Windows 10の特徴として、Windows Phone 8で導入された音声アシスタントCortanaをOSレベルで取り込み、日々のPC操作をあらゆる面から補助する存在として取り上げていたことが挙げられる。
とはいえ、筆者を含めて音声アシスタントをPCで使わないユーザーも多くいたと思われ、「普段の操作には検索機能さえあればいい」と考えていた人も少なくないはずだ。
実際、Cortanaの機能拡張は英語圏、特に米国を中心として行われるため、日本を含むそれ以外の地域では機能拡張の恩恵にあずかることなく、余計にこうした思いを抱いていたはずだ。
Cortanaについては、19H1の以前の開発ビルドについても機能縮小につながる変更がたびたび加えられており、このような扱いになるのは時間の問題ではないかと考えられていた。一方で、一連の動きが「Cortanaの消滅」につながるわけではなく、別の役割を与えられ細々と生き残る形に落ち着くのかもしれない。
話題の3つ目は、CortanaがOS標準の音声アシスタントから「(音声アシスタントが呼び出す)スキルの1つ」という位置付けになるかもしれないという内容だ。
先ほどウォーレン氏が触れていたナデラ氏によるプレスイベントの中で、Cortanaの位置付けについての言及があったという。CortanaをAlexaなどの音声アシスタントを現在リードしている技術と競合する存在ではなく、「Cortanaの強みを活かした」状態で共存していく道をナデラ氏は示唆していたようだ。
筆者としては正直、AlexaとCortanaの連携は使いにくいとは思うのだが、Cortana内部にしか存在しないデータ(メールやスケジュールなど)もあり、一部機能の利用にはAlexaよりも使える場面がある。
同様に、普段の業務をMicrosoft側のプラットフォームで展開しているユーザーは、Googleの音声アシスタントに依存するよりも、Microsoft側のデータにアクセスできた方が都合がいい。
そこで話題の1つ目に戻るが、Microsoft 365 for Consumerとして「Office 365」のバンドルにCortanaを含めることで、Office 365内に蓄積されたデータにアクセスするための窓口としてのCortanaを、AlexaやGoogle Assistantなどを含むあらゆるプラットフォームに提供していくという考えに行き着く。
大転換ではあるが、Windows Mobileを捨ててMobile World Congressを離れたMicrosoftが、今再びこのモバイルの世界に戻ってくる際の「モバイル戦略」の答えなのかもしれない。
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