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月給13万円 障がい者が、生き生きと働けるエスプールプラスの農園「わーくはぴねす」全国に30カ所開設(1/4 ページ)

» 2021年12月01日 15時57分 公開
[中西享ITmedia]

 12月3日からは9日までは「障害者週間」と定められている。障害者基本法によると、国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障がい者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進する期間とある。だが、健常者と障がい者との「共生社会」の実現を目指す日本では、障がい者が楽しく安心して働ける場は少ないのが現実だ。

 そうした中で、障がい者に働いてもらえる場を見つけられないなど困っている企業に対して、人材派遣を中心事業にしているエスプールの子会社エスプールプラス(東京・千代田区)が大都市近郊にある農園を貸し出して働く場を提供している。

 このビジネスがこの2、3年で急速に拡大。関東、東海エリアを中心に関西も含めて農園の数を30カ所に増やし、ここで就労している障がい者は知的障がい者を中心に2238人(8月末現在)と順調に増えた。利用する企業は374社だという。

わーくはぴねす農園 柏ファームで働く障がい者

年間7〜8カ所ペース

 「わーくはぴねす」と呼ぶ企業向け貸農園は2つのタイプがある。ビニールハウスでレタスなどの野菜を栽培する屋外型と、水耕栽培で葉物野菜を中心に育てる屋内型だ。エスプールプラスの和田一紀社長は「この1年間で7カ所も増えスピード感が加速した。時代の流れもあって企業からのニーズが多いので、今後は年間で7〜8カ所程度のペースで農園を増やしていきたい」と話し、屋外、屋内型の両方のタイプで拡充したい考えだ。

エスプールプラスの和田一紀社長

 屋外タイプの農園では、ビニールハウスの中に30メートルほどのレーン(畝)があり、軽石を敷き詰めている。養液栽培のため手が土で汚れずに清潔な中で作業できるのが特徴だ。

 この一つの畝を使って3人1組の障がい者に監督者1人が付いたチームで野菜を育てている。ストレスを感じることなく作業ができるためか、障がい者の表情は生き生きとしていた。農園の仕事は相手が農作物のため、育てる楽しみがあり、定着率は92%と高く、辞める人は少ないという。

 2020年8月から東京都板橋区にあったテナントビルを活用して始めた屋内タイプは、LED照明を使って栽培するもので、都心で働きたい障がい者や、暑い環境での作業が苦手な障がい者に向いている。現在は屋外タイプが、千葉、埼玉、愛知などに26カ所あり、屋内は東京に2カ所、大阪、愛知にそれぞれ1カ所の合計4カ所ある。

 この農園を利用している企業は、SMBC日興証券、三菱ふそうトラック・バス、ドトールコーヒー、東急ハンズなど業種はさまざまだ。

エスプールプラスの農園数と参加企業、雇用されている障がい者数の推移
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