デジタル手帳CLIEの進化形、「TH55」を試す(3/3 ページ)

» 2004年02月10日 23時13分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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静止画撮影は割り切り、優秀な動画再生機能

 ビジュアル機能としては、静止画撮影機能と動画再生機能を持つ。カメラユニットは有効31万画素CMOSで、あくまで“日常のメモ用”という割り切って搭載された印象だ。

 静止画は最大640×480ピクセルでの撮影が可能だが、携帯電話の30万画素カメラの多くがそうであるように情報量が足りない。少なくとも“デジカメ代わり”という期待は持たないほうがいい。

 左がQVGA、右がVGAの静止画(クリックで生データ)。640×480ピクセルでは解像度が足りず、全体にフォーカスも甘い。320×240ピクセルではアラも目立たなくなるが、シャープさが足りないのがまだはっきり分かる

 バスの時刻表は640×480ピクセルでも十分実用的なメモとして使える。撮影時の操作性はカメラ機能を持つ従来CLIEとほぼ同じ。横向きに持って右側面のシャッターボタンを押す、デジカメスタイルでの撮影も可能だ

 動画再生機能は「NX」シリーズと同等だ。独自のモバイルムービー形式とMPEG-1に対応し、付属の「Image Converter」でコンバートした動画ファイル、メモリースティックビデオレコーダー(PEGA-VR100K)で録画した動画ファイルなどをメモリースティックから再生できる。「Image Converter」が相変わらずMPEG-2ファイルからのコンバートをサポートしていない点は残念だが、モバイル動画プレイヤーとしてはクオリティ、バッテリー動作時間共に不満はない。

 MPEG-1の動画ファイルを「Image Converter」でコンバートし、TH55で再生させた画面。比較的動きの少ないシーンとはいえ、これだけの再生品質なのは魅力的だ

課題はモバイル通信環境、割り切れるなら魅力の製品

 インターネット利用環境としてはEメール送受信機能、ブラウザ(NetFront)を装備する。zipファイルを解凍する機能も備え、添付ファイルもWord/Excel/PDF形式を「PIxel Viewer」で閲覧できる。PDAのインターネット利用環境としては悪くないし、320×480ピクセルという大きなディスプレイのおかげでかなり快適にWebや書類を閲覧できる。

 PC並みとまではいわないが、モバイルインターネット端末としての表示情報量は十分。Eメールでよく使われるzip形式の圧縮ファイルも解凍できる

 半面、モバイルでの通信環境は限定される。802.11bの無線LAN接続機能を備えてはいるが、公衆無線LANを日常的に利用できる場所は、現状では都市圏などに限られる。また有料の無線LANスポットはブラウザでの認証が必要など、Eメールの送受信には多少の手間もかかる。別売りのケーブルを使えばPHSや携帯電話を使ったインターネットアクセスも可能だが、AirH"や@FreeDといった固定料金制のサービスは利用できない。“いつでもどこでもインターネット”といった利用スタイルは望めないのが現実だ。

 ただモバイルインターネット接続が限られる点を除けば、とても魅力的な製品に仕上がっている。昨年リリースされたCLIEシリーズは、文字入力手段としてキーボードにこだわってきたが、コンパクトすぎるキーボードが市民権を得たとは考えにくい。ターンスタイルのNXシリーズでは大きな画面とキーボードの搭載を両立させていたが、それは端末の厚みにはねかえっていた。

 日本語手書き入力ソフト「Decuma Japanese」の完成度も上がり、CLIE Organaizerが搭載された今、あえて超小型のキーボードを必要とするユーザーは減ったようにも思える。

 機能面では「NX73V」や「UX50」に近く、省かれているのは動画撮影機能程度。ただ31万画素CMOSでの動画撮影がそれほど重要とは考えにくいところでもあり、個人的には適切な割り切りのように思える。むしろ最近では動画再生機能のほうが重要視されつつあり、Handheldエンジンを生かした長時間の動画再生が可能なところを評価したい。

 購入の際に迷うとしたら「TJ37とどちらにするか」だろう。バッテリーの動作時間は「TH55」のほうがずっと長いが、オーディオプレイヤーではTJ37でも最大7.5時間稼動するなど、日々充電する前提であれば必要十分だ。CLIE Organizerやバッテリーのもちのよさ、無線LANといった機能が付いて1万円という価格差はむしろ安いのかもしれない。

 TH55は無線LAN内蔵PDAとしては低価格な部類であり、PIMとしての使い勝手も良好だ。「どうしてもCLIE Organizerを使いたい」という人は別として、通信機能が必要なのかどうか、通信手段を無線LANで賄えるのか──という点が選ぶ上での決め手になりそうだ。

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