どうする? サラリーマンの節税「大増税」時代に備えて(4/4 ページ)

» 2012年11月29日 15時10分 公開
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サラリーマン節税のポイント

 サラリーマンにできる節税はそれほど多くはない。もう一度サラリーマンの税金の計算式をみてみよう。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
  • 給与所得−各種所得控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税

 給与所得控除や税率は一定の式で決まってしまうので、コントロールできるのは各種所得控除だけだ。サラリーマンの節税は各種所得控除を漏らさないことだろう。

 多くの人が対象となる控除は、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、社会保険料控除、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除、地震保険料控除、医療費控除だ。

 結婚している人は配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除に漏れがないようにしよう。独身の人も親の面倒をみている場合は扶養控除の対象となるので公的年金の支給額などを確認しよう。パート、アルバイトなどの給与所得は収入で103万円(所得で38万円)を越えると扶養控除の対象外だが、公的年金の控除額は65歳未満で70万円〜、65歳以上で120万円〜なので、65歳未満の親の公的年金が108万円以下、65歳以上は158万円以下なら扶養控除の対象。父が亡くなり母が遺族年金をもらっている場合は注意が必要だ。遺族年金は公的年金ではないので、158万円を超える支給があっても扶養控除の対象となる。

 社会保険料控除は厚生年金、健康保険、雇用保険など天引きされた金額で決まるので自分自身でコントロールすることはできない。これに対しサラリーマンが身近で積極的な節税ができるのは生命保険関係の控除だ。医療保険を見直しするなどして新制度に上手く対応すれば数千円の節税となる。単年ではそれほどの金額ではないが、20年、30年と累積すればかなりの節税だ。

 例えば一般生命保険に10万円、医療保険に8万円を払っている場合、どちらも旧制度のままなら所得税は5万円の控除だ。医療保険を解約して新規契約、あるいは特約を付けて更新をすれば新制度の適用となり、介護医療保険料控除の対象となる。こうすれば一般生命保険料控除が旧制度で5万円、仮に医療保険は同額8万円の新規契約をすれば介護医療保険料控除で4万円、合計9万円の控除となる。

 所得税の控除が4万円増えると課税所得は4万円減る。住民税は2万8000円の控除が増え課税所得が2万8000円減る。所得税の税率が10%の人なら4000円+2800円=6800円の節税だ。払い続ける保険期間が20年なら13万6000円の節税となる。生命保険は節税のために入るものではないが、同じ保障が得られるなら少しでも税制面で得な方がいいだろう。

 最後は医療費控除だが、これは年末調整ではなく確定申告が必要となる。医療費控除は生計を一とする親族がその年に支払った医療費が10万円を越えるか、所得200万円未満の人は所得金額の5%を超えた分が控除の対象となる。生計を一にするということは、共働きで奥さんが配偶者控除の対象になっていなくても、旦那さんが奥さんの医療費をまとめて支払っていれば奥さんの医療費も合計できる。

 入院をすると簡単に10万円を越えそうな気がするが、医療保険や高額療養費などで補填された分は差し引くので、意外に医療費は増えないことがある。積極的に医療費控除を利用するなら、インプラント、レーシックといった費用のかかる保険外治療を計画的に行った方がいい。

 例えば25万円のレーシック手術を、医療費をほとんど支払っていない年にすれば10万円を越えた15万円分が控除の対象となるが、医療費を9万円支払った年にすれば24万円が控除の対象となる。

 所得税の控除が数万円増えてもそれによる納税額は数千円減るだけだが、極まれに1,000円の控除が数万円の得につながることがある。例えば私立高校の授業料軽減措置などは各自治体ごとで設定されていることが多い。神奈川県の場合、市町村民税の所得割額が22万3260円未満であれば入学金9万9000円、授業料7万4400円が軽減されるが、22万3260円以上だと軽減の対象外となる。このようなケースでは、わずかな控除の差で10万円以上の軽減を受けられることもある。

 税金の知識があると一生を通して得することがある。年末調整を意味不明のまま書かれている方も、少し興味を持つと自分自身のプラスになることがあるだろう。

 次回は個人事業主の年末の節税対策を紹介したい。

インフレ時代の確定申告
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