320×480ピクセルの縦長液晶付きで薄型、キーボードなし──ありそうでなかったCLIEが登場した。それが「PEG-TH55」だ(2月3日の記事参照)。
縦長液晶を効率よく使うため、ジョグダイヤルと左右ボタンは背面に移動。カバーを閉じたままでも情報にアクセスできるよう、アプリボタンの配置も工夫されている。
“手帳のように使える”新インタフェース「CLIE Organaizer」にも注目だ。スケジュールやメモ画面上に、手書きで走り書きすることが可能になり、その日の情報はテキストだけでなく手書きメモや静止画像を貼り付けて多角的に管理できるようになった。
この新感覚CLIE「TH55」を、ハードとソフトの両面から検証する。
CLIEとしては初めてマットな塗装が施されたというTH55は、ちょっとざらついた手触り。薄型ボディながら縦長液晶をフルに使った320×480ピクセルの大画面ディスプレイが特徴だ。下部に4つのアプリボタンがあるだけで、ほぼ全面を閲覧画面として使える。
サイズは同じ解像度のディスプレイを備える「NX73V」(2003年5月の記事参照)より幅こそ1.4ミリ広いが、高さは10ミリ低く6.1ミリも薄い。重さは45グラムも軽くなっている。TH55を手にした感覚は、コンパクトな「TJ」シリーズに近く、このままシャツや上着のポケットに放り込んでも違和感がない。
項目 | TH55 | NX73V(参考) |
---|---|---|
サイズ | 73.3×121.5×15.7ミリ | 71.9×131.5×21.8ミリ |
重さ | 185グラム | 230グラム |
「NX」シリーズでは側面、「TJ」シリーズでは全面下部にあったジョグダイヤルは背面上部に移された。一見すると不思議な位置にあるようにも思えるが、使い勝手は思ったほど悪くない。むしろ片手で操作するなら「TJ」シリーズより使いやすく、しっかり保持したまま操作できる。手にした直後にはBACKボタンを手探りで探してしまったが慣れるのは早く、見た目の印象よりはずっと使いやすい。
カメラはNX73Vや「UX50」(2003年8月の記事参照)と同等の31万画素CMOSを装備しているが、動画撮影には未対応。ただ動画の再生は可能で、バックライトがオンの状態でも最大約4時間の動画を再生できるようになった。これはNX73Vの約2倍という長さで、動画ビューワとしての使い勝手は向上したといえるだろう。
CFカードスロットは搭載されていないが、通信手段として802.11bの無線LAN機能が内蔵された。バッテリーの動作時間も約5.5時間と長く、「NX」シリーズ+専用無線LANカードの約2.5時間に比べて倍以上長い。これは、省電力とパフォーマンスを両立させるべく独自設計された「Handheld Engine」が生かされた部分だ(2003年7月の記事参照)。
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