――かつて住商の収益の柱になっていた鋼管ビジネスの現状はどうですか。
環境課題、石油価格の低下により北米を中心に掘削活動が大幅に低下し、ビジネスの規模は一挙に小さくなりました。石油リグ(掘削プラットフォーム)の数でみると、最盛期は4000台が稼働していました。私が米国から帰国した2015年ころには1500台にまで激減し、それが200台にまで落ちました。最近では500台まで戻していますが、足元は市場規模に応じた在庫でビジネスをしています。
ただ石油の掘削は減ってもグローバルにはトランジションエネルギーとしてガスの位置付けは変わらず、掘削は継続し鋼管のビジネスは残ります。当社の戦略パートナーである大手メジャーや国営石油会社は水素やガスを含めた総合エネルギー会社への転換を目指しており、そういう会社とともに、既存部分はDXによる掘削自動化や効率化、将来に向けては気候変動対応を踏まえた新エネルギープロジェクトに共に取り組み、付加価値向上に注力していきます。
――ダイバーシティーの観点から、経団連は上場企業の女性管理職30%を目標に掲げています。現在の女性管理職の比率と、将来の比率目標はありますか。
女性管理職の比率は現在7.5%ですが、30年には20%以上を目標にしています。部長級は現在の0.8%を10%以上に、取締役・監査役は18.8%を30%以上にそれぞれ増やす目標を掲げていて、この達成に向けては社内でも相当に力を入れています。ただし、管理職や部長級を担う母数となる人数が少ないので、これをどうやって増やすかが課題です。
当社はグローバル人材マネジメントポリシーを制定し、Diversity & Inclusionに重きを置いています。2021年4月には新人事制度を導入し、年功序列的な制度から、「Pay for job, Pay for performance」という方針に変えているので、年次に関係なくポジションに就けるようにしています。専門性の高い人材の確保を目的に、キャリア採用を強化し、近年では年間20〜30人ほどを採用しています。
また、一度退職した社員と会社をつなぐネットワークも組成しており、退社した方でも再び当社で働くことも想定しています。昔は退社すると「脱藩」のイメージがあったようですが、いまはそうしたものはありません。
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