エヴァアプリで花開くiPhoneビジネス松村太郎のノマド・ビジネス(1/2 ページ)

» 2009年03月05日 00時00分 公開
[松村太郎,ITmedia]

 2月24日、iPhoneのApp Storeに驚きが走った。iPhone向けの新作アプリ「EVANGELION vol.2 活動限界時計」がユーティリティの項目に、そして「EVANGELION vol.3 スタンプカメラ」が写真の項目に追加されたからだ。エヴァンゲリオンファンだけでなく、多くのiPhoneユーザーも、いよいよ慣れ親しんだアニメがiPhoneアプリに流れ込んでいくのか、と期待が高まったはずだ。

 このアプリは、最初のリリースだったにもかかわらず「vol.2」「vol.3」というタイトルが付いていて、単発ではないことが伺えた。そうこうしているうちに、「EVANGELION vol.1 フレームカメラ」もリリースされた。あと1つリリースされれば、iPhoneのホーム画面に「エヴァ行」ができあがる。コレクターには、ますます楽しみな展開となってきた。

「ファンがニヤリとする」エヴァアプリはケータイがお手本

 エヴァアプリの仕掛け人はアプリヤだ。孫泰蔵氏率いるMOVIDAの、iPhoneや次世代携帯用アプリの企画制作を担う部門としてスタートした会社である。

Photo アプリヤ オペレーションマネージャーの小田嶋太輔氏

 今回エヴァアプリの制作に携わったアプリヤのオペレーションマネージャー、小田嶋太輔氏は「当初はゲームを作ろうと思っていたが、あくまでファンが使って楽しめるグッズやツールを作ることにした」と話す。

 そのラインアップは5本ある。リリース済みの時計、スタンプカメラ、フレームカメラに続けて、カレンダーとパズルがリリースされる予定だ。アイコンは、シンプルに01から05までナンバリングされており、その下に小さくアプリの機能が英語表記されている。エヴァ好きだったデザイナーが「こちらの方がいい」ということで、このデザインに決まったそうだ。以降、各アプリのデザインの細部に、彼の意見が採用されることになった。

 最初にリリースされた時計は、活動限界のタイマーを時計アプリにしたもの。普通の時計として使うだけでもエヴァ気分を存分に味わえるが、時間を設定してタイマーにすると、カウントダウンにも利用できる。そしてゼロアワーになったあとまで、ファンならついニヤリとしてしまう演出が施されている。

 そしてスタンプカメラはアニメ素材を写真にアドオンできるという単純な楽しさを提供し、フレームカメラはいわゆる観光地にある穴あきボードの要領で、エヴァの印象的なシーンに人の顔などをはめ込んで、おもしろい写真を作れる。いわばバーチャルなコスプレ、と言ったところだろうか。

 そしてカレンダーとパズルを含む各アプリは、それそのもので遊べるだけではなく、完成した画像をiPhoneの待受画面に設定して楽しむことを想定している。この使い方は、iPhoneのアプリというよりは、ケータイのコンテンツ的なアプローチだ。

 「iPhoneアプリは、月額課金ができるケータイコンテンツと違い、どうしても売り切りになってしまいます。それを考えると、小粒でも何度もおいしい、1個のコンテンツでいろいろと楽しめるアプリのほうがいいと考えました」(小田嶋氏)

100個のアイディアと「面白いから、会社にしたら?」

 エヴァアプリを世に送り出しているアプリヤの初期のiPhoneアプリに、「猫カメラ」と「犬カメラ」がある。このアプリがリリースされたのは、iPhone 3Gが日本で発売された7月11日からおよそ3カ月が経過した10月のことだ。

 その時点で、iPhone向けには数々のカメラアプリがリリースされていたが、この猫カメラと犬カメラには、簡単ではあるがそれまでなかった“一ひねり”があり、話題になった。猫カメラの場合、猫の鳴き声やビニール袋がカサカサする音などを鳴らして、被写体となる猫の気を引いてからシャッターを切る、という仕組み。犬カメラも犬が関心を持つ音を出すという基本的な仕組みは同じだ。音を出すことで、猫や犬の顔をこちらに向かせることができる。ただ写真を撮るだけでなく、どんな写真が撮れるか、というアイデアがそこに存在している。

Photo アプリヤ 執行統括責任者(COO)の新城健一氏

 「iPhone 3Gの日本発売が決まった際に、ソフトバンクから『iPhoneアプリのアイデアはないか?』というお話が来ました。そこで、アプリを100個考えてプレゼンに望んだところ、『面白いから会社にしたら?』と言われて起業しました」

 こう話すのは、アプリヤのCOO、新城健一氏である。

 「会社としてスタートしてから、事業をどう回すか、模索しながらやってきました。iPhoneアプリは単価が安いため、たくさんアプリをリリースする必要がありますし、ユーザーの好みや、日本国内だけをターゲットにしていたときとは異なる傾向なども探りながらアプリを作る必要があります。ただアイデアをアプリにすることを繰り返しても、アイディアは世界規模で見ればすぐにまねされます。また開発の力量は必ずしも会社単位では蓄積していかないのです」(新城氏)

 そんなシビアな環境の中で、まねされないアプリを作り続けるにはどうしたらいいか。アプリヤが出した答えは、アプリの「コンテンツ」である。秋葉原、日本の伝統などの系譜をとらえながら、日本発のコンテンツそのものの力をアプリの面白さに載せていく──。アプリヤはそんな道を選んだ。

 「iPhoneアプリのマーケットは、8割が米国です。売り上げをしっかり確保するには米国を押さえなければなりません。そこでロサンゼルスにオフィスを置き、米国でウケる日本のコンテンツを調査しています。一方日本側からは伝統的なコンテンツを提案し、議論をしながらコンテンツ選定をしています」(新城氏)

 このような活動を通じて、容易にまねされないコンテンツと面白さのアイデアをマッシュアップしながら、アプリを制作することになった。

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