基本スペックはいかにも低価格モデルらしい内容だ。システムの中核には、VIA TechnologiesのWM8950(1.0GHz)を搭載している。1.0GHzのCortex A9シングルコアとMali-400 GPUコアを統合したSoC(System On Chip)だ。メモリは1Gバイト(DDR3L)、データストレージも8Gバイト(eMMC)と少ない。
ストレージ容量については、SDHC対応のmicroSDカードスロットがあるので、自分で追加できるのは救いだ。ただし、eBookJapanで購入した電子書籍はmicroSDカードに移動できないため、同社独自のクラウドサービス「トランクルーム」からダウンロードし、読み終わったらトランクルームに戻すことになる。
標準装備の通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LANのみ、センサー類も加速度センサーのみと必要最小限の内容だ。Nexus 7が搭載しているBluetoothやGPS、NFCなどは備えていない。
それでは、MeMO Pad ME172Vのパフォーマンスを確認しよう。ベンチマークテストはQuadrant Professional Edition 2.1.1、AnTuTuベンチマーク v3.2.1、3DMarkを実行したが、結果はかなり低調だ。Quadrant、AnTuTuともに、特に「CPU」スコアの低さが目立つ。3DMarkでもやはりCPU演算性能を反映しやすい「Physics」のスコアが低い。
体感でも全体にやや緩慢な感覚があるのは否めない。特にPC版のWebブラウズなどは重めのページで読み込みに時間がかかり、少々ストレスを感じることもあった。
動作時にボディがどれくらい発熱するか表面温度も計測してみた。最も熱くなるのは背面の上部中央で、室温25度の環境において、ベンチマークテスト実行中は最大34度、動画の連続再生中は32度程度となったが、熱で不快になるようなことはなかった。
静電容量式の10点マルチタッチに対応した7型ワイド液晶ディスプレイは、広視野角のIPS方式ではなく、視野角が狭いTN方式を採用している。縦位置で上から見たときの視野角が極端に狭いが、それ以外の方向からの視認性はそれほど悪くない。
解像度は1024×600ドットで、画素密度は約170ppiになる。明るさは十分あるが、色味はやや青が強い印象だ。ディスプレイ表面は光沢仕上げで、ユーザーや照明がかなりはっきり映り込む。
Nexus 7との液晶ディスプレイの解像度、品質の違いは、比べるまでもなくすぐに分かる。少し斜めから見た場合の視認性はもちろん、ホーム画面の壁紙からしてドット感が目に付き、アイコンなども輪郭がぼやけているように見えてしまう。電子書籍の非常に細かい文字や絵の繊細な描写なども全画面表示では見づらいこともある。
170ppiはノートPCの画素密度としては高い部類に入るだろうが、タブレットはノートPCよりも目から近い距離で使うデバイスということもあって、同じ画素密度でもドット感を強く感じる。個人的な感覚としては、130ppi前後(14型で1600×900ドットなど)のノートPCと同じくらいの見え方だろうか。
Nexus 7の精細な表示に慣れてから、MeMO Pad ME172Vを見ると落差があるが、しばらくこれだけを使っていれば次第に気にならなくなる。いつの間にか評価を忘れて、コンテンツに没頭していることもしばしばあった。
背面下部にはモノラルスピーカーを内蔵している。音質は繊細さに欠けるものの、貧弱というほどでもない印象だ。音楽コンテンツを楽しむにはやはり物足りないが、YouTubeの動画などは違和感なく楽しめる。
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