対iPhone4S――一般層へのスマホ普及に向けた、ドコモの2つの戦略とは?神尾寿の時事日想・特別編(1/3 ページ)

» 2011年11月02日 16時30分 公開
[神尾寿Business Media 誠]

 Appleの「iPhone 4S」発売が大きな話題になる中、NTTドコモが2011年冬〜2012年春モデルを発表した(参照記事)。同社は今回、新端末の投入はもとより、新料金プランや新たなコンテンツサービス、次世代インフラ「Xi」の展開計画変更(参照記事)を発表。これまでドコモ内で「禁じ手」といわれてきたキャリア内音声定額サービスの投入にも踏み切るなど、その内容は近年まれに見る大きなものだった。

 ドコモは現在、“国内大手3キャリアの中で唯一iPhoneが取り扱えない”立場だが、この冬春商戦に投入する製品・サービス・料金でその不利に対抗しきれるのか。それを考えてみたい。

NEXTシリーズ7機種。上段左から「ARROWS X LTE F-05D」「Optimus LTE L-01D」「MEDIAS LTE N-04D」「GALAXY S II LTE SC-03D」、下段左から「ARROWS μ F-07D」「MEDIAS PP N-01D」「BlackBerry 9900」(左)。このうちXi対応は、F-05D、L-01D、N-04D、SC-03D(右)

急速に一般市場化するスマートフォン

 日本のスマートフォン市場は急速に拡大している。MM総研の調査によると、2011年度上期(2011年4月〜9月)のスマートフォン出荷台数は1000万台を突破。これは前年同期比4.5倍の実績であり、国内のスマホ移行スピードのすさまじさを物語る数字だ。MM総研では下期もスマートフォン需要の拡大は続くと予想しており、通期では総出荷台数4160万台(前年比10.5%増)のうち、スマートフォンが半数超(56.0%)の2330万台になると予想している。筆者は自著『すべてのビジネスをスマホが変える』において、2015年までに稼働シェアの約8割がiOSやAndroidなどのスマートフォンプラットフォームに移行すると予測したが、現在の市場の推移はその数字をなぞらえるものになっている。

 このような背景のもと、2011年冬商戦から2012年春商戦における重要な争点は「一般ユーザー層向けのスマートフォン戦略」になる。すでに市場の約16%を占めるハイエンド市場(イノベーター層およびアーリーアダプター層)の多くはスマートフォンへ移行しており、その一部が買い換えサイクルに入る段階だ。一方で、これから半年あまりで大きな需要が見込めるのが、全体の34%を占める早期一般層(アーリーマジョリティ層)を中心としたミドルユーザー市場である。

 ここでの競争において、ソフトバンクモバイルとKDDIはAppleの「iPhone」という飛び道具を持っている。iPhoneは当初ハイエンド層が飛びついたが、優れたデザインやUI、豊富なアプリ / コンテンツを擁するという商品性は、むしろ一般市場向きだ。ブランド力も他のスマートフォンより高く、iPhoneはハイエンド層のみならず、女性・若年など高感度層を中心に幅広いユーザーに訴求できる希有なスマートフォンになっている。ソフトバンクモバイルとKDDIが「iPhoneをラインアップしていること」は、スマートフォン市場において一般ユーザー層が主戦場になる中でも有利な点である。

 一方、NTTドコモは一般ユーザー層向けの施策として、端末とサービスの両方で"国内ニーズへの対応"で臨む。具体的には、おサイフケータイやワンセグといった国内市場で必須の機能を多くのスマートフォンで対応させたほか、iモード端末で導入されてきたサービス・機能を進化させた「dメニュー」と「dマーケット」、「iコンシェル」などを投入(参照記事)。これまで"ケータイ"の世界に慣れ親しんでいたユーザーが、違和感や不足感を覚えることなくスマートフォンに移行できるように腐心している。

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