売上高1兆円以上の企業、社長報酬の中央値は「9860万円」 昨対比で微減東証一部上場の社外取締役は800万円(2/3 ページ)

» 2021年11月24日 14時51分 公開
[秋月かほITmedia]

ガバナンス体制

 指名委員会等設置会社を除く1003社のうち、任意の報酬委員会を設置している企業の割合は67.5%(677社・前年比7.3%増)、任意の指名委員会を設置している企業の割合は60.1%(603社・前年比6.4%増)だった。

 任意の指名委員会・報酬委員会の設置率は上昇した一方、年間の開催回数に関しては指名委員会等設置会社との乖離が見られた。指名委員会等設置会社では、いずれの委員会も年5回以上開催する企業が半数以上である一方、任意の委員会設置企業では、年3回以下の企業が約6割を占めている。

 選解任基準の整備状況に関しては、CEOの選任基準を整備している企業が32.4%(前年比1.2%増)と増加し、CEO以外の役員の選任基準を整備している企業は44.7%(前年比0.4%減)にとどまった。また、CEOの解任基準においては全体の31.3%(前年比0.6%増)、CEO以外の役員の解任基準も全体の38.7%(前年比0.6%増)と微増した。

 指名基準に関連して、CEOの後継者計画を整備している企業は全体の19.3%(前年比0.9%増)、その他役員の後継者計画を整備している企業も全体の13.5%(前年比1.2%増)と増加した。

photo 報酬委員会・指名委員会の年間開催回数

マルス条項・クローバック条項の導入状況

 2015年のコーポレートガバナンス・コードの適用開始以降、役員報酬制度の整備・進展に伴い、不正防止や過度なリスクテイクの抑制を目的として「マルス・クローバック条項」の導入・検討をしている企業が見られる。昨年度において両条項を導入済の企業は、合計で8.3%だった。

 一方、今年度はマルス条項(権利が確定したインセンティブ報酬について、業績の修正などがあった場合に、報酬が支給される前にその額を減額、もしくは支給を取りやめる取り決め)を導入済の企業が20.3%、現在検討中・今後検討予定の企業は9.2%だった。

 また、クローバック条項(業績に連動し支給された報酬を業績結果の修正などの事項をトリガーとして返還させる取り決め)を導入済の企業が8.7%、現在検討中・今後検討予定の企業が10.3%と、増加傾向にあることが分かった。

新型コロナの役員報酬への影響は軽微

 新型コロナウイルスによる役員報酬への影響を調査したところ、役員報酬の減額・自主返上について制度を変更した企業は全1042社のうち13.3%(139社)、変更していない企業は86.7%(903社)だった。

 制度を変更した企業のうち、臨時的に変更した企業は11.9%(124社)、臨時的かつ恒常的に変更した企業は1.1%(11社)、恒常的に変更した企業は0.4%(4社)であった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.