2015年7月29日の「Windows 10」一般公開に伴い、Windows 7〜8.1ユーザーのPCにはアップグレード予約の通知が突然現れるようになり、その設定や回避の方法について、一般ユーザーの混乱を招いたことは記憶に新しい。このアップグレード予約の通知については認知も進み、落ち着いた状況になったと言える。
しかし、MicrosoftはWindows 10へのアップグレード手順を今後変更すると発表しており、特に2016年以降は「知らない間に、Windows 10のアップグレードが始まった(キャンセルは可能)」というケースが増えるかもしれない。
10月29日(米国時間)、米MicrosoftでWindows&デバイス部門(WDG)を率いるテリー・マイヤーソン氏は、Windows 10へのアップグレードに関するポリシー変更について、公式ブログで発表した。
今回の新しい新トピックは次の4つだ。
後者2つは多くの一般ユーザーにとって関係ないので説明を割愛し、ここでは前者2つについてフォローしておく。
まず(1)だが、従来までは「アップグレードを予約」した後、「アップグレードの準備が完了しました」と通知され、ユーザーが実行することで「Windows 10へのアップグレード」を開始する、というステップを踏んで初めてアップグレードが行われていた。これが今回の改定により「予約して即アップグレード」と手順が省略される。
もっとも、以前のステップを踏んでのアップグレードは「全員が同時にアップグレードを試みてMicrosoftのサーバが混雑するのを防ぐ」のが狙いであり、既にその時期を過ぎた今日では、特に問題となることはないだろう。ただし、予約さえしていない段階でアップグレードに必要なファイルがバックグラウンドでダウンロードされてしまう現象も見つかっており、仕組み自体が形骸化していたと言えるかもしれない。
今回の変更で最も問題となるのが(2)の自動アップグレードだ。Microsoftが公開しているWindows 7のFAQによれば、Windows Updateで提供される更新プログラムには次の3種類が存在する。
これまで、基本的にはWindows UpdateでWindows 7/8.1向けの「Windows 10へのアップグレード更新プログラム」が配信されることはなく、前述のアップグレード予約の仕組みを利用する必要があった。
しかし今後はこの「Windows 10へのアップグレード更新プログラム」をWindows 7/8.1向けの「オプションの更新プログラム」として提供し、さらに2016年以降は「推奨される更新プログラム」へと格上げするという。
「オプションの更新プログラム」は手動インストールのため、Windows Updateでチェックボックスを有効にするまで適用されることはないが、「推奨される更新プログラム」では自動インストールの扱いになるため、もし「更新プログラムを自動的にインストールする」としていた場合、Windows Updateが行われたタイミングで「Windows 10へのアップグレード更新プログラム」が自動的にインストールされることになる。
これを避けるには、Windows Updateの設定で自動インストール以外のオプションを選択するしかないが、マイヤーソン氏はこの自動アップグレードを避けるために自動インストールオプションを無効化することを推奨していない。
マイヤーソン氏によれば、「Windows 10へのアップグレード更新プログラム」は、実際にWindows 10をインストールする前に意思確認を行うほか、仮に誤ってインストールしたとしても、31日以内ならWindows 10の設定メニューから「アップデートとセキュリティ」→「回復とWindows 10のアンインストール」を選択して、いつでも旧OSの環境へと戻すことが可能という。Windows 10へのアップグレードインストールを行った場合、旧OSの環境がインストール済みアプリケーションを含めて全て残っているためだ。
これにより、Windows 10に意図せずアップグレードしてしまうことを防げることに加えて、アップグレード後に問題があった場合には1カ月以内なら旧OSへ戻せるから問題ないという考えなのだろう。
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