コンクールの評価基準は、そのまま職場でトレーニングをする際のポイントとして活用できます。トレーニングにあたっては、基礎から応用へと展開していくことが重要です。その意味で、評価基準は基礎から応用へと理に適った表記になっています。その基礎に位置付けられているのが、基本応対である発声や敬語など。当たり前を再確認することがポイントです。研修場面でも発声や敬語などの確認には時間をかけて練習しています。
それでは、職場で行う発声練習のトレーニング方法をご紹介します。トレーニングは、期間をかけて、対象者を絞って行います。しかし、やり方は簡単です。指導する側で方法を教える必要はありません。次のような方法で行います。
ちょっと元気がないなと感じるメンバー2〜3人に、電話の対応力が向上する目的や意義を示した上で、「発声練習の良い方法を来週(朝礼や勉強会を実施する日に)みんなに伝えてほしい。インターネットなどに情報があるから、自分で好きな方法を選択して、やり方を伝えてやって」と、言っておきます。
ピンとこないようであれば、一緒にサイトなどを見て、発声法を紹介しているサイトや、書籍があることを知ってもらいます。そして、自分が一番しっくりくる方法を選択してもらい、その方法が身につくまで実践してもらいます。その上で、皆にやり方を伝えてもらうのです。
皆に伝える際には、「教える」や「指導する」というスタンスではなく、次のような点を伝えてもらいます。
実はこの方法は、時間をかけられることに意味があります。1週間〜10日ほど発声トレーニングをすると、声の出し方や滑舌がよくなります。選抜した2〜3人のメンバーは、この練習をしている段階で声の印象に違いが出てきます。また、表情も明るくなっているはず。元気がなかったメンバーがイキイキし始めるのです。それが周りにも感じられるようになります。このことが最も重要です。
なぜこのようなやり方をするのか? それは、基礎的なことほど自分が納得できることが大事だからです。発声練習などのトレーニングなどに優れた講師は、受講者が納得できるように伝えるための材料を沢山持っていますが、職場のリーダーはトレーニングの専門家ではありません。ややもすると、自分のやり方を押し付ける印象を与えてしまいます。やらされ感が強い研修は、やり方を「知る」ことには繋がっても、「実践」には至らないことが多いのです。
一方、インターネットや書籍で調べると「なぜ、発声が重要か」「発声を良くするとどのようなメリットがあるか」などの情報に触れられるため、知らないうちに動機づけされます。また、発声練習は色々な方法があるので、自分に合ったやり方を見つけることで、楽しんで取り組め、自然と身につくことにつながります。
なお、わたしの経験では、最初の発声練習が上手くいくと、伝える目的で取り組んだ人を中心に、業績が向上していきます。業績が向上すれば、自信もつきます。
自信がつけば、次のステップである敬語や話し方のスキル、内容の伝達など、より高度なトレーニングに移行できます。その際も、自分で調べて、他のメンバーに伝えるやり方は効果的です。
一通りのトレーニングが進んだら、職場内での勉強会の機会を設け、VTR撮影し自分の対応を客観的に観察してもらい、レベルアップにつなげていくことも一考です。但し、最初からVTR撮影は厳禁です。ある程度、メンバーに自信がついてきたタイミングを見計らって取り入れることが肝要です。
新規で電話をかける際も、お問い合わせなどの電話へ対応する際も必要な電話対応の基礎。対応の基準を明確にしトレーニングすることで、確実に電話対応力は向上します。ぜひ業績アップに役立てて下さい。
大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。
社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。
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