約1年前、「190カ国で3億4000万ダウンロード Tinderが仕掛けるウィズコロナ時代のマッチングビジネス」で、水原氏にインタビューした。この1年間、SNSの使い方に変化はあったのかを彼女に聞いた。
「インスタの投稿に力を入れています。昔は日記のような感じで使っていたのでビジネスツールとして使うことには抵抗があったのですが、コロナ禍によって仕事でもプライベートでも友人たちに会えないからこそ、大事なツールになっています。
インスタでは、フォロワーの多い有名人による投稿の傾向を徹底的に分析していますね。写真家が撮ったカッチリした写真はかっこいい反面、Z世代の子たちからはリアルではなく、遠い感じがするから『いいね!』が付きづらいんです。一方、(自分の写真を自分で撮影する)セルフィーはリアルさを感じやすいからか、『いいね!』が付きやすいんです。つまり、Z世代は『共感』を求めているんですね。みんなが好きそうな写真と、私が好きな写真をうまく発信できたらいいなと思っています」
インスタで再シェア(リポスト)されたストーリーも活用しているという。また水原自身が出演したTinderのCMに関して、「ジェンダーに関係なく出会いがある」と投稿したときは世界中のLGBTQのユーザーから大きな反応があった。
「『すべての出会いが、私をつくる』というのがテーマですが、女性が女性とマッチして友達を作れる、出会いたい人と出会えるツールであるということを評価してくれるコメントが多く、たくさんの人の心に響いていると感じました。今後はYouTubeにも力を入れて、日本の色んなカルチャーを知ってもらえるように字幕付きで世界中に発信できたらいいなと思っています」
新型コロナウイルスの感染拡大がここまで続くと考えた日本人がどれほどいたか。なかなか人に会うことが難しい環境下だからこそ、人はコミュニケーションに対する飢えを感じ、マッチングサービスは貴重な出会いの場を提供しているのかもしれない。Tinderの足元の業績がそれを証明している。
同社の今後のスケールアップのカギは、出会い系アプリから「総合的なマッチングアプリへの脱皮」だ。その脱皮を図るには、学生がイベントで話したように「安全性」の問題の解決が欠かせない。Tinderはその課題を認識しており、いろいろな機能を開発し続けている。
逆に言えば、今後も継続して対応する必要があるということだ。その対応を怠れば、最大手であるTinderであっても、小さなほころびが広がることによって厳しい局面を迎えかねない。
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