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ポール・ハギスは日本での知名度はまだ低いが、クリント・イーストウッドの秘蔵っ子として「ミリオンダラー・ベイビー」「硫黄島からの手紙」の脚本を手掛け、初監督作「クラッシュ」でアカデミー賞作品賞を受賞したハリウッドの注目株なのである。人間描写を描くことに定評のある彼の新作「告発のとき」が1月7日にDVD化。特典はメイキング、未公開シーン集、インタビュー、予告編集などを収録している。
タイトルも重苦しいが、米プレイボーイ誌の記事「Death and Dishonor」に書かれた実際に起きた事件をテーマにしているだけに、内容もかなり重い。
2004年11月1日。ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は引退した元軍人警官で、2人の息子も軍人という典型的な軍人一家だった。ところが、イラク帰還兵の次男マイク(ジョナサン・タッカー)が突然、軍から姿を消したという不穏な知らせが届く。うちの子に限ってまさか無許可離隊などあり得ないと思ったハンクは、妻のジョアン(スーザン・サランドン)を家に残し、息子を探し出すためにフォート・ラッドへ向かう。
同じ部隊にいた仲間たちに訪ね歩くも、まるで事情はつかめない。地元警察に相談をしても、相手にさえしてくれない。いら立ちを隠せないハンクは独自に捜査を開始する。そんな矢先、マイクが焼死体となって発見された。無事に帰還したはずの息子に一体何が起きたのか?女刑事(シャリーズ・セロン)の助けを得たハンクがたどり着いた衝撃の真実とは?
トミー・リー・ジョーンズ(「逃亡者」)、スーザン・サランドン(「デッドマン・ウォーキング」)、シャーリーズ・セロン(「モンスター」)というオスカー俳優3人の濃厚な演技合戦だけでも必見。特にトミー・リーは缶コーヒーのCMではお目にかかれないシリアスな名演を見せてくれる。
ハギスが描き出したのはイラクの戦場ではなく、終わりなき戦いに挑み、極限状況下で魂を砕かれてしまった兵士たちの心である。ベトナム戦争において精神的なダメージの大きさが盛んに叫ばれ、映画でもそのことが数多く扱われてきた。だが、時代が変わっても悲劇は繰り返されているという事実。若者たちが次々と犠牲になっているイラク戦争とは一体何なのか?戦争の愚かさを訴えたハギスのメッセージに打ちのめされる1本である。
関連サイト:http://www.kokuhatsu.jp/(公式サイト)
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