東京ケーブルネットワーク(TCN)とNECは8月30日、NECのAndroidタブレット「LifeTouch」を用いたCATV加入者向けサービスの実証実験を開始すると発表。2011年9月より3カ月、TCNサービスエリアの既存加入者200世帯を対象にモニターを募り、サービス展開の可能性を探る。
TCNは東京都文京区、荒川区、千代田区でサービスを展開するCATV事業者。赤外線ポートの搭載や一部ハードウェアキーの変更、ホーム画面や搭載ソフトウェアに工夫を取り入れたTCNカスタマイズ版のNEC製7型Androidタブレット「LifeTouch」を同社が展開するメディアコンシェルジュサービス用機器として採用し、テレビ放送サービス操作および地域情報を表示・操作する「簡単リモコン」としてサービス商用化を図る。
ターゲットは機械操作が苦手な高齢層や主婦層。今後、テレビ放送のデジタル化やIPTVサービスの普及により競争が激しくなると見込むCATV事業者だが、事業エリアが狭く、地域に密着したサービスを展開できるCATV局としての強みを“タッチ”を軸にした、これまでと異なる「簡単さ、便利さ」を訴求したい考えだ。
「自社の強み、競合の弱みを考慮した施策を行っていかないと今後勝ち目はない。CATV局の強みは事業エリアが狭いこと。地域に関連したユーザー目線のサービスを提供できることは大手がやりたくてもできないこと。また、局への苦情・要望で“リモコンが使いにくい”という声が非常に多い。リモコンの改善は最優先課題であり、それならばリモコン以上のサービスを提供するには何か──を考え、同サービスの実現に適した機器を用意するNECさんと共同で取り組むことにした。見るテレビだけでなく“生活に役立つテレビサービス”を目指して開発した」(TCN棟田社長)
サービス仮呼称は「TCNタッチコン」。簡単リモコン機能は、サービス契約者向けにカスタマイズしたホーム画面より呼び出せる。特にチャンネル数が多いCS系チャンネルでのリモコン操作性に不満を持つユーザーが多かったとし、カテゴリから選びワンタッチで選曲できる「チャンネル名称からダイレクト選択」、多チャンネルの楽しさをより訴求できる目的の「番組レコメンド機能」、ユーザーそれぞれの専用ユーザーインタフェース(UI)を設定できる「家族別リモコンインタフェース設定」といった機能を設けた。
「録画予約機能の拡張やユーザー動向に応じたパーソナルリコメンド機能、難しさを意識させないSNS系サービスとの連携、今後CATV事業者が取り組むスマートグリッドサービスとの連携なども推進したい。本機は原則として無線LANでのインターネット接続を必要とするが、自社インターネット/地域WiMAXサービスの訴求とともに、無線LAN接続サポートなどを含めた地域のCATV局だからできる施策も積極的に行う」(TCN CATV統括部の遠藤昌男統括部長)
「TCN版LifeTouchは、他社採用(NECビッグローブのSmartia)の仕様からリモコン機能用の赤外線ポートを追加するなど、より簡単にCATVサービスを利用できるようにした。タッチパネルの力は“何のマニュアルがなくても使える”こと。こちらはiPadなどとは違うホームユース・パーソナルユースへの導入を想定しており、採用社とともに提供サービスに合ったサービス・ソフトウェアを作り込んで提供できるのが強み」(NEC パーソナルソリューション事業本部の西大和男本部長)
このほか、極力少ない入力で健康・介護の相談を可能とする“健康支援サービス”、地域の店舗情報やチラシをネットワーク配信する“生活支援サービス”、犯罪といった地域情報の配信/災害アラーム機能といった“緊急情報伝達サービス”、定型文/音声での簡単メール機能、町内掲示板や電子回覧板機能による“コミュニケーション支援サービス”などの機能も実装する。商用サービスは、希望加入者に基本料金プラス数百円といった体系となる予定とする。
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