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» 2010年06月07日 10時00分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:快進撃はいつまで続く?――本格普及期に入ったiPhone(後編) (1/2)

幅広いユーザー層を取り込みながら、出荷台数を伸ばし続けているiPhone。さらに一般層まで広く、深く浸透するためには、iTunesのクラウド化やMobile Meへの無料プランの導入といった施策が必要なのかもしれない。

[神尾寿,ITmedia]

 ・→快進撃はいつまで続く?――本格普及期に入ったiPhone(前編)

 アップルストアの取り組みに加え、もう1つ、昨年後半からのiPhoneの好調な販売を牽引した要素がある。それが「iPod」だ。

「iPod touch+α」のお得感

Photo 快進撃を続けるiPhone

 周知のとおり、iPodは2001年の発売以降、デジタル音楽プレーヤー市場の代名詞としてトップを独走している。とりわけ2004年のiPod mini発売後は爆発的な人気となり、ソニーのウォークマンとMDに引導を渡し、音楽市場を席巻した。調査会社GfK Marketing Services Japanの発表によると、2009年の音楽プレーヤー市場におけるAppleのシェアは56.8%。昨年はソニーの巻き返しもあったが、それでも同社の34.3%に大きく水をあけた。

 このiPodの独走が、ここにきてiPhoneの底上げ要因になってきているのだ。

 「昨年後半から、iPhoneの『iPod機能』を目当てにする購入者が増えている。フルスペックのiPod touchの機能があり、なおかつケータイやWeb・メールの機能もある。“iPodとケータイをまとめられるならお得”という理由で買う人が増加しています。この傾向は、特に若い人や女性に顕著に見られる」(大手販売会社幹部)

 前述のとおり、国内におけるiPodのシェアは高く、とりわけiPod人気を支えたのが若年層と女性だ。彼らがiPodからの「お得な買い換え」としてiPhoneを選び出したのだ。とりわけソフトバンクモバイルがiPhoneの実質販売価格を値下げして以降は、「フルスペックのiPod touch機能があるお得感が際立ち、(日本独自の)ケータイ機能が使えなくなっても、割安なiPhoneを選ぶお客様が増えている」(家電量販店幹部)という。

Photo 2009年に発売されたカメラ付きのiPod nano

 AppleのiTunesでは、iPodからiPhoneに「機種変更」しても、CDから録音したり、iTunes Storeで購入した音楽コンテンツが引き継げる。従来型のケータイとは別物でも、iPodとiPhoneは地続きなのだ。しかもiPhoneならば豊富なアプリも使えるとあって、“iPod touch+α”のお得感や割安感は、iPhoneが選ばれる大きな理由になっている。

 このような購入動機の変化は、Apple以外の携帯電話やスマートフォンメーカーにとっては頭の痛い問題だろう。なぜなら、ライバルがiPhoneだけではなく、iPodにも広がったからだ。iPod市場で強固なブランド力と圧倒的なシェアを握るAppleに、どう対抗するか。ライバルメーカーの大きな課題になりそうだ。

iPhoneのエコシステムの強さと課題

 これまでのiPhone好調を下支えしてきた「iPhoneアプリ」のエコシステム(経済的な生態系)も、さらに強固に、かつ魅力的になってきている。Appleが発表した直近のデータによると、App Storeに登録されたアプリ数は18万5000を超えている。その後のiPad効果もあり、現地時間の6月7日から開催されるWWDCでは登録数20万の大台突破も十分に考えられる。アプリの総ダウンロード数も40億を突破。音楽コンテンツのダウンロード数が、今年2月時点で100億ダウンロードだったことを鑑みると、iPhone/iPod touch用のアプリ市場は“音楽市場の規模を上回るペースで成長している”といっていいだろう。

 iPhone OSを搭載するiPhone/iPod touchは今年2月時点で約8500万台を超えており、iPadの上積み分もあることから、今夏には1億台の大台を突破するだろう。ニンテンドーDSのプラットフォームが1億2000万台であることを考えると、その規模の大きさが分かるはずだ。しかも、iPhone/iPod touch/iPadでは「簡単にアプリやコンテンツをダウンロード購入できる状態にある」のだ。

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