乱立するアプリストア “ブラウザ常駐”の新手段も――Openwave

» 2011年03月04日 17時42分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 スマートフォンの普及とともに、端末メーカーやOSベンダーなど、さまざまなプレーヤーがアプリストアへの取り組みを加速させている。ネットワークソリューションなどを展開するOpenwave Systemsでは、「通信事業者が自社の付加価値サービスとして提供できる」というWebアプリソリューション「Openwave Amplicity」を展開している。同ソリューションは、Webブラウザ上にWebアプリの動作環境やWebアプリストアへの導線を常駐されられるというもの。3月3日、同社は都内で記者発表会を行い、ソリューションを紹介した。

 これまで、モバイル端末におけるアプリやコンテンツの販売プラットフォームは主にキャリアがイニシアチブを握っていたが、スマートフォン時代の到来とともに状況は複雑化してきた。AppleはiPhoneで、デバイス、OS、さらにアプリストアであるApp Storeを統合的に管理し、大きな利益を得ている。一方、GoogleはAndroid OS搭載デバイスにAndroidマーケットを提供。また、Android向けアプリストアに関しては、通信キャリアのほかにSamsungが「Samsung Apps」を展開したり、日本でもNECビッグローブが「andronavi」を運営したりと、さまざまなアプリストアが登場している。ほかにも、NOKIAの「Ovi Store」やRIMの「App World」、Microsoftの「Windows Marketplace」など、各OS、デバイスをターゲットにアプリストアが存在する。

 そんな中でOpenwaveが新たに用意したOpenwave Amplicityは、Webの技術に準拠することでOSに依存せずに動作するWebアプリ向けのソリューションだ。主にキャリアやISPへの納品を想定した製品で、導入企業にWebアプリストア運営による収益機会を提供することを狙っている。

 Openwave Amplicityを利用すると、WebKitで作られたHTML5対応Webブラウザ上に、アプリを選択する“フローティングツールバー”が重ね合わせられるようになる。端末ユーザーはツールバーを起点に、自分の使いたいアプリを選択してWebブラウザ上で実行したり、アプリマーケットに遷移して新たにWebアプリを購入したりといったことが可能になる。つまり、アプリの利用環境とアプリストアへの導線がWebブラウザ上に常駐するようになる(ツールバーが邪魔な場合は非表示にすることもできる)。提供されるWebアプリとしては、主に翻訳アプリなどのWebブラウジングに役立つアドオン的なアプリを想定しているようだ。

photophoto Webページにアプリを選択するツールバーがオーバーレイされる(写真=左)。ツールバー内にある歯車のアイコンをタップすると、アプリストアに画面遷移し、使いたいアプリを購入できる(写真=右)
photophoto PC向けWebサイトのコンテンツをスマートフォンで読みやすいようにレイアウトしてくれるアプリのデモ。ツールバー内にあるアプリのアイコンをタップすると、右の写真のようにテキストが画面に最適化される

 Amplicityのツールバーは、導入した通信事業者のゲートウェイを通過したWebページ情報に自動的に挿入される仕組み。アプリは、AndroidはもちろんiPhone/iPadのブラウザでも動作する。端末の位置情報やデバイスの種類といった利用者情報を取得することも可能だ。さらに、Amplicityソリューションに含まれる分析機能を使い、アプリのレコメンデーションといったパーソナライズサービスも提供できるという。

 同ソリューションの商用サービス例はまだないが、いくつか導入を検討している企業があるという。Webアプリのキャリア向けエコシステムとしては、WAC(Wholesale Applications Community)がアプリストアの商用サービスを開始するなど新たな動きも出ており、今後の動向が注目される。

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