(C) 2008 森 博嗣「スカイ・クロラ」製作委員会 |
長編アニメーション映画としては、「イノセンス」以来4年ぶりとなる押井守監督の新作「スカイ・クロラ」がBlu-ray Disc化される。通常版(8190円)とコレクターズ・エディション(4万3050円)の2種類。通常版は本編ディスクのみで、作画監督・西尾鉄也による描き下ろしリバーシブル・ジャケット仕様、特典は劇場予告編を収録している。
コレクターズ・エディションはBlu-ray Disc本編に加え、映像特典を収録したDVDも3枚付属している。1枚目には制作途中の絵コンテやCG素材などで構成された第2の本編「ライカリールDVD」、2枚目にはUSプレミア in スカイウォーカー・サウンド登壇の模様や完成記念交流会、東京国際アニメフェアでの押井守トークショーなど「スカイ・クロラ」完成後の112分に及ぶドキュメント、3枚目はプロモーションと各種ルール集で、情報バラエティー番組「スッキリ!!」の1分劇場「スッキリ!!・クロラ」全20話、『REMIX TRAILERS』、予告編集などを収録している。
封入特典として映画に登場する戦闘機「散香」のフィギュア“1/72Scale 散香マークB bis”(押井監督別注37mm機関砲付)を付属。ほかにも原作者や宣伝プロデューサーらスタッフのコメントをまとめたブックレット「スカイ・サポーターズ The Sky Supporters」、脚本決定稿に伊藤ちひろ(脚本家)のインタビューを交えたものも同梱。これらのディスクやグッズは、押井守がデザインを指示したゴールド・メタルボックスに封入するという、こだわりようだ。
ショーとしての戦争に戦闘機のパイロットとして参加することを宿命付けられた、永遠に思春期の姿をした子供たち“キルドレ”。キルドレのユーイチは、とある基地に戦闘機パイロットとして配属され、女性司令官のスイトと出会う。彼女はユーイチのことを知っているようだが、ユーイチには基地に来る前の記憶がない。はたして、2人の関係とは。
死ぬまで戦闘するため、過去も未来も持たないキルドレたち。2Dのアニメーションによる地上の描写と、3Dの圧倒的なスピード感で描かれる空中の戦闘描写は、かなり違った印象を受ける。仲間と他愛ない会話を交わし、ビールを飲むといった基地での日常描写は穏やかだが、どこか虚ろ。一方の戦闘シーンは死と隣り合わせだからこそ、生を実感しているようにも見える。押井監督が「映し鏡」と語っているように、キルドレは現代の若者を表しているのだろう。
特筆すべきは脚本を手掛けた若き女性脚本家・伊藤ちひろの存在。行定勲監督の推薦で抜擢された彼女は、キルドレの虚無感を繊細に表現。ユーイチとスイトが交わす、静かながら濃密な愛情表現は、押井作品にはあまり見られなかった切なさがにじんでいる。
声優に有名人キャストを起用するとシックリこない場合が多々あるが、ユーイチ役の加瀬亮、スイト役の菊地凛子は違和感がなく、棒読みはあえて狙った演出と思われる。BDではハリウッド実写作品顔負けの戦闘シーンを満喫してほしい。
関連サイト:http://sky.crawlers.jp/tsushin/(公式サイト)
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