メディア
連載
» 2019年12月05日 05時00分 公開

「これさぁ、悪いんだけど、捨ててくれる?」――『ジャンプ』伝説の編集長が、数億円を費やした『ドラゴンボールのゲーム事業』を容赦なく“ボツ”にした真相マシリトが行く!【中編】(6/7 ページ)

[伊藤誠之介,ITmedia]

ドラゴンボール関連の売上は1200億円

鵜之澤氏: それは一方で、鳥嶋さんが「本気で『ドラゴンボール』をもう一回やるから」というのがあって。というのは、『ONE PIECE』のアニメが10年経(た)って、ちょっとダレたんですね。ゲームも正直、なんとなく惰性で出していました。そうしたら鳥嶋さんから「『ONE PIECE』のアニメが10周年なので、鵜之澤君もマジメにゲームを作れ。その代わり、原作もアニメもネジを巻き直すから」と。それで(原作者の)尾田栄一郎先生が直々に原作を手掛けた劇場版アニメ『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』が出てきて、そこから一気に盛り上がっていくわけですよ。

phot 『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(東映ビデオのWebサイトより)

 それと同じように、『ドラゴンボール』もちょうど、なんとかしようというタイミングだったんですね。『ドラゴンボール』もアニメがないからなんとかしたい。でも昔のアニメを流すにしても、画面が4:3なんですよ。それをハイビジョンのサイズに直して、なおかつ原作にはなかったオリジナルでテンポの悪いところを全部切るという、ある意味で横暴に近いやり方なんだけど、でもそれが『ドラゴンボール』復活のひとつのきっかけになったんです。その後なんと、新作の劇場アニメを鳥嶋さんが鳥山明先生や東映アニメと話して作ってくれて。

 実は昨年(18年)は、バンダイナムコのグループの中で『ドラゴンボール』関連の売り上げが一番大きかったんですよ。1200億円ぐらい。『機動戦士ガンダム』よりも多いんですよ。そういうことになったのも、さっき言ったように鳥嶋さん自身が責任感を持ってやってくれたからで。だってその当時、鳥嶋さんは集英社の専務ですよ。専務取締役が一個一個の企画からフィギュアのデザインまで、全部チェックしますからね。なんで監修してるんだ、と思うんだけど、でも鳥嶋さん自身が絶対権限を持っているから、周りが動きやすかったんでしょうね。

phot

鳥嶋氏: あの……『ドラゴンボール』の新作アニメはですね、実は作るつもりがなかったんです。さっき話した、東映アニメの森下さん。彼は今、東映アニメの会長をやっているんですが、この人は『ドラゴンボール』のアニメの立て直しに非常に協力してもらったので、僕は感謝しているんです。

 この森下さんが、病気で入院することになったんですね。正直に言うと、退院して戻ってくるとは思わなかった(笑)。ヨレヨレの森下さんが入院前日に僕のところに来て、「鳥嶋さん、僕が万が一退院したら、『ドラゴンボール』の新作を作るのに同意してもらえますか?」って。僕は戻ってくると思っていなかったので「いいですよ」って言ったんですよ(笑)。それが奇跡の復活で戻ってきたので、これはしょうがないなって。

phot 会場は「満員御礼」だった

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -