クロスメディア展開に効く? メーカーのモバイルメルマガ利用傾向から探る「メールマーケティング」のコツ 第5回

» 2010年02月02日 08時00分 公開
[北村伊弘(エイケア・システムズ),ITmedia]

 2009年10月に放送倫理・番組向上機構(BPO)がまとめた報告書(※)によると、若年層のテレビ依存度が減少しているとのことです。同報告書ではCMの視聴についても触れており、CMを「番組と同じように見る」が25.5%なのに対し、「見ているがあまり熱心に見ない」が42.9%、また「チャンネルはそのままにして、他のことをする」が21.3%という結果となっていました。一方、さまざまなメディアの中で大切だと思うものの順位をたずねた結果、携帯電話を1位に挙げた回答者が69.5%と圧倒的に高く多く、企業のプロモーションにおいてケータイは無視できない存在になってきているといえます。

 こうした状況の中、本連載ではこれまで、直接販売サイトへと誘導するECサイトや、実店舗へ誘導する外食産業などのモバイルメールの利用傾向を紹介してきました。最終回となる今回は、飲料や自動車といったメーカーのモバイルメール活用を見てみましょう。従来はもっぱらキャンペーンの告知に利用されることが多かったのですが、最近ではそれ以外の活用も進んでいるようです。

(※)「“デジタルネイティブ”はテレビをどう見ているか?〜番組視聴実態300人調査」

“ブランドイメージの訴求”が基本

 まず、メーカーのモバイルメールはECや飲食店などと比べ“メールから即購入”には結び付きにくく、ECサイトほどダイレクトな購入促進は行われません。また、メルマガ登録者が対象となるため、テレビCMのような「認知度向上」には適さず、「ファン育成」に視点が置かれるわけですが、そこにはいくつかのアプローチが見られます。

 1つは、デコメを使ったブランドイメージの視覚的な訴求です。最近は高級ブランドや自動車メーカーなどがデコメを活用するようになってきています。ECサイトのメルマガでは、誘導率やコンバージョンを高める目的で“売れ筋の商品のデコメ画像”が使われることが多いですが、メーカーのメルマガではロゴをモチーフにした背景イメージなど、ブランドイメージの向上を狙うデザインに重きが置かれる傾向が強いです。

 2つ目は上記の派生形で、デコメから待受ダウンロードなどへと誘導を促すタイプです。あくまでブランドイメージの訴求に特化しており、こうしたメルマガは多数見受けられます。

 3つ目は、ユーザーの体験談や投稿といった消費者目線の情報を配信して、企業や商品のイメージアップを図るタイプです。最近は口コミやSNS、ミニブログを活用したマーケティングに注目が集まっていますが、メールマーケティングにおいても同様の流れが生まれています。ちなみに、食品・調味料メーカーなどではレシピメールを配信している場合が多く存在しますが、これも消費者の視点に立った間接的な訴求と言えるでしょう。

他メディアとの“相乗効果”にも注目せよ

 4つ目は、直接商品とは結びつかない「サービス」としてのメールを配信するケースです。例えば毎日一定時間にメールを配信し、目覚まし代わりとしてもらうことを想定した「目覚ましメール」が挙げられます。ほかにも「天気予報」「占い」「ニュース」などを提供し、企業と消費者とのつながりの強化を図っている企業が見受けられます。

 また、中には「新しく放送されるテレビCM」をメールで告知して、CMの閲覧を促すといったものもありました。前述のBPOの調査結果では、テレビ視聴の並行行動として「携帯電話でメールやサイトを閲覧する」ことを「よくする」または「時々する」と答えた人が64.9%、さらに「ケータイを特にあてもなくいじる」が33.7%という結果が出ています。特にメルマガは情報伝達のタイミングが図れる点からも、こうしたテレビとのクロスメディア的な活用は有効かもしれません

 ちなみに、エイケアの調査では、メーカー系企業のメルマガの配信時間や曜日に顕著な傾向は見られませんでした。「金曜に多い」「夕方〜夜間に集中」といった傾向のあるEC系メルマガや、「お昼に集中」する外食系企業などと比べると、規則性がなく自由なタイミングで配信されている場合が多い結果となっています。


 メーカーのモバイルメールマーケティングには、いくつかのパターンは存在するものの、顕著な傾向が表れるほどには成熟していません。しかし、「従来のメディアへの依存のみでは通用しなくなってきていること」や、「従来のメディアと、ケータイメールとの親和性の高さ」などを考えると、今後はさまざまな試みが行われ、発展していくのではないでしょうか。

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