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月給13万円 障がい者が、生き生きと働けるエスプールプラスの農園「わーくはぴねす」全国に30カ所開設(4/4 ページ)

» 2021年12月01日 15時57分 公開
[中西享ITmedia]
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農園を活用して雇用率クリア

 もう一社は名古屋市に本社をおく大同メタル工業。従業員は1640人なので、障がい者の法定雇用人数は37人。人事企画センター労務グループ主任の北川大樹さんは農園を利用することになった理由についてこう話す。

 「法定雇用率が3月から2.2%から2.3%に引き上げられたことと、企業の社会的責任としてより多くの障がい者を雇用していきたかったからだ。それまでは社内で30人ほど障がい者を雇用していたものの、その後何か新しい形で障がい者雇用を増やそうと考えていた。その矢先、会社の近くに農園ができると聞いて、見学したところ安心して働ける場だと考え参加を決めた」

 20年6月から雇用を開始し、現在は5人の障がい者(知的障がい3人、精神障がい1人、身体障がい1人)が働いている。

 北川さんは「社内では知的障がいの方を中心に30人の障がい者が安全第一に梱包作業などで働いてもらっているが、工場での作業は安全面を考えるとこれ以上の障がい者を受け入れるのは難しいというタイミングだった。現在は5人がやりがいを持って農園で働いており、今後も続けたい。現在はポイント制の法定雇用率を超過達成しているが、今後も法定雇用率プラスアルファーを目指したい」と意欲的だ。

 農園で働いている障がい者はパート社員として勤務し、月給は11〜12万円になる。農園で収穫されたレタスやピーマンなどの野菜は社内で格安で販売して、集まったお金を自然災害の被災地へ寄付したり、月に2回ほど子供食堂にも提供したりして、相手先から喜ばれているという。

包括的なサービス提供

 時代の要請に応える中、社内で障がい特性に適した仕事を切り出すことが難しい企業にとって、この農園は多くの企業の受け皿となっている。今後の展開について和田社長は「25年までに障がい者雇用支援の代表的なプラットフォーマーになりたい。自宅でしか仕事できない障がいがある方もいるので、雇用面で包括的なサポートをしていきたい。企業、障がいがある方の両方に農業以外で働ける選択肢を増やし、仕事も選べるようにしたい」と話し、さらなる事業拡大を目指そうとしている。

 また「この農園に参加することは、多くの企業に強く求められているSDGs(持続可能な開発目標)の、『貧困状態の割合を半減させる』『若者や障がい者を含む全ての人の、雇用・働きがい・同一賃金を達成させる』など5項目に直結する」と話し、SDGsの目標を同時に実現できるという効果もあるとみている。

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