「あらゆるものノックでコントロール」 慶應の学生が開発したIoTデバイスが米Bluetooth SIG開催のアワードに国内初進出

» 2017年03月26日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 米Bluetooth Special Interest Groupは3月7日(米国時間)、革新的なBluetoothデバイスを表彰する「Bluetooth Imagine Blueアワード2017」のファイナリストを発表した。同アワードの学生部門に、今回初めて日本からの応募作品が選ばれた。

 学生部門ファイナリストに選ばれたのは慶應義塾大学環境情報学部の伊藤輝氏、笹本健斗氏の共同作品である「MagicKnock」だ。

ノックでデバイスをコントロールできる「MagicKnock」

 MagicKnockは机や壁などに設置することでノック音や強弱を検知し、コントロール信号を送ることでスマート家電やスマートデバイスを操作できるようにするデバイス。

MagicKnock with MagicTV - Magical real world interface
MagicKnockを机に設置すると、机のどこでもノックが認識される
ノックの強弱を認識し、パターンで起動もできる
Bluetooth信号はテレビと連携し
チャンネルの変更などの操作が可能
床に置けば足でも操作できる

「リモコンなしで、女子高生でもおばあちゃんでも簡単・便利に操作できるものを」

 取材に対し、そう答えてくれたのはMagicKnockのプロジェクトリーダーである伊藤氏だ。

 伊藤氏は慶應義塾大学の増井俊之研究室でユーザーインタフェースの研究をしており、ITに詳しい人から普通の女子高生、おばあちゃんまで誰もが簡単・便利に使えるものを作りたいという思いからMagicKnockを作った。

 「ノックでコントロールする」という発想は、マウスやリモコンを持たなくてもPCやテレビの操作ができないだろうかと考えていた時に得たもの。

 具体的にノックの振動をどのように聞き取るかという部分では、圧電素子で圧力を電圧に変換して振動をセンシングする方法と、マイクによる音声認識でノック音を拾う方法の2つを実験した。

 音声認識による方法はノックする対象(机や床など)にセンシングデバイスを接地する必要はないが、その一方で生活音が発生する環境下では理想的な精度でノック音を識別することが難しかった。

 一方の圧電素子による方法では対象に接地する必要はあるものの、マイクでは拾いきれない小さなノック音でも環境音の影響を受けずに検出できる。

 この結果から、MagicKnockのセンシングには圧電素子による方法を採用したということだ。

底部に圧電素子を埋め込んでいる

 MagicKnockからテレビを操作する部分については、増井教授(モバイルデバイス向けIME「POBox」の開発者)が作った2つのキーだけでコンテンツをブラウジングできるインタフェース「Gear」を応用した。こうして作ったテレビ向けのGUI「MagicTV」とMagicKnockは展示会で高評価を受け、リクルート主催の開発コンテスト「MashupAwards2016」のIoT部門では優勝に輝いた。

 今回のBluetooth Imagine Blueアワード2017ファイナル選出を受け、伊藤氏は

 「Bluetoothを用いたソリューションとして評価していただいたことは大変光栄に思いますし、さらなる自信にもつながりました。今後はより多くのユーザーに使っていただけるよう、商品化を目指して研究開発を続けていきたいと考えています。研究という側面だけでなく、IoTという切り口でビジネス展開も視野に入れて取り組みたいと思っています。」

 と、意気込みを聞かせてくれた。

 日本のIoTベンチャーに元気がないといわれる昨今、このように日本の学生が熱意を持ってIoTデバイスを作っているのは素直に応援したいところだ。

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