携帯電話の多機能化、高機能化は多大なメリットをもたらす一方で、操作の複雑化を招き、操作の煩雑さがユーザーを悩ませている。使いたい機能が見つからない、アクセスするまでの操作が面倒、といった声も多く、キャリアやメーカーが使いやすいUIの開発に力を注いでいる。
こうした中、レコメンド型のUIで操作性の問題を解決しようというのがエイチアイだ。3D描画エンジン「MascotCapsule」の開発で知られる同社は、家電や民生機器、携帯電話などのモバイル機器向けUIの開発も手がけており、5月13日から東京・ビッグサイトで開催中の第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC)の同社ブースで開発の成果を披露している。
エイチアイが提案するレコメンド型のユーザーインタフェース (ムービーはこちらからでも参照できます) |
「今のインタフェースは、人が何らかのアクションを起こさない限り、デバイス側からは何もしてくれない。エイチアイのUIは、必要とされる機能やサービスをデバイス側から提案する」(エイチアイの説明員)――。エイチアイが目指すのは、ユーザーのニーズをくんで的確な機能やサービスを表示するUIだ。
人の行動はある程度パターン化されており、携帯電話に搭載されたGPSやFeliCaなどのセンサー類を利用してデータを取り、それを解析することで「ユーザーの状況をある程度、判断できる」(説明員)という。エイチアイでは、このセンサーデータの解析技術と、時間や状況に応じて変わるユーザーニーズを解析する技術を組み合わせたUIを開発。その成果をブースで展示している。
デモのUIは、出勤中、帰宅中、会社、外出中などのカテゴリーに分かれており、「出勤中」を選ぶとニュースや天気予報、電車の運行情報など、出勤途中に利用者が必要とする機能やメニューを表示。「会社」を選ぶと、国際ニュースや経済ニュースが表示され、「帰宅中」ではエンタテインメント系のニュースやグルメ情報が表示されるといった具合に、ユーザーの普段の行動に基づいて最適化した機能やサービスを、利用シーンや時間に応じて“先回り”して表示する。「ある行動がユーザーにとって典型的なものであるなら、その行動につながる情報をプッシュで送った方が(メニューを操作して探すより)便利になる」(説明員)
エイチアイは開発中のUIに、キャラクターがユーザーの代わりに操作を行ったり、キャラクターを通じてサービスや機能をレコメンドする仕組みを実装する計画だ。「まずは見た目をかっこよくすることでUIに興味を持ってもらい、その次にキャラクターを表示して(UIを搭載した)デバイスへの関心を引きつける。キャラクターには感情や知能があり、ユーザーの行動を判断して的確な情報をレコメンドする」(説明員)
現在は、キャラクターを使えるようにする段階まで開発が進んでおり、キャラクターに知能を持たせる研究も同時に進めているという。
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