不具合には原因があるから解決しなきゃいけないね説明書を書く悩み解決相談室(2/2 ページ)

» 2012年04月04日 15時50分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]
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 では、解答例です。

 「結果」を先頭に使うのは不自然ですが、「不具合」ならば問題ないですね。上記のように見出しを付けると、

 「こんな不具合が起きていて、その原因はこうだ。だから解決の方向性はこうあるべきで、具体的にはこう進んでいる」

 ……という形で語ることができます。これなら自然なストーリーになります。

「不具合→原因→解決の方向性→具体化」が典型パターン

 なお前ページ、P→Qの順番をQ→Pに入れ替えて「原因→結果」の流れで書けるようにしても構いません。それはそれで良い方法です。しかし、順番を変えずに見出しを変えることで自然な流れになるように工夫するというのもやってみてください。これをやると、使えるボキャブラリーが増えます。実はこんなふうに

 「ちょっとした不自然なところをしっくり来るように直す案を考えることは、文書化能力を向上させるための良いトレーニングになる」

 のです。10秒で分かるほど簡単でもなく、20分かかるほど難しくもなく、2〜3分で考えられるような問題が手頃です。

 注意しておきたいのは、「不具合→原因→解決の方向性→具体化」という流れは、どんな問題解決の場にもよく出てくる典型的なパターンだということです。見出しを付けるとこういう「頻出する典型的なパターン」に気付くことができます。気付くと、それを次の機会に応用できます。

 そのパターンに気付くために、見出しを付けることが重要なわけです。それには、「難しい文章」で考える必要はありません。今回の例題のように、「一見すると大して難しくもない、すらすら分かる文面」の方が、文章の理解そのものに苦労しなくていい分だけ、見出しを付けることによるパターンの発見に力を注ぐことができます。ぜひ、お手元の文書を見直してみてください。


 当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」という相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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