毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「ビジネストレンド」(2)即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)

前回に続き、テクノロジーのトレンドとこれからのITビジネスの関係について解説します。今回は、技術トレンドを支えるキーワードを深掘りして見ていきます。

» 2015年08月10日 07時00分 公開

この連載は

 カップ麺を待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場のスタッフにもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスのみなさんのこんな課題を解決します。


 前回に続き、テクノロジーのトレンドとこれからのITビジネスの関係について考えていきます。今回は、このトレンドを支えるキーワードについて、詳しく見ていくことにしましょう。

コレ1枚で分かる「ビジネストレンド」

テクノロジーのトレンドを支えるキーワード

SDI(Software-Defined Infrastructure)

 サーバやストレージ、ネットワークなどのITインフラを構成するシステム資源を仮想化できるようになると、ソフトウェアへの設定だけで、システム全体を構成、管理、制御できるようになります。この考え方が「SDI(Software-Defined Infrastructure)」です。VMwareはこれをSoftware-Defined Data Center(SDDC)、IBMはSoftware-Defined Environment(SDE)と呼んで、それぞれの理念のもとに取り入れています。

 SDIでは、あらかじめ全体の必要量を想定して、物理的なシステム資源を用意しておきます。これを、「リソースプール」と呼びます。利用者は、ソフトウェアでの設定だけで、このリソースプールから必要な機器構成や機能を取り出したり、組み合せて利用したり、また構成の変更や追加・削除などを行ったりできます。物理的なデバイスの導入や設置、ネットワーク接続といった作業は必要ありません。今後のIT利用は、このようなSDIによって構築されたITインフラの上で展開されていくことになります。

コンテナ型仮想化(Docker)

 「Docker」とは、Docker社が提供するLinux用のコンテナ管理ソフトウェアです。MicrosoftもWindows AzureでのDockerのサポートを表明しており、今後重要な役割を担うことになりそうです。

 Dockerも、ハイパーバイザー型のサーバ仮想化と同様に、物理的なサーバのシステム資源を見かけ上分割して、個別に独立したシステムとして提供するために使われます。ただし、ハイパーバイザーではなく、「コンテナ」といわれる別の方法を使います。

 コンテナ型は、ハイパーバイザー型に比べ、システム資源へのオーバーヘッドが少ないため、同じの性能のハードウェアであっても、より多くの仮想化されたシステム資源をつくることができます。また、ハイパーバイザー型で仮想サーバを提供しているクラウドサービス(IaaS)は、1つの仮想サーバ上にさらに仮想サーバを重ねた形での稼働(二重の仮想化)をサポートしていないケースがほとんどです。しかし、コンテナ型仮想化は、その制約を受けません。コンテナ単位でIaaS間を移動させることも容易で、セキュリティや可用性の必要から異なるIaaSを組み合わせて使うような場合に重宝します。加えて、コンテナは、ハイパーバイザー型のように仮想マシンとOSを起動させる手間がかからないため、極めて高速です。

 このような軽量かつ可搬性の高さは、仮想化の新しい選択肢として注目されることになるでしょう。

新しいハードウェアテクノロジー(ベアメタル、SSD)

 仮想化されたサーバは、管理面の利便性をもたらす反面、安定した性能を確保することは難しくなります。特にバッチ処理など、処理の終了が性能に左右されるアプリケーションにとっては課題です。

 そこで注目されるのがベアメタルです。IaaSで利用するサーバを仮想マシンとしてではなく、物理マシンとして調達する仕組みで、IBMのSoftLayerはこれを1つの特徴としていています。物理サーバを調達できるといっても、それらはすべてソフトウェア的な設定作業、つまり「セルフサービスポータル」やAPIから利用でき、物理的作業を伴わない点においては、仮想サーバを扱うのと違いはありません。

 もう1つ注目すべきは、SSDストレージ、あるいはフラッシュストレージの動向です。ストレージといえば、モータードライブを必要とするHDDが主に使われています。しかし、高速化、高密度化、低消費電力化の面で限界があります。これをブレークスルーするのが、不揮発性半導体記憶素子を使ったフラッシュストレージです。

 以前は、比較的高価であったために用途が限定されてきましたが、低価格が急速に進み、MySQLPostgreSQL、MongoDBといったIOPS(Input/Output per second)の大きいデータベースのストレージに利用されるなど、需要の高まりとともに注目されています。

 Google Cloud PlatformAWS(Amazon Web Services)など、主要なクラウド事業者も相次いでSSDベースのストレージサービスを提供し始めています。

IaaS

 ITインフラを提供するクラウドサービスがIaaS(Infrastructure as a Service)です。このサービス領域は、コンテナ型仮想化、ベアメタル、フラッシュストレージなどを取り込んで差別化を図りつつありますが、同時にコモディティ化が進み、価格競争の様相を呈してもいます。

 また、性能が高まり、価格が低下し続けていることから、ITインフラを自ら所有する必然性は低下します。そのため、ITインフラは所有するものからサービスとして使用するものへシフトする流れは、ますます加速していくことになるでしょう。

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