米Microsoftは6月22日と翌23日(米国時間)、Windows 10開発プレビュー「Windows 10 Insider Preview」の最新版「Build 14371」と「Build 14372」をFast Ring設定ユーザーへ立て続けに公開した。MicrosoftはWindows 10の次期大型アップデート「Anniversary Update」を今夏に投入すると予告しており、提供が間近に迫った中でInsider Preview版の細かな更新が続いた形だ。
開発コード名で「Redstone(RS1)」と呼ばれるAnniversary Updateは、Edgeブラウザの拡張機能(Extensions for Edge)サポート、ペン入力の使い勝手を高める「Windows Inkワークスペース」搭載、生体認証機能「Windows Hello」や音声対応パーソナルアシスタント「Cortana」のサードパーティー開放、Windows 10のクリーンインストール用ツール提供など、さまざまな仕様強化が行われている。
その注目ポイントは過去の連載で触れた通りだが、今回はBuild 14371以降で加わった新機能を中心に、Anniversary Updateの気になるトピックを追加で見ていこう。
Windows 10のインストールやアップグレード作業がより容易になるのが、Build 14371で初めて登場した「Activation Troubleshooter」の仕組みだ。米Microsoftの解説によれば、このActivation Troubleshooterは主に2つの問題を解決する。
1つは「Windows 10 HomeからProへアップグレードしたPCで何らかの理由があり、Windows 10 Homeを再インストールした場合にProへアップグレードできなくなってしまう」という問題の解決だ。
Anniversary Updateでは、Microsoftの認証サーバがWindows 10 Proへの正規アップグレードが行われたことを記録しておき、Windows 10 Homeを再インストールした場合でも、Activation Troubleshooterが環境を認識してProへの自動アップグレードを促す。
もう1つは「ハードウェアの構成を変更した後にライセンス認証が外れてしまう」という問題の解決だ。
Windows 10では、Windows 7/8.1からの無料アップグレードやWindowsストア経由でのダウンロード購入を行った場合、プロダクトキーの代わりに「デジタルライセンス(Digital License)」が用いられる。これはAnniversary Update以降での新名称で、古いドキュメントでは「デジタル登録情報(Digital Entitlement)」と呼ばれているものだ。
これまではマザーボードやシステムドライブといった大きめのハードウェア構成を変更した場合、このデジタルライセンスが失効してしまい、再度Windows 10をアクティベートできないという問題が発生していた。
Anniversary Updateでは、Activation TroubleshooterによってデジタルライセンスとMicrosoftアカウントがひも付けられるようになった。この仕組みのおかげで、ハードウェア構成の変更後にWindows 10を再インストールしても、Microsoftアカウント経由で自動的にデジタルライセンスが付与され、アクティベーションが可能だ。
例えばWindows 7/8.1からの無料アップグレードでWindows 10を導入しているユーザーは、ハードウェア構成変更後の再インストールでOSのライセンス認証が通らなくなるといった問題に自ら対処できるようになる。内蔵パーツを入れ替えることの多い自作PCユーザーやPC中上級者にとっては、地味ながらうれしい強化ポイントだ。
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