Windows 10次期大型アップデートにギリギリで加わった「自作PC」向け新機能鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)

» 2016年06月28日 06時00分 公開
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「Desktop App Converter」でUWPアプリが増える?

 ライセンス認証の改善は多くのユーザーにとって朗報だが、Anniversary Updateでは「Desktop App Converter」のサポートも見逃せない。

 Desktop App Converterとは、かつてWindows Bridgeの「Project Centennial」と呼ばれていたものだ。Windowsアプリケーションのインストール形式である「.msi」ファイルを使って、UWP(Universal Windows Platform)アプリの配布パッケージである「.appx」を自動生成するツールだ。これにより、Windowsストアの仕組みを用いて従来のWin32や.NET向けに記述されたアプリを配布することが可能になる。

 Anniversary Updateの提供開始以降は、同ツールでUWPに変換したWin32/.NETアプリをWindowsストア経由で利用可能になるとみられる。同ツールの詳細はBuild 2016のレポートを参照してほしい。

Desktop App Converter 「Desktop App Converter」は、既存のWin32/.NETアプリケーションをUWPの仕組みを使って配布する手段を提供する。将来的にコードを徐々に移管していくことで、完全なUWPアプリとして動作することを想定した、UWP移行期のツールだ

 現在Desktop App Converterはプレビュー版がMicrosoftから提供されており、「既存のWin32アプリをAppX形式にパッケージングしてみた」という方もいるかもしれない。ただし、こうしたアプリはまだWindowsストアには登録できず、開発者モードを使ってPCに直接「サイドロード」(アプリストアを経由せずにアプリを入手して導入すること)で試しているのではないだろうか。

 ただし、WindowsストアにはMicrosoftが自ら「WordPad」「Microsoft Character Map」「Windows Fax and Scan」「XPS Viewer」といった、少しなつかしいデスクトップアクセサリー群を登録しており、ダウンロードして利用可能だ。

WordPad Windowsストア経由でダウンロード可能な「WordPad」アプリ。Desktop App Converterを使ったPC版Windows 10でのみ動作可能だ

 利用条件は2月初旬に提供が開始された「Build 14257」以降のInsider Previewをインストールし、Windowsストアのアプリを最新にしておくというだけ。Windowsストアでの配布のためか、開発者モードでなくても利用可能だ。ただし、ストア内の検索ではアプリが見つからない可能性があるので、上記のリンクから直接アクセスしてほしい。

 これが意味するのは、Anniversary Update以降にDesktop App Converter製アプリの一部配布が開始される可能性があること、そしてその利用条件がAnniversary Updateの適用であることだ。まだまだ試験的な仕組みではあるものの、このタイミングでWindowsストアへのアプリ登録に興味を示すデベロッパーが少しだけ増えるかもしれない。

いよいよ完成間近となったAnniversary Update

 今回Insider PreviewのFast Ringユーザー向けにBuild 14371/14372が1日間隔で連続リリースされたが、恐らくAnniversary Updateで配信されるビルドがほぼ収束しつつあることの兆候だとみている。

 タイミング的には6月最終週の前半、あるいは7月1週目の後半辺りに提供されるビルドでInsider Previewの壁紙右下に表示されている「ビルド番号」の表記がいったん外れ、それが最終版になると予想する。OEMメーカーがAnniversary Updateのプリインストール製品を出荷するタイミングを考えても、この辺りがデッドラインだろう。

 その意味で、Microsoftが試験終了チャイム直前と言えるこのタイミングでActivation Troubleshooterをねじ込んできたのは面白い。Windows 7/8.1からWindows 10への無料アップグレード期間が終了する2016年7月29日の前後は、ライセンス認証に関するトラブルの問い合わせが続出すると予想される。そこで、同時期に配信するAnniversary Updateにこの問題を改善するActivation Troubleshooterは、何としても搭載すべく作業を進めていたのだろう。

 Anniversary Updateのタイミングを逃すと、この機能を一般ユーザー(Current Branch:CB)に提供できるのは、その次の大型アップデート「Redstone 2(RS2)」を配信する2017年春以降になってしまう可能性もあった。

 Microsoftにとってもユーザーにとっても、このライブ感がWindows 10に掲げられたテーマである「Windows as a Service」の醍醐味なのかもしれない。


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