約50枚と、モバイル機として不満はない。開いた際の奥行きサイズは70ミリほど増加する。

 一方の排紙トレイはフロントの下部にあるが、こちらはトレイというよりは排紙口の防塵カバーといったほうがよいだろう。そのぶん、開放した状態でも30ミリほどの増加で済むが、ペーパーサポートの能力はないので、排紙された紙は手前に落ちる。この排紙カバーは印刷時に自動で開くが、前方に排紙用のスペースを確保しておかないと、複数枚の印刷で排紙が干渉して紙詰まりをおこす恐れがあるので注意したい。

 背面にあるコネクタ類は、いずれも接続したケーブルが後方に伸びる格好になるが、開いた給紙トレイの奥行きの増加ぶんに収まるので、設置面積にまず影響はない。バッテリーを背面に装着しても奥行きが30ミリほど増すだけなので、やはり給紙トレイの奥行き増加ぶんに収まる。

 つまり、給排紙トレイの合計約100ミリが使用時に増加する奥行きサイズだ。高さに関してはカバーを上方に開く関係から約180ミリとかなり増加するが、モバイルユースで上方スペースを気にするケースはさほどないだろう。

 ちなみに、スキャンやコピーの利用時に専有面積が増えることはない。スキャンとコピーの機能に用いるシートフィード型スキャナは、カバーを開いた上面、コントロールパネルの下部に給紙口が設けられている。ここに手差しで1枚ずつ原稿を給紙し、スキャンやコピーを行う。片面読み取りのシンプルなスキャナとなっており、大量の原稿をさばくには不向きなので、書物の電子化などの用途では、別途単体のスキャナを用意すべきだ。

tm_1302aio_07.jpg 同社の14型Ultrabook「HP EliteBook Folio 9470m」(幅338×奥行き231×高さ18.95ミリ/約1.6キロ)と並べてみた。使用時の専有面積(前方に落ちる排紙ぶんは除く)は、HP EliteBook Folio 9470mと同程度だった。つまり、13型〜14型クラスのノートPCを開いて使うくらいのスペースがあれば、Officejet 150を置いて使えることになる

tm_1302aio_08.jpgtm_1302aio_09.jpgtm_1302aio_10.jpg 給紙トレイと排紙口カバーを開き、バッテリーを装着した状態の前面(写真=左)、背面(写真=中央)、側面(写真=右)。給紙トレイの角度が急で、排紙のペーパーサポートがないため、使用時でも奥行きは大きく変わらない。ただし、前方に排紙用のスペースは作っておくことが必要だ

tm_1302aio_11.jpgtm_1302aio_12.jpgtm_1302aio_13.jpg 給紙トレイは普通紙約50枚、フォト用紙約5枚、封筒約3枚をセットできる(写真=左)。用紙サイズはA4、A5、A6、B5、L判、2L判、封筒、用紙種類は普通紙、インクジェット専用紙、フォト用紙、カードなどを利用できるが、はがきが非対応となる点は注意が必要だ。排紙口には小さなカバーが設けられているだけで、排紙を支えるトレイなどは用意されていない(写真=中央)。コントロールパネルの手前にスキャン用の給紙口があり、ここに1枚ずつ手差しで原稿をセットする(写真=右)。スキャン可能な原稿サイズは最大216×356ミリだ

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