手帳とスマートフォン、使い分けのポイントは?スマホ時代の手帳再入門(2/2 ページ)

» 2012年05月29日 16時10分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]
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アナログメモは書いた後の処理を決めておく

 メモ帳もスマートフォン用の物でなくてもいいだろう。一般のメモ帳とスキャニングアプリを併用することで、同じような使い勝手を実現できるからだ。ただ、動機付けという点で、専用のメモ帳に一日の長があるかもしれない。

 また文字だけの情報なら、スキャナアプリなどを使うまでもなく、PCのキーボードから直接入力してしまう方が早い。テキストファイルとして保存することでデスクトップ検索の対象にもなるメリットがある。

 スケジュールやToDoと違い、メモはどうしてもたまりやすい。スケジュールやToDoは自ら処理(≒実行)するものだが、メモはそれ自体では予定でも仕事でもないからだ。

 アナログツールでメモを取ってデジタル化する場合は、処理の方法を決めておきたい。メモはその都度スキャニングアプリで取り込むのか、それとも週に一度まとめてやるのか、などだ。その都度やる場合には、デジタル化を忘れないメリットがあるが、その都度作業するのがやや面倒だ。

 よって、そのための時間を設けてまとめてデジタル化した方がいいだろう。特にメモを見直すと、中には意味不明なものや陳腐化したものなども見つかる。そういったものを捨てることで、スキャニングの手間の省略にもつながる。

Evernoteはあたらしい“便覧”

 デジタル化したメモは、多くの場合Dropboxなどのオンラインストレージ(クラウド)上に蓄積することになる。蓄積できる情報量に上限がなく、通信環境さえあればどこからでも参照できるからだ。

 これは保存できる情報に限りがあるアナログの手帳では難しいことだし、再利用もしにくい。スマートフォンであれば、いつでもどこからでもインターネットネットに接続してクラウドにアクセス、参照できる。

 手帳にも便覧という、スマートフォン単体では持たない基本機能がある。度量衡一覧や年齢早見表など、手帳の巻末にある資料類がそれだ。

 だがこれは、Evernoteを使えば、パーソナルな便覧として代用できる。再利用が想定される各種情報やメモなどを蓄積し、検索できるからだ。それもPCに限らずスマートフォンを使えば、通信環境がある限りどこからでも参照できる。参照頻度が低いものも検索機能というデジタルならではのメリットを生かせば、蓄積しておく意味がある。それはアナログの手帳だけを使っていては享受できないメリットだ。

情報の蓄積先はやはりEvernoteクラウドツールが便利。手帳やメモ帳と異なり、蓄積できる情報の量に事実上上限がないからだ

 以上メモを例にとって、手帳とスマートフォンの使い分けや併用について考えてみた。自分の仕事場の事情に応じて無理なく使えるパターンや、処理のワークフローを組み立ててみよう。


 なお本稿では、私物端末の業務利用の許可/不許可は各企業に判断によるものとし、今回は会社でスマートフォンの利用を許可している場合を例に、業務メモの取り方をアナログ、デジタル双方のメリットとデメリットを考えてみた。

 会社によっては個人利用の端末(スマートフォンや携帯電話、モバイルPCなど)の利用を禁じているところもある。個人情報保護法の施行以来、日本企業は社内の情報管理に対する意識が高まり、各種の対策を取るようになったからだ。

 もし自社で個人端末の業務利用が許可されていない場合には、社内のグループウェアで予定を管理し、同時に手帳に転記するような使い方になると思う。だが、会社の予定が誤って外部に漏れるのを防ぐために、転記の際には記号やアルファベットを多用する必要があるだろう。

著者紹介 舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

 手帳評論家。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売


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