10月のBlog界は、RSSリーダー、ヤフーの参入、写真や地図との連携を行う新サービス展開など、Blogの多様性を模索する動きなどが幾つも見られた。ほかにも、livedoor Blogのリアルタイム制限、はてなが踏み切った住所登録要請も、Blogの今後を考える上で見逃せない。
10月に入って少し涼しくなったと思ったら、急激に寒くなったり、また暑さが戻ったり。気温の変化が実に激しい。
この時期、あちらこちらのBlogを見ても風邪を引いた、体調を崩したというのもよく見かける。実は、筆者も10月末から風邪をこじらせてしまい、ようやく治まってきたところだ。読者も体調管理には気をつけてほしい気候だ。
10月になっても、夏の猛暑が影響しての大型台風襲来が続いた。しかし自然の猛威はそれだけではない。10月23日17時56分に新潟県中越地震が発生したのは周知のことだ。
この、多くの死傷者を出した、震度7をも記録する大地震の後遺症は11月に入っても終わらない。いまだ、余震の恐怖と、これからやってくる寒さに震えながら、多くの人たちが避難所や車などでの生活を余儀なくされているのだ。それと問題となったのは“情報”。とにかく、現地の状況などがなかなか伝わらず、混乱を生じていた。そんな中、Blogを利用した情報の交換が積極的に行われていたのである。
個人ベースのBlogでも多くの情報が交わされているが、Blogサービス自体でも被災地情報などを紹介するといった動きが見られた。中には、公的機関の情報から各Blog情報などへのリンクをまとめた形のものや、ニュースをまとめたページを作成したサイトもあった。また、独自に募金を募るなどの、活動を行うサービスもあった。
インターネットの基幹が有線である以上、データが遮断される可能性があり、衛星回線を使う仕様になっても停電という可能性で送受信は保証の限りではない。新潟県中越地震では、電気などのライフラインが寸断され、携帯電話のアンテナも被害を受け、使えなくなった。このような時のために、停電でも一定時間は利用可能な衛星回線を使ったネット環境が必要なのかもしれない。また、地震など災害に強い通信環境の整備も、今後、求められていくだろう。
そうとはいえ、通信環境が残された被災地や被災地近辺での情報発信、集積には、Blogが大いに役立ったことが間違いない。
11月4日の午前8時57分ごろにも、新潟県で震度5強の余震が発生した。まだ、多くの被災者も避難生活を余儀なくされている。これから、本格的な冬がやってくる。情報で混乱しないように、ボランティアなどをする人たちにとっても、Blogが生の声を交換できる場所となるのかもしれない。
10月のBlogサービスを振り返ってみよう。
まずは、10月にサービスを開始した、新しいBlogサービスについてだ。
16日にテスト運用が開始されていた無料Blogサービス「FC2ブログ」が、28日にベータ版サービスを開始している(10月29日既報)。
28日には、Yahoo!ジオシティーズが、これまで提供していた無料ホームページ作成サービス「ジオシティーズ」や有料版の「ジオプラス」に加え、容易にホームページ作成できるサービスとして新たに「ジオログ」サービスを開始した(11月1日既報)。
正式にはBlogサービスではないということだが、その名称といい、一部にBlog機能を搭載していることから事実上のBlogサービス開始といっても差し支えないだろう。
またスタイルビズは、Blogとアフェリエイトを活用した、ワーキングマザー(働く主婦)のコミュニティサイト「ワーキングマザースタイル」の一般公開を、18日より開始している(10月18日既報)。
それと相反する形で開始されたのは、27日にオープンしたファイナンス・オールによる独身女性向けのBlogポータル「化け犬.jp」(10月28日既報)だ。こちらは独身女性限定、というコミュニティであり今後に注目だ。
NTTデータが提供しているBlogサービス「Doblog」が、10月1日に報じた通り、5日より正式版サービスを開始した。しかし、不具合に伴う慢性的なサービス低下を抱え、大規模なメンテナンスを余儀なくされた(10月12日既報)。
シーサーが提供するBlogサービス「Seesaaブログ」は7日、「ブログ設定」内に、コメントとトラックバック時のメール通知機能、ヘルプ表示の設定機能の2つの新機能追加を行った(10月7日既報)。これにより、コメントやトラックバックの見逃しを防ぐことが可能になる。
アサマインターネットが提供するBlogサービス「信州FM」では、これまでケータイからの投稿には対応していたが、7日に「信州FMモバイル」のテスト稼働を開始して閲覧も可能になった(10月8日既報)。また、20日には「信州FMブログASPシステム」のサービスも開始された(プレスリリース)。
エキサイトが提供するBlogサービス「エキサイトブログ」は8日に報じた通り、投稿日時指定とコメントとトラックバックの管理機能を追加した。さらに、そこで予告した通り、14日にスパム対策機能として「ID・URLの拒否設定」機能を追加している(10月14日既報)。さらに19日にはなりすまし対策として、ログインユーザーによるコメントであることを証明するアイコン表示を開始(10月20日既報)。これで、ある程度のなりすましに対処することが可能としている。
また、9月に開始されたエキサイトニュースとのトラックバック連携を強化するため、ニュース内にトラックバックBlog一覧を表示するようになっている(10月6日既報)。
ライブドアが提供するBlogサービス「livedoor Blog」は、アクセス集中によるサーバ負荷の軽減のため、リアルタイム性に制限を行った(10月14日既報)。また、毎月26日を「Blogの日」として新企画や機能拡張を行ってきたが、10月に関しては大規模メンテナンス作業があったことや、アクセス急増による閲覧のストレス軽減する対策を優先的に行ったことにより、休止された。
Blog機能を備え、特定の相手に読ませるプライベート日記サービス「DI:DO」は、Eメールソフトのテンプレート機能のように、日記本文書式を保存可能な文章テンプレート保存機能を10月12日に追加した(10月13日既報)。
関西ドットコムが提供する「関西どっとコムblog」は、13日より日付、時間修正機能を搭載している(10月15日既報)。ただし、新規投稿の時間調整はできず、あくまでも一度登録したものを修正する形になる。同時に、過去ログ閲覧の不具合対応や「サポートblog」のリニューアルも行った。
はてなが提供するBlogサービス「はてなダイアリー」は、21日に複数ユーザーでひとつの日記へ投稿できる「編集許可機能」を公開した(10月22日既報)。
このほかにも、トラックバック通知メール送信の追加(10月28日)などの機能拡張が積極的に行われた。また、4日には、有料オプションユーザーに限り、自分のアマゾンアソシエイトを使ったアフィリエイトが自動適用されるようになっている。はてなサービス全体としては、10月28日にWebアルバム「はてなフォトライフ」ベータ版を新たに公開した(11月2日既報)。
31日には写真ページへのトラックバックも可能となり、Blogとの連携が強化された。ただし、このことが11月に入っての住所登録問題へとつながってしまったのは想像に難くない(11月4日既報)。なお、この件については経過を見て次回のコラム「7分で変わる11月のBlog界」で改めて取り上げる。
はてなフォトライフが始まる1週間ほど前の20日には、NHN JapanのBlogサービス「NAVERブログ」で、「フォトアルバム」サービスがスタートしている(10月27日既報)。
NTTレゾナントのBlogサービス「gooブログ」では26日、gooが行っている次世代を目指す検索実験「gooラボ」の一環として、「ブログMAP」「類似検索」「トレンドランキング」などの4つの新機能が追加された(10月26日既報)。
サイバーエージェントが提供するBlogサービス「アメーバブログ」では、これまで利用不可だったHTMLタグが、27日から一部利用できるようになった(10月28日既報)。一部不具合が指摘されていたが、それらのいくつかは28日には改善された。また、26日にはサイト内検索が追加され、アメーバブログ内の関連あるBlogを探すのが容易になっている。
このほか、28日には退会処理の方法を、これまでのメールによるものから、Web上から簡単に行えるものへと変更するなど、使いやすいようにするためのメンテナンスが実行されて整備されつつある。25日には新たに、「書評つながり」をオープン(10月26日既報)。アメーバブログと連動させることで、さらなる活性化を狙っている。
フィールドヴィレッジサービスが提供しているBlogサービス「トラベローグ」は、27日にリニューアルを行い、国内旅行Blogも開始した。
ネットエイジが提供するモバイルBlogサービス「moblo.jp」は、14日にプロフィール機能の追加を行った。
アイビィ・コミュニケーションズとファンコミュニケーションズが提供しているBlogポータル「BlogPeople」は、10月25日に報じたように、「BlogPeople トラックバック・ピープル」に検索機能を追加した。これで、興味のある話題を探し出すことが容易になる。
選挙情報専門サイトElection.が提供する政治家Blogポータルサイト「ele-log(エレログ)」は、15日と16日にシステムの大幅なバージョンアップを行い、ユーザビリティが向上した。
AOLのBlogサービス「AOLダイアリー」への新機能として、プロフィール機能実装を6日に行った(10月6日既報)。これで、プロフィールに関する「プロフィール編集」「プロフィール表示」「AOLダイアリーMap」といった3機能が追加された。また、それとは別に記事の編集と閲覧推奨環境を変更している(10月4日既報)。これにより、推奨OSの幅が狭まってしまうという問題も指摘されている。
BIGLOBEのBlogサービス「ウェブリブログ」は、25日に、これまで1Mバイトだった基本容量を30Mバイトに大幅増量、カフェ・ウェブリブログの最大書込み記事数の50記事の上限制限を撤廃している。同時に、期間中にウェブリブログを新規に開設した人の中から抽選で50人に、「バザールでござーる」フラッシュメモリーが当たる「パワーアップキャンペーン」を開催している(期間は10月25日〜11月10日)。
@NiftyのBlogサービス「ココログ」では、「ココログブックスコンテスト」を開催中だが、応募締切が11月7日まで延長された。
シーサーは、同社が運営している無料Blogサービス「Seesaaブログ」のASPサービスである「Seesaa ブログASP」サービス提供を1日より開始した(10月4日既報)。なお、同日からSeesaaブログASPを採用したBlogサービス「一人暮らし.NET ブログ」のサービスも開始されている。
Webマーケティングベンダーのイーナチュラルは、10月5日に報じた通り、Webマーケッターのためのビジネスblog情報サイト「ビジネスブログ」を10月21日にオープンした。
これとは別に、連載型のコンテンツ企画、製作を行うライトアップは、10月14日に報じた通り、Blogシステムを活用したサイト構築サービス『「ビジネスブログ」自社サイト構築サービス』の提供を開始した。また、それを受けて予定通り29日に「広報・社長日記構築パック」の提供も開始している。
日立製作所は21日、企業などのイントラネットをBlogベースで構築するサービス「BOXERイントラブログ」のメニューに、「RSS対応コンサルティングサービス」を追加し、25日から提供開始することを発表した(10月22日既報)。
最後に、Blogツールについても振り返りたい。
RSSツールにいくつかの動きがあったが、まず大きな話題を一つ。Yahoo! Japanが一部コーナーにおいてRSS配信を始めたのだ(10月20日既報)。これにより、RSSの一般への認知が広がるものと思われる。
エムラボとブレイブシステムズは、Webブラウザ上で利用可能なサーバ型RSSリーダー「Headlines.jp」のベータ版提供を、6日に開始した(10月7日既報)。
NTTレゾナントが提供するgooは、18日に無料提供を行っているRSSリーダー「goo RSSリーダー」をバージョンアップ公開した(10月21日既報)。また、gooが行う次世代を目指す検索実験「gooラボ」の一環として26日、Webブラウザから利用できるサーバ型RSSリーダー「パーソナルサマリ」を公開している(10月27日既報)。
ビジネスオンラインは、ベータ版としてリリースしていたWebブラウザから利用できるサーバ型RSSリーダー「garitto(ガリット)」の正式版を10月27日にリリースした(10月29日既報)。ベータ版と同様、無料で利用できるサービス。ネットショップのXML対応しており、企業側から見れば新しいビジネスツールとしての活用も期待できるだろう。
Blogツール「Movable Type」の日本版を提供しているシックス・アパートは、19日に会見を開き、「Movable Type 3.1日本語版」の法人向けパッケージ・ライセンス販売を開始すると発表した(10月19日既報)。
アップルップルドットコムが提供するBlogツール「a-Blog」最新ベータバージョン1.0b11が5日に公開された。また、正式版のリリースも今秋と発表され、それぞれの利用料金も提示されている(10月5日既報)。
Blogツール「sb」は、これまでの開発版のアップデートを終えて、17日に正式版1.10Rを公開した(10月19日既報)。また、31日には今後の予定として11月中にバクフィックス版(1.11D)をリリースし、年内から年始にかけてメールによる投稿に対応した新バージョンをリリースする予定だという。
Blogツール「Blogn(ぶろぐん)」は、20日にv1.8.3をリリースした。前バージョンの小幅なバグフィックスになっている。なお、以前のバージョンで使用しているスキンには著作権侵害に当たる画像が使用されていたことが発覚し、デフォルトのスキンを使用している場合はスキンの差し替えを呼びかけている。今回のバージョンアップでは、すでに修正済みである(なお、29日に本バージョンによるインストール手順を紹介させていただいた)。
Blogツールとは少し異なるが、Blogと連携させる新サービスも開始された。
「IT用語辞典 e-Words」を提供しているインセプトが18日に開始したもので、Webページ内に含まれるIT用語のリストを表示する、埋め込み型プラグインスクリプト「埋め込みe-Words」と呼ばれるもの(10月19日既報)。Blogとの連携により、新しい活用が期待できるかもしれない。
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